[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  〜ソフト苛めからハード拷問まで〜
 ――僕たちが兄妹だってことはバラさないように、事前に先生方にお願いしてあるんだ。
 ――あまりなれなれしくしない方がいいから。もちろんそれが僕のためでもあるし。

 昨日、自分が言った言葉に後悔はない。
 あくまで他人行儀でいることが、お互いのためなのだ。
 僕は美里に目で合図する。
 美里は小さく頷き、にっこりと笑顔を作った。これでいい。これでいいんだ。
 妹は思いやりのある子だ。きっとこんな環境の中で、ずっと苦しんできたに違いない。皆の調和を崩さないように常に笑顔を見せ、心には大粒の雨を降らせながら。彼女は僕が思っているよりずっと大人になっていたのかもしれない。健気で、かわいそうな美里……
 そもそも、こんな遊びがクラス内で罷り通っていることが問題なのだ。
 そう。僕は妹のためなら頑張れる。僕だって教師の端くれなんだ。こんな遊び、僕が今日限りで断ち切ってみせる。
 彩香に胸座を掴み上げられる。僕は彩香の瞳をキッと睨みつける。
「君たちのやってることはいじめだ」
 そう僕は叫んだ。彩香は不敵な笑みを浮かべ、
「うん。それで?」
 と言いながら、僕の襟をさらに強く締める。僕はさらに叫ぶ。
「暴力だ。そしてリンチだ。今すぐ、……うっ!」
 その言葉は途中で断たれた。世界が暗転したような感覚に襲われ、たまらず身体をくの字に曲げる。その時、彩香の拳が深々と僕の腹にめり込んでいるのが目に映った。
「う……ふぐうぅ……」
 想像以上に重いボディブローに、僕は苦悶する。さらに二発、三発と拳で突き上げられ、足に力が入らなくなる。ぐったりと彩香に体重を預ける。彩香は僕の襟を掴んで身体から離すと、再び拳を握り締めた。
 ふと渚ちゃんの方を見る。彼女は口元に笑みを浮かべながら、じっと様子を見ていた。
 ――きっと渚ちゃんは、僕を試しているんだ。Mとして、しっかり耐えられるかどうか……
 美里は微笑みをその顔に湛えている。彼女の気持ちを考えると、それがまた心苦しい。
 僕は決心した。
 ――ここで屈してはいけない。僕は教師だ。この身をもって、正しい道を教えてやらなければ。
 彩香がその妖艶な瞳を僕へと向ける。しかしそれは、僕にはまるで獣が獲物を狙う目のように見えた。その瞳を見つめ返しながら、僕は『頑張ってね、先生』という昨日の渚ちゃんの言葉を思い出していた。
 腹を殴られ続けた。僕を責め続ける彩香は、本当に楽しそうに見えた。だから僕は耐えた。内臓を抉られるような、強烈な拳を腹で受け止めながら、僕は必死で我慢した。
 ――我慢?
 自問の囁きが聞こえる。もちろんだ。僕は間違いなく我慢している。我慢しているんだ。
 ……まるで殺戮を楽しむような瞳が、目の前にあった。……甘い香水の香りが僕を包んだ。

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 男子は蹲り、嘔吐した。激しく咳き込んではいるが、辛うじて意識は保っているようだった。
 失禁した上に吐瀉物を吐き出した彼を、女生徒たちは嘲笑し、激しく罵倒した。そのうちの一人が、声高らかに「十一分二秒!」と叫ぶ。
 背筋に冷たいものを感じる。同時に、熱い血が沸々と身体中に巡っていくのがわかる。
 ――彼女たちにとって、暴力は遊びであり、ゲームなのだ。決して許されることじゃない。
 固く拳を握る。震える唇を目一杯噛み締める。もう我慢の限界だった。
 僕のやり切れない気持ちは、この異様な光景を目にした渚ちゃんにとっても同じだと思っていた。
 しかし、彼女は違った。
「面白そうだね……」
 と呟くと、蹲った男子の後ろの襟首を掴み、ぐいと持ち上げる。ぐったりとした彼を見ながらにっこりと微笑む。その表情は、彼女の冷酷さを存分に醸し出していた。彼は怯え、激しく身体を震わせた。
 複雑な心境に苛まれる。これは失望感? それとも……嫉妬心? 僕は再び混乱していた。
 ――僕のご主人様が……今まさに別の男を……
 気付けば僕は扉の窓越しに顔を近付け、その光景に魅入ってしまっていた。
 渚ちゃんの口の端がゆっくりとつり上がる。瞳が妖しい輝きを放つ。飢えた獣のようなそれは、昨日僕が目の当たりにしたものと同じに見えた。
 記憶がまざまざと蘇ってくる。
 生殺しのまま帰宅した僕は、その後の忙しさや疲れからすぐに寝入ってしまった。悶々としつつも、放出することなく。
 下半身がそれを主張するように、今になって激しく疼いてきていた。

 その時、背後に気配を感じた。驚きふり返ると、そこにはサキが立っていた。
「あ、あの……これは……」
 言葉がうまく出てこない。
 サキはくすくすと笑いを零した。彼女がそっと呟く。
「仲間に入れてあげるよ。先生」
「あ……あぅぅ……」
 サキはガラリと扉を開け、僕の背中をドンと押す。僕は勢いよく教室内に倒れ込んだ。
 皆の視線が一気に僕へと注がれる。それは渚ちゃんも同じだった。
「うわああぁぁ!」
 と叫び、男子はふらつく足取りで教室を飛び出していった。
「……せっかくのゲームが……台無しね」
 と、渚ちゃんがポツリと漏らす。その表情からは笑みが消え、無感情な瞳が僕を貫いていた。
 ストップウォッチを手にしていた彩香も続けて、
「責任取ってよね、先生」
 と、ずいと僕に詰め寄る。
 僕は腰を抜かしてしまっていた。見回すと、他の女生徒たちは皆、口元に笑みを浮かべていた。
 ふと、美里の姿が目に入る。彼女は戸惑いの瞳で僕を見つめていた。

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 呼吸を整え、高鳴る鼓動を必死で抑える。
 実習初日ということもあり、名前がわかる生徒はごくわずかだった。それが悔やまれる。名前がわからなければ、その人間関係を掴むことなど到底できない。その結果がこれだ。
 目の前にある異常な光景。それを目の当たりにした僕は今、軽いパニックに陥っている。ともすれば未然に防げた事態かもしれない。対応も考えられたかもしれない。そう思うと、後悔の念が尽きない。
 しかし今となっては、そんな悠長なことを言っている余裕もなかった。
 ――事実が変わるわけではないのだ。
 僕は必死で状況の把握に努めた。
 一人の男子生徒が複数の女子生徒に取り囲まれていた。二人の女子が、直接男子を押さえつけている。羽交い絞めにしている子と、足を固定させている子。そしてまた別の女子一人が、無防備になった男子の腹を延々と責め続けていた。
 ――彼女の名は、……安藤彩香といったか。
 明朗快活で容姿端麗。繊細で艶やかなストレートロングが印象的な綺麗な子だった。クラスでも一際目立つ存在だ。そのため、僕も彼女の名前は辛うじて覚えていた。
 男子は口に泡を浮かべ、同時に黄色い液体を垂れ流している。彼の目は次第に白くなってきていた。
 ――これはいじめだ。暴力だ。リンチだ。見逃してはいけない。止めなきゃ……
 勇気を振り絞る。しかし、いざとなると足が震え、なかなかその一歩が踏み出せない。
 思わず扉の前を離れ、隠れるように壁に寄りかかる。眩暈がする。情けない……
 その時、一人の女生徒が僕の脇をすり抜け、教室の扉をサラリと開けた。よく見る制服だと直感的に感じた。しかしそれは学園指定のものではない。しばし呆気に取られる。
 その女生徒は教室内にすっと入り、
「紗希。遊びに来たよ」
 と、元気に声をかけた。
 その声に心臓がドクンと脈打つのを感じた。後ろ姿にも見覚えがある。
 ――僕はこの子を知っている。
 再びパニックに陥る。足は依然として動かない。
 そんな中、彼女の呼びかけに応じる声が教室内から聞こえてきた。
「あなた……渚? どうしたの、急に?」
「ん。ただのサボり。暇だったからさ」
 その言葉に僕は仰天し、我を忘れるほどの衝撃に見舞われる。
 ――渚ちゃん? 渚ちゃん! どうして? 一体、何が目的で……?
 扉の陰からそっと中を覗き込む。見れば渚ちゃんは、クラスの女子一人と親しげに話していた。
 ――確かさっき、渚ちゃんは「サキ」と呼んでいた。知り合い? どうして?
 サキだと思われるその子は、端正な顔立ちにボブカットがよく似合っている。小柄だが魅力的な肢体をしている。射抜くような瞳が印象的な子だった。
 サキが「強いよ、この子は」と、他の女生徒に渚ちゃんを紹介している。何がなにやらわからず、僕は頭を抱える。その間にも彩香は男子を痛めつけ続けていた。彼女がふとその手を止める。その口元からは笑みが零れていた。
「じゃあ、あなたも後でやってみる?」
 彩香のその言葉を聞いた男子は「ひぃっ」と声を上げ、間もなく失禁した。

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 こんなに時の流れが早いと感じたのは初めてだった。
 さっきまで教育実習の初日だと意気込んでいた。するといつの間にか、昼休みの時間になっていた。職員室で昼食をとる。慌しく弁当を頬張る先生方を見て、僕は取り残されたような気分になっていた。
 頭の中は真っ白だった。
 午前中に自分が何をしたのかすら思い出せない。当然、うまくできていたのかどうかなど全くわからなかった。
 しかし、僕は実習生の身だ。一日が終われば、今日の反省や感想を日誌にまとめなければならない。
 そう思うと、ぼうっとしているわけにはいかなかった。
 僕はこの時間を使って、今日半日のことを少しでも思い出そうと試みた。


 朝礼が無事に終わり、ほっとひと息ついた頃には、もう担任の先生は準備を始めていた。
 一時間目は英語だった。僕は初日だから、教室の後ろで授業見学をした。
 その時に取ったメモが手元にきちんとあることを確認し、僕は一安心する。頭は真っ白だったが、とりあえず内容は書き留めてある。後でこれを、日誌を書くための材料にしようと思った。
 二時間目は担任の先生が空き時間だったこともあり、授業の心得のようなものを聞いた。やっぱり頭は働いていなかったが、それでもメモを見るときちんと書き留めてある。僕はここでもほっと胸を撫で下ろした。
 そのメモの中で、一際目立つ一文があった。
 『生徒に深入りしないこと』
 三行目に書かれたその言葉は、一体どういう意味なのだろう。
 ただ、それを話してくれた担任の先生の、深刻そうな顔つきが印象に残っていた。


 弁当箱を閉じた僕は、無意識に教室へと足を運んでいた。
 教室に行けば何かヒントが得られるかもしれない。根拠はない。単純な思いつきからだった。
 何気なく教室の前に立ち、扉についた窓越しに中を覗き見る。もちろんここで足を止める気などなかった。すぐに扉を開けるつもりだったのに、なぜか躊躇してしまう。
 僕はこの瞬間、何か言いようもない異様な感覚に襲われていた。
 じっと中を覗き込む。そしてそれに気付いた時、僕は足が震えて動かなくなった。
 男子の姿が見えないのだ。いや、正確には一人だけ見えている。たった一人だけは。彼はどこにいる? そう。女生徒の輪の中。そこで彼は女生徒に……女生徒たちに? 何を?……何を!?
 パニックに陥る。未だかつてこんな光景を目にするのは初めてだった。目に飛び込んでくる情報を、脳が処理できていない。何度も目を疑ってみたところで、何も変わりはしない。
 僕は完全に足が竦んでしまっていた。

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「実は……」
 と、僕は事情を話した。
 特に秘密にしていたわけではなかった。ただ、自分の都合で渚ちゃんに付き合えないことが心苦しかったのだ。
 ――いや……
 僕はまた自己嫌悪に陥る。今までここにいた理由は『付き合う』ためなんかじゃない。僕自身がここにいたかったからだ。そして僕が闘っていたのは、自分の中の醜いエゴだ。
 ――それを、あろうことか渚ちゃんにかこつけるなんて……
 だから、僕はまた謝った。
 彼女は事情を聞くなり、家に帰るよう僕に指示した。
 もしかしたらこの時も、引きとめてもらえることを心のどこかで期待していたのかもしれない。己の欲深さが本当に腹立たしかった。
「じゃあ、明日はこれを着けて行きなさい」
 と、彼女は僕の首に手を伸ばす。直接触らなくとも、それが首輪であることはすぐにわかった。僕にとっては、日頃からこれ以上ないほど使い慣れた代物だったから。
 僕は戸惑いながらも、やはり彼女の気持ちを嬉しく思った。
「ありがとうございます」
 と、口にする。
「それからこれも……」
 言いながら彼女は、唐突に僕の陰茎を舐め回した。突然のことに驚き、僕は卑猥な声を上げて仰向けに寝転んでしまう。彼女の舌先が触れる度、彼女の口に呑み込まれる度、僕の下劣な愚息は血を漲らせた。欲情が頭を擡げてくる。
 しかし一分も経たないうちに、その快楽は幕を閉じた。中途半端で放り出されたソレが、切なく震える。彼女は意味深な笑みを浮かべていた。
「正しい道を選べた良い子だからね。ご褒美。もしも、ただかまってほしいだけで声をかけたんだったら……蹴り殺されても文句は言えないよね」
 明るくそう言った彼女の笑顔が怖かった。全身を冷たい感触に覆われる。彼女の言葉に返事もできず、僕は身を縮めた。ただ僕の汚棒だけは、欲求不満を主張するように堂々といきり立っていた。
 もどかしさに身悶える。彼女は「ふっ」と冷笑し、しばし僕の様子を面白そうに眺めていた。
 彼女は再びついと椅子に腰掛けると、
「ところで、実習先はどこなの?」
 と、僕に問うた。
「あ、えっと……麻美大嶋学園っていう、私立の高校です」
「え? 麻美……大嶋?」
「はい。一応、名門の学校らしいです。ご存知ですか?」
「んー、行ったことはないけど、名前だけは。……明日から頑張ってね、先生」
 そう言って彼女はニヤリと笑った。その笑みに少し違和感を覚える。しかし僕にとっては、彼女にもらった応援の言葉が何より嬉しかった。僕は「はい」と力強く返事をした。
 服を着る。そして頭を深々と下げた後、僕は彼女の家を後にした。
 相変わらず下半身を大きく膨らませたままで。

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 僕は雑巾を借りて、精液で汚してしまった床を掃除した。全裸のままで。
 渚ちゃんは何事もなかったかのように机に向かい、熱心に勉強を進めている。
 床を汚してしまったことを何度も謝罪した。しかし彼女からの返事はなかった。一度「あの……服を着ても……」と口にした時には、ドンと足を鳴らされた。僕は萎縮し、再び謝罪した。
 それからの僕は、彼女に声をかけることもできず、ただ彼女を見ながらじっと床に正座していた。そんな自分がひどく惨めに思えた。
 時計の針はもうすぐ夜の七時を回ろうとしていた。

「ねぇ先生。どうしてもここがわからないんだけど……」
 耳を疑った。渚ちゃんから質問の声がかかるなどとは思ってもみなかったからだ。
 喜んで彼女の側へ行き、解法と答えを教えた。彼女の瞳がみるみるうちに輝きを見せる。僕はその笑顔を見た時、嬉しくて思わず涙腺が緩みそうになった。
「ありがと。先生」
 そう言って彼女はにっこりと微笑み、僕の頬にビンタする。
 僕もまた「ありがとうございます」と、心から感謝の意を伝える。
 その後、質問に答える度に僕は頬を打たれた。そしてその度に僕は至福を感じ、気付けば僕の汚いモノは再び自己主張を始めていた。

 八時を回った。
 渚ちゃんはまだ熱心に勉強を進めている。僕は少し焦り始めていた。
「あの……」
 しかし彼女の返事はない。できることならこのままいつまでも彼女の側にいたい。しかし、明日のことを考えると、それは僕にはどうしてもできなかった。
 クソ真面目な自分の性格があらためて恨めしく思えてくる。
「あの、渚ちゃん……」
 意を決して再び声をかけた時、彼女はすっと立ち上がり、僕の頬を勢いよく殴った。彼女が口を開く。
「静かに待つこともできないの? ホント駄目な子」
「ごめんなさい。でも……」
 と、僕は俯く。彼女は膨張した僕の陰茎を握り、ゆっくりと擦り始めた。僕はたまらず喘ぐ。身を委ねてしまいたい衝動に駆られる。しかし、ここでしっかりと意志を主張しておかなければいけないこともわかっていた。
「でも……何?」
 言いながら彼女は手を止め、僕に視線を投げかける。
 ――もどかしい……でも……
 欲望と理性が葛藤し、渦を巻く。僕は一つ大きく息を吸い込むと、覚悟を決めた。

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「渚様。お待たせして、大変申し訳ありませんでした」
 顔を歪めたまま、謝罪の言葉を口にする。それから僕は、再び絶叫することになった。
 彼女は踵で僕の睾丸を踏み付けていた。じわじわと体重を乗せられ、苦悶に震える。彼女はそんな僕の顔をまじまじと見つめながら、
「汚い雄だね」
 と、無感情に罵った。その言葉を聞いた僕は、たまらず恥部をビクンビクンと反応させてしまう。彼女の口元から、うっすらと笑みが零れた。妖しい瞳の煌きに、僕は一瞬で骨抜きにされてしまう。
「先生のくせにこんな格好してさ。恥ずかしくないわけ?」
 言いながら、彼女は足の裏で僕の脈打つ陰茎をぐいと踏み付ける。指でソレを摘み、器用に擦る。
 僕はその羞恥心と快楽に身悶えながら、
「はい。……恥ずかしいです」
 と、答える。
 彼女はくすくすと微笑し、さらに激しく僕の陰茎を刺激する。興奮が徐々に高まり、僕はみっともない声を上げる。スカートの中からちらりと覗く下着に欲情し、早くも暴発してしまいそうになる。
 その時、彼女の足がすっと陰茎から離された。何とも言えない切なさが込み上げてくる。
 彼女の表情は、いつの間にか冷徹なものへと変わっていた。
 まるで汚い物でも見るような瞳で僕を見下ろし、
「期待してんの? まさか逝かせてもらおうなんて――」
 と言いながら、再び僕の睾丸に踵を押し当てる。
「――思ってないよね?」
 それは厳しい口調だった。睾丸にじわじわと体重が加えられ、僕はまた絶叫する。
「ご、ごめんなさい。ごめんなさい」
「ふーん、やっぱりね。どこまで下品で勝手なの? 遅刻しといてさ」
「ごめんなさい。ごめんなさい」
「気持ち伝わんないなぁ。膨らませてるし」
「そ、それは……」
「潰してあげよっか。悪い子だしね」
 彼女はそう言うと、足の裏全体で睾丸をじわりと踏み付ける。僕は恐怖とあまりの痛みで、喉の奥から必死で声を絞ることしかできなくなった。彼女が足を動かす度に、強烈な痛みが内臓にまで響く。
「がぁ……。があぁぁ! ぐぅああああっ!」
「何その獣みたいな声……。この変態!」
 罵倒され、執拗に睾丸や陰茎を嬲られ続け、僕は果てた。亀頭から白い液体を勢いよく発射する。
 彼女は「はぁっ」とひとつ大きなため息をつくと、その足を僕の陰部から離した。彼女の蔑むような視線が僕の心を抉る。彼女は無言のままついと背を向け、ゆっくりと椅子に腰掛けた。
 僕は自分が情けなくて恥ずかしくて、また「ごめんなさい」と連呼した。

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 五時半を過ぎた頃、僕はバイト先の家に着いた。
 今日はご両親ともに仕事で外泊なのだと聞かされていた。事前に渡されている合鍵を使って玄関を開錠する。「お邪魔します」と独り言を言いながら、玄関へと足を踏み入れた。
 電気が消え、静まり返った家の中は、何となくいつもとは違って見えた。それとなく周りを見回す。もちろん変わっているところなどない。
 階段を上り、僕の仕事場である女生徒の部屋に入った。
 いつもと何も変わらない空間。机、椅子、テーブル。女子高生らしい、理解に苦しむ装飾品。
 僕はすぐさま全裸になる。
 今日はご両親が不在なので、いつものような不安は味わわなくてよかった。しかしフローリングの床はいつもの如く、正座する僕の足の甲を痛めつけた。
 彼女が帰宅するまでの緊張の時間が始まる。
 全身を覆う脂汗を誤魔化すように、僕は鞄から教科書を取り出した。
 その時、突然背中を蹴られた。「ひっ」と情けない声を上げてしまう。前のめりに倒れ込み、慌ててふり返る。そこには彼女が無表情のままで立っていた。
 彼女はセーラー服姿のままだった。腰を折り、黙って僕の目を見下ろすように覗き込んでくる。栗色の髪が僕の顔をくすぐる。同時に、甘い香りが僕の鼻腔を包む。胸元から大きなバストが覗く。僕の性器がむくむくと成長していく。
 驚きと欲情が入り混じり、早くも僕の思考は麻痺してきていた。
「あ、あぁ……」
 鼓動の高鳴りから、うまく言葉を話せない。
「いらっしゃい、先生。今日は……遅かったね」
 と言った彼女の瞳には、冷たい影が揺らめいていた。口の端がにわかに持ち上がり、笑みを形作る。その表情に僕は怯え、同時に惹き込まれていく。精神的な鎖に繋がれてしまう。身体が動かせない。
「……うぅ……」
「遅刻は厳禁だよね、先生。一体、誰を待たせたと思ってるの?」
 静かだが鋭利な口調。彼女が一歩近付く。僕は恐怖心から後ずさってしまう。彼女はさらについと僕の方へ歩を進める。僕はあっけなく壁際に追い込まれてしまった。
 彼女がその足を持ち上げ、腰を抜かした僕の陰部をぐいと踏み付ける。
「い……ぎぃ……」
 恐怖心と痛みから、僕は既に陰茎を最大限にまで膨れ上がらせていた。

 美里に対して後ろめたい気持ちがなかったと言ったら嘘になる。
 家庭教師として、一生懸命勉強を教えている。美里はそう思っているのだ。
 もちろん僕だってそのつもりでいる。カリキュラムだってきちんと立ててバイトに臨んでいるし、できることなら、きちんと仕事をしたいと思っている。
 しかし実際はこの通り。僕にはそれがどうしてもできないのだ。

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「実習は明日からでしょ? 大変だね」
「そうだな。でも、これもこれで仕事だからさ」
「うん。わかってる。でも、その……」
 口篭る美里の顔色が曇るのが見える。
「どうした?」
「ん……とね。……ううん。何でもない。家庭教師様、頑張ってください」
 妙に引っかかる言い方だった。気にはなるが、僕にはもう時間がない。
「じゃあ、行ってくる。コーヒーありがとう。よかったらケーキ、僕の分も食べて」
「うん。気をつけて。いってらっしゃい」
 その言葉を背中で聞きながら、ドアを開ける。その時、ふと思いついたことがあった。
「あ、それから……」
 言いながら美里の方をふり返る。彼女はあどけない笑みを僕に向けていた。
「ん? 何?」
 と、不思議そうな顔で首を傾げる。
「明日、学校ではあくまで他人行儀でな」
「え? どうして?」
 美里には僕の真意が掴めていないようだった。ますます不思議そうな表情を浮かべる。そんなところもまた可愛いのだが。
 僕は再び言葉を続けた。
「実習は美里のクラスなんだ」
「うん。それで?」
 美里はまだきょとんとしている。この察しの悪さもまた、僕が兄バカになってしまう要因だと思う。
「だからさ……僕たちが兄妹だってことはバラさないように、事前に先生方にお願いしてあるんだ」
「え?」
「だって、それでひいきしてるなんて思われたら、美里もやりにくいだろ?」
 その言葉を聞いた美里は、突然笑い出した。
「な……なんで笑うんだよ?」
「ごめんなさい。だって、お兄ちゃん変なこと気にしてるから……」
 美里は、まだくすくすと笑っていた。
「とにかく、あまりなれなれしくしない方がいいから。もちろんそれが僕のためでもあるし」
 と、美里を諭す。
 美里はにっこりと僕に笑みを向けると、一言「わかった」と元気よく返事をした。
 その笑みを見て、すっと心が軽くなる。
 僕もまた笑顔で「じゃあ、行ってくる」と言い残し、家を出た。

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 ペンを持つ手が痛かった。
 時計の針は既に夕方四時半を回っていた。
 ここ数日、ずっと時間に追われている気分だ。明日から本番が始まるというのに、まだ書類の作成すら終わっていない。机に向かい、紙上にペンを忙しく走らせる。
 作業自体は機械的だ。しかし僕の頭は、手とは違う方向を見ていた。
 ――生徒たちは受け入れてくれるだろうか。他の先生方とはうまくやっていけるだろうか。そういえば、最初の挨拶の内容をまだ考えてなかったな。第一印象は肝心だ。何を話そうか……
 明日の様子を頭の中でシミュレーションしながら、しばしブツブツと呟いてみる。気付けばペンを持つ手は止まっていた。頭を何度も掻く。張り裂けそうな胸を押さえる。そしてまたペンを動かし始める。
 五時を回った。
 結局、書類はまだ一枚しか書き終えていない。頭の中の考えも一向にまとまる様子はない。気ばかりが急いて、一つ一つの作業が恐ろしく遅い。
 この日ほど、真面目で気弱な自分の性格を恨んだことはなかった。真剣に考えれば考えるほど、緊張や不安ばかりが膨れ上がっていくのだから。
 ペンを置き、「ふうっ」と大きなため息をつく。
 ――行かなくちゃ。
 気持ちを入れ替えて立ち上がる。外行きの服に着替え、おもむろに荷物を鞄につめていく。
 準備を整え終わった頃、部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。
「はい」
 と、返事をする。その声とほぼ同時にドアが静かに開かれる。
「あ……お兄ちゃん。これからまたバイト?」
 顔を出した美里の手には、二人分のコーヒーとガナッシュケーキの乗ったお盆が握られていた。明日の準備で忙しくしている僕を気遣い、わざわざ運んでくれたのだ。その気持ちが本当に嬉しかった。
 このよく気の利く妹も、最近はますます成長してきている。
 確かに背は小さくて華奢だし、体型はお世辞にもスタイル抜群だとは言えない。胸やお尻もそれほど目立たない。
 しかし彼女の目鼻立ちは端正で、ここ数年でみるみるうちに可愛らしい女性へと変化してきた。ケバイ化粧などには全く見向きもしないし、常に清潔感を保っている。それも嬉しい。
 実の兄である自分がこんなことを言うのはおかしいかもしれないが、彼女は本当に素敵な女性になったと思う。
 美里の心遣いにあらためて感謝する。しかし、僕にはあまり時間がなかった。
「うん。今日は八時くらいには帰りたいと思ってるんだけど」
「……そっか」
 そう言った美里の顔は、どこか不安そうな色を湛えていた。

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