[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  〜美しき女性たちの狂気〜
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「逆リョナ」
女から男に対する猟奇的な行為に萌える趣味・嗜好 → 【 詳細 】

女が男を責める小説を掲載しています。
美しき女性たちの狂気 : いじめ、調教、格闘、暴行、リンチ、拷問、殺戮、etc...
小説の目次です。
それぞれの小説には、鬼畜度と、内容に関する主なキーワードを付けております。
読む際の参考にしてください。
過度の暴力的・猟奇的な描写や非人道的な展開を含む作品があります。予めご了承ください。

小説(短編・中編) [ 15作品 ]

長編小説 [ 10作品 ]

小説:優美子 [ 2作品 ]

小説:女王様 [ 8作品 ]

小説:正当拷問自白法 [ 4作品 ]

小説:女子高生 [ 11作品 ]

小説:ガーディアンセンター [ 2作品 ] 

詩、SS、etc... 

>>連載中
■ 「鬼ごっこ −予定調和−」 : 小説:ガーディアンセンター
 自由を求めた代償は重かった。終わりの見えない鬼ごっこ。男は死の女神から逃れることができるのか。
   →鬼畜度:★★★★★

■ 完結新作
 08.09.24up 「曇りガラスの向こう側」 : 小説:女子高生
 08.09.08up 「誰も知らない」 : 小説(短編・中編)
 08.09.02up 「山間に吹く風」 : 小説:女王様
イラストの目次です。
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▽ suzuro様
 ★ キャラクター絵
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▽ エッグ様 (URL
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 男の絶叫が地下室いっぱいに響き渡っていた。
 既に左腕を庇う動作は見られない。痛みが消え、縦横無尽にのびのびと床の上を跳ね回っているようにすら見える。しかし当然、そうではない。床を転がり、のた打ち回り、身体を丸めては仰け反らせる。その奇怪な動きは、他の痛みを超える更なる痛みが、女性から男に齎されたことを意味するものに他ならなかった。
 男は右掌で自分の右目を覆っていた。指の間からは血液が溢れており、男の右手は赤黒く染まっている。それでも尚、出血が治まる気配はない。身体を不規則に跳ね回らせながら、男は枯れた喉から声を絞り出し続けた。
 白一色で囲まれていた地下室は、今やその大部分が赤黒く塗り潰されていた。
 女性は立ち上がり、着色されていくこの部屋と男の奇妙な動きを、ただ無表情のまま見つめていた。
 

 ――絶好のチャンス。
 先ほどの瞬間を男がそう見たのは当然だった。
 女性と自分との顔の距離は限りなくゼロに近い。女性の瞳には優しい光が灯り、その身体は自分を包み込むように密着している。唯一使える右手は女性の死角にあり、女性の着けているイヤリングの位置は左側だ。――今しかない、と。
 それを好機と見た男に対して「間違っていた」とは、誰にも言えないだろう。
 女性が再びその顔を男に近づける。男が、女性のイヤリングと自分の右手の位置を確認するように、それぞれに目を遣る。女性の顔がさらに男に近付く。接吻の時を待たず、男が右手に力を込める。
 そのわずかな瞳の揺らめきを、女性は見逃さなかった。
 男の視線がイヤリングへと移行すると同時に、男の右手がそこへ伸びていく。その時男は、自分の視界の端に確かに映っていたはずの、女性の吊り上がる瞳に気付かなかった。いや、正確には、気付いた時にはもう遅く、次の瞬間には見ることができなくなった、と言った方が適切かもしれない。
 女性が突き出した左手の人差し指は、男の右目の中に吸い込まれるように深く入っていった。
 しなやかな指は凶器へと姿を変え、男の右目の角膜を破り、眼球の中身を破壊した。水晶体にまで到達した指は眼房を突き破っており、そこから眼房水が勢いよく噴き出した。それはやがて大量にほとばしる血液によって覆われていった。
 男の右目から光が失われた瞬間だった。絶叫し、身体を大きく跳ね上がらせる。しかし女性はその手を引かない。男の眼球内を堪能するかのように指先を動かし、しばらくその内部を抉り続けた。男は痛みと恐怖が混濁したような声色で叫び、女性は無感情に指を動かす。
 女性の指がようやく男の右目から引き抜かれた時、男は床の上を狂ったようにのた打ち回った。
 イヤリングは、男の血液を浴びてもなお、煌びやかな輝きをもって女性の左耳を飾っていた。


 つかつかとピンヒールがリズムを刻む。その音を妨げるように、男の絶叫が響く。
 女性は男の前でその足を止めると、右足で男の髪を踏み付けてその動きを封じた。怯えを隠さない男を見下ろしながら、左足をゆっくりと持ち上げる。そのヒールの先は、男の左目を捉えていた。
 女性が微笑を湛える。次の瞬間、再び男の断末魔の声が、地下室を覆い尽くした。

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 男の左腕は、もはやその機能を失っていた。
 女性がようやく右足の動きを止め、左足を上げて男の右手を解放した時、彼は反射的に左腕を覆うように体全体を丸めた。全身で左腕を庇いながら、呻き、咳き込み、しゃくりあげるような音を断続的に鳴らしている。その肩は大きく震え、痛々しいほどの恐怖を湛えている。先ほどまでの戦意は、もはや欠片すら見られない。彼の見せる背中は、あまりにも弱々しいものだった。
 呼吸を少しだけ乱した女性が、
「痛い?」
 と、淡然とした口調で問いかける。女性は未だ、男を跨いだままだった。
 男には到底、その問いに答える余裕などないのだろう。さらに身体を小さく丸め、震え続けている。女性はそんな男の様子を楽しげに見つめながら、その背中を容赦なく蹴り上げた。
「ぐっ!」
 小さく男が呻く。転がる身体を留め、再び左腕を庇おうとするが、それは叶わなかった。
 男が仰向けになった隙に、女性が男の腹の上に腰を下ろしたからだ。
「あ……あぅ……」
 心許ない声とともに、男は無意識にか自分の左腕に目を遣る。それから視線を女性へと戻し、
「も、もう……許してください」
 と、泣きつくように言葉を発する。何と発音しているのかすら聴き取りづらいほど、男の声は潰れきっていた。縋るような視線を投げかけている男の凸凹の顔を見ながら、女性は柔らかい笑みを零す。
「あなた、よく見ると可愛いよね」
 女性から放たれた言葉が意外だったためか、男の表情に動揺の色が浮かぶ。女性の瞳には妖艶な光が灯っていた。自分から少しだけ目を逸らす男の頬を、彼女は優しく両掌で挟み込む。そして、
「悪くないよ」
 と男の耳元で囁き、接吻した。
 あまりにも唐突だった。男の瞳が動揺の色を濃くする。彼が再び視線を女性へと向けた時、彼女の頬はわずかに紅色に染まっていた。男はそんな女性の魅惑と接吻による快楽に酔い痴れていくように、次第にその瞳の色を変えていく。彼はいつしか、その顔に恍惚の表情を浮かべていた。
 無音の世界が広がっていった。
 女性は唇の感触を味わうように、男の口を自分の口で包み込む。唇を擦り合わせる。舌を男の口腔内に挿入する。舌を絡める。男の瞳が次第に虚ろになっていく。
 盲目の絡みは続いた。
 いつしか女性は、男に跨っていた身体を少し横へとずらし、指先で男の首筋に触れた。息を漏らし、男は身を捩る。女性のしなやかな手は男の全身を柔らかくなぞり、やがて下半身へと到達する。
 男のモノは肥大化していた。
 女性がその手でそこをそっと包み込むと、男は敏感な反応を見せた。柔らかく擦る女性の手に呼応するように、男は身体を痙攣させ、喘ぐ。
 やがて男は果てた。吐き出された白濁液が下腹部を汚し、幾滴かが床へと零れた。
 唇と唇が離れる。同時に、二人の息遣いだけが、無音の世界を断つ。
 瞳と瞳がぶつかり、男はまた動揺の色をその表情に湛える。放心したように視線を外す。
 その時、男の切れた瞼が大きく開かれた。目に映るそれを凝視し、男は喉を鳴らした。

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 鈍い音が地下室を覆った。
「ぎぃやあああぁっ!……うぁ、……がああああぁ!」
 間もなく、男の断末魔の声が部屋全体に響き渡る。その勢いで男が瀉血する。
 女性の足はまっすぐに、男の折れた左腕へと伸びていた。同時に、男の背後にあるシェルターの壁が軋み、音を立てる。
 男の左腕は、女性が放った蹴り足とシェルターの壁に挟まれ、完全に押し潰されていた。
「はあっ……かっ……」
 男は声にならない声を必死で絞り出そうとしているようだった。折れた部位を追撃されたことによる苦痛は、男にとって想像を絶するものだったに違いない。擦れた息音だけが空しく喉から吐き出される。
 顔面を床へ押し付けるようにして、男は崩れ落ちた。男の顔周りの床には、じわじわと血溜まりができていった。
 間髪入れずに、女性は足で男の身体を押すように蹴って仰向けにさせる。
 男の顔は腫れ上がり、諸所が切れていた。口鼻からは血が流れ、既に原形を留めていないと言ってよいほど歪んでいる。加えて、先ほどの折れた左腕への追撃がよほど堪えたのだろう。男の開ききらない目は涙で覆われていた。
 しかし女性は、攻撃の手を止めるどころか、緩めるつもりもないらしい。彼女の瞳の煌々とした輝きが、その意思を明確に示していた。
 女性は、男と目線がしっかりと合う位置へと身体を動かす。頭の向きが二人同じになる。男の顔を見下ろしながら、女性は男の身体を跨いだ。突如、男が身体をビクッと反応させる。とっさに左腕を庇おうと男が動かした右手の掌を、女性は左足のピンヒールで突き刺し、押さえ込んだ。
「うあぁっ!」
 と、男が悲痛な声を上げる。右掌から血が滲む。
 女性は「ふふっ」と声を出して笑うと、既に力の入っていない男の左腕の方をじっと覗き込む。男は女性の行為を予測してか、全身を大きく震わせ、
「や、やめ……やめ……」
 と、断片的な言葉を放つ。大量の脂汗が男を包む。しかし女性は、男の心境を全く意に介していないようだった。嬉々とした表情を顔全体に浮かべ、再び、折れた左腕を執拗に足で責める。
「うあっ……っがあああああっ!……ぐっ、ああああっ!」
 男の声はすっかりしわがれてしまっていた。
 女性は、男の表情とその左腕を交互に見ながら、その足で左腕だけを徹底的に痛めつけた。女性は恍惚の表情を浮かべており、継続的に流れる笑い声は嬌声にも似ていた。
 ピンヒールブーツの爪先で、裏で、踵で――踏み付け、踏み躙り、突き刺し、抉り、嬲り、弄び――
 男の絶叫が鳴り止むことはなかった。
 彼の左腕は全体的に肥大し、赤みと青みの混じった奇妙な色へと変わっていく。さらに歪みを大きくしていく腕が、骨折部の増加を物語っている。諸所から鮮血が溢れ、その数も時間とともに増えていく。例えるなら、ゾンビの腕のよう、であろうか。今や男の腕はおぞましい物体へとその姿を変えていた。
 苦痛に加えて、狂気を湛えた女性の瞳、そして刻々と姿を変えていく自分の腕の恐ろしさもあろうか。
 男の悲鳴は恐怖を極めたように、限りなく本能に近い声色となって、この密室に反響し続けた。

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 必然の結果だと言ってしまえば、元も子もないかもしれない。
 ただ、この闘いが男にとって不利なものであることは、誰の目にも明らかだった。
 ガーディアンシステムの確立したこの完全な管理社会にあっては、全ての面において男が女に劣るのは当然のことだった。理由は、この社会のもつ女性上位の性質の影響が大きいからである。

 システムに反対する男たちもいたが、それは叶わなかった。
 実質九割を占める男性過多の社会状況。男の欲求不満ゆえの強姦事件の頻発。
 女性と人類の保護という大義名分を前に、反対派の抵抗はあまりにも説得力を欠くものだった。

 かくして成立したガーディアンシステムは、女性優位の不平等社会を着実に作り上げていった。
 女性は生まれた時から手厚い保護を受けながら教育を受ける。そして、成長に伴って住居区に移り住むことができる。そしてそれ以降は、いろいろなシステムサービスが与えられる。一方、男はセンターの敷地内から出ることすら許されていない。システムサービスを受ける自由などもない。
 つまり、これだけでも三つの男女不平等が成り立っているのである。
 一つめは、教育の違いによる知的レベルの差。
 二つめは、居住する環境の違い。住居区で太陽の光を存分に浴びて育つ女性と、センター内の人工光のみで育つ男性の発育の状態は、決して同じではない。
 三つ目は、システムサービスの有無。男がセンター内授業の体育だけで身体を鍛えるのに対し、女性は希望次第であらゆる運動ができる。女性が学べることの中で、特筆すべきは格闘技だ。空手、拳法、合気道、柔道、剣道、その他。様々なジャンルの武術を学ぶ機会が、女性にのみ与えられている。
 そして、この女性には格闘技の心得があった。身体こそ妖艶でしなやかであったが、内に秘めているものが違いすぎる。仮に、先の二つの条件を抜きにしても、この二人の差は最初からあまりにも大きかったのである。


 男は昏倒寸前だった。
 項垂れ、壁に身体を預けたまま、座るような体勢で腰を地に着けていた。
 手はダラリと垂れ下がり、足は前に放り出されている。身体中に傷痕や痣ができ、口からは相変わらず鮮血が零れていた。先ほど女性の蹴りを受けた左腕の一部が、不自然な形に曲がっている。いや、関節がひとつ増えているかのようだ、と言った方が適切かもしれない。男は骨折していた。
 そんな男の様子を見て、女性は瞳を輝かせていた。口元を妖しく歪め、舌をチロリと覗かせる。息も少し荒くなっているようだった。それはおそらく疲労からではなく、興奮によるものなのだろう。女性の艶然たる表情が、それを明確に物語っていた。
 女性はヒール音を奏でながら、ゆっくりと男に近付くと、
「今度は、また私が鬼かな?」
 と、子どもっぽい声色で問う。男の口がわずかに動く。何かを伝えようとしているようだが、そこから音が出てこない。女性の目尻がにわかに下がる。まるで、か弱い小動物を愛でるような瞳だった。
 女性の脚が、静かに持ち上げられた。

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 男の身体が痙攣を始める。しかしそれでも、傷だらけの両手はゆっくり床へと伸びていく。
 目尻、口元、鼻、頭部。諸所から流れる血液が、腫れ上がった男の顔を覆っていった。
 わずかに身体を持ち上げた男の両腕は、小刻みに震えている。表情を歪め、必死で両腕に力を入れている様子だった。
 女性は既に、そんな男の姿を見てすらいない。上目遣いに自分の前髪を覗き、指先で軽く梳いている。ようやく男が猫背の姿勢で立ち上がった時も、女性は視線をそちらへ向けようとはしなかった。
「ぐ、おおおあっ!」
 奮起したように声を絞り、男が再び女性に向かって突進する。女性は男に目を遣ることもなく、その体当たりをするりとかわす。苦笑し、
「それはさっきやったでしょ?」
 と、窘めるように声をかける。男は憤怒し、今度はがむしゃらにその腕を大きく振り回す。
 女性はその時になって、ようやく男を見る。そして、
「今度は、あなたが鬼になったみたいね」
 と微笑しながら、向かい来るその腕を手の甲や掌で弾いて逸らしてみせる。
「観客も悦ぶと思うよ」
「うるせーんだよ! おらああぁっ!」
 完全に頭に血が上っているのか、男からは既に言葉遣いへの配慮は見られない。女性にも、今やそれを気にしている様子は見られなかった。ただ涼しげな表情を浮かべ、男の拳を軽々とかわしている。
「やっぱり、動作も鈍いね」
「くそっ……、くそ、おおぁっ!」
「もしかして、もう息切れ?」
「……っかに……、馬鹿に、す……すんじゃねぇっ!」
「そう。じゃあちょっとだけ、力入れるね」
 言いながら女性は、男の両手首を難なく掌で捕らえる。男の動きが止まる。女性が両掌にじわじわと力を込めていくにつれて、男の顔が青ざめていく。やがて男は絶叫した。女性が両手から力を抜いた時、男は弾かれたように互いの腕を庇って蹲った。
 男に苦悶の表情が浮かぶ。いつの間にか、男の両手首は真っ赤に変色していた。
「弱々しい身体……」
 女性が男を挑発する。
 男は鼻息を荒くしながら、今度は大振りの蹴りを放つ。しかしながら、それは到底、蹴りと呼べるようなものではなかった。強いて言えば、舞踊であろうか。当然それも、女性の前では何の効果も為さなかった。彼女は「ふうっ」とため息をつくと、
「大体、闘い方がなってないよ」
 と、呆れ返ったような口調で言う。そして――
 …………突如、男の表情が恐怖の色へと変わる。次の瞬間には、再び男は宙を舞っていた。
「蹴りはこうやるの」
 と小さく呟き、女性はその足をゆっくりと地につけた。その笑いの混じった声はおそらく、吹き飛んだ彼の耳には届いていなかったことだろう。
「ぐはああぁっ!」
 男の悲鳴が、またも狭い地下室に木霊する。
 シェルターの壁に身体を叩き付けられた男は、壁をなぞるようにして、再び床へと崩れていった。

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 男は女性との間合いをはかるように、覚束ない足取りで後退する。その視線は絶えず、女性の左耳に注がれていた。距離を取り、じわじわと弧を描くように女性の周りを移動する。
 対する女性は、特に身構えることもなければ、緊張感をもっている様子もない。目線と顔の向きだけで男を捉えながら、ただじっとその場に立っていた。
「っ、だああっ!」
 と、威勢のよい声を絞り出し、男が突進する。
 もともと狭い地下室だ。足がふらついているとはいえ、ものの数歩で距離は縮まる。しかし女性は動じない。男が体当たりの姿勢を取ってから、女性はようやくわずかな動きを見せる。
「ぐあはああぁっ!」
 絶叫が響き渡る。その声の主は男だった。
 女性は突進する男の背中をポンと軽く叩いて逸らし、勢い余って通り過ぎたところを狙ったのだ。女性が振り上げたヒールの爪先は、正確に男の股間を捉えていた。睾丸を突き上げられた男は、その足の動きを止める。ビクビクと身体を小刻みに震わせる。両手で恥部を押さえながら、男はあっけなく、その場に前のめりに蹲った。
「あ……があぁ……」
 呻き声を漏らし、男は悶絶し続ける。床に突っ伏し、身体を右へ左へと揺さぶる。
 女性はそんな男の姿を一瞥すると、
「痛い? やりすぎちゃった?」
 と、悪戯っぽい笑いを零す。男には、それに答える余裕など、到底なさそうだった。
 男は跪くような体勢のまま、苦悶を続ける。女性は背後から再び、一発、二発と追い討ちをかける。爪先が男の睾丸に突き刺さる。彼女の表情には、サディスティックな冷笑が浮かんでいた。
「ふぐ……ぅあ!……ぐうっ!」
 と、悶声を響かせ、男はその身体を床に埋めた。泡の塊をいくつも吐き出しながら、床の上をのた打ち回る。しかし女性は、男の動きすらも自由にさせない。すぐさまその腹を踏み付けて、男の身体を床に固定する。ピンヒールの先が臍の下辺りを貫き、男は再度、悲鳴を上げた。
 侮蔑のこもった瞳で男を見下ろしながら、
「所詮は男ね。脆くて、弱い」
 と、女性がくすっと笑う。腹を爪先で押し潰すようにしながら、喰い込んだ細いピンヒールの先をグリグリと男の皮膚の中へと押し込んでいく。男は目を見開きながら、大口を開けていた。声が出ないほどの痛みを感じているのは明らかだった。男の表情が、それを如実に物語っている。
「おまけに、醜い……」
 女性は加えて、さらにそう侮辱する。その表情は、哀れみの感情すら垣間見せるものだった。
 悲痛に呻く男の下腹部からピンヒールの先端を抜くと同時に、女性はさらに男の腹を何度も踏み付けた。足の裏が、その衝撃を男の内部に伝える。尖ったピンヒールの先が、男の身体にいくつもの穴を開ける。
 みるみるうちに男の胴体は赤みを帯び、諸所にできた皮膚の穴からは血液が滴り落ちた。男は苦痛に満ちた表情を浮かべ、呻き声を上げ続ける。
 女性は「まだ死んじゃダメだよ」と軽い口調で囁き、男の顔面を蹴り飛ばした。
 宙に舞った男の身体が、ドサリと空しい音を立てて床に落ちた。

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 一筋の汗が男の頬を伝い、床へと滴り落ちた。
 女性の顔を見ながら、男は全身を震わせている。女性は、あからさまに怯える男の様子が面白いのか、その瞳を覗き込みながら、楽しげに微笑んでいた。
 男は表情を引き締め、床に伏せていたその身をようやく起こした。顔を歪めながら、壁を背にして座り込む。そして、悄然とした口調で女性に話しかけた。
「それで、俺はどうすれば……?」
 男のその言葉と同時に女性はすっと立ち上がった。左耳に付けたイヤリングを指先で得意げに弾いてみせる。男は真剣な眼差しでそれを凝視する。
 女性は口の端を持ち上げ、
「私からこれを奪えたら、助けてあげる」
 と、軽い口調で言った。鍵を取り出し、男の両手を拘束していた手錠を外す。解放感からか、男はその胸を大きく膨らませ、勢いよく息を吐き出した。顔色がわずかに赤みを取り戻す。
 男は低い声で、内容を確認するようにゆっくりと言葉を並べた。
「本当に……それを取ったら、助けていただけるんですね?」
「……ここでは、私が全て。わかる?」
 そう言って女性は、妖しく瞳を揺らめかせる。
 刹那、男はキッと女性を見据えた。それは腹を空かせた獣のような眼つきだった。



 人工光が静かに閃いている。
 対峙した両者から生み出された影は、その様相の違いを明確に映し出していた。
 一方の影は、左右に大きく揺れ動き、今にも崩れてしまいそうな脆さを床に描いている。対するもう一方の影は、まるで静止してでもいるかのように、全くと言っていいほど動きを見せない。
 対照的とも言える二つの影が、ほの暗い地下室を飾っていた。皮肉にもその影が、両者の力関係を顕著に物語っているようだった。
「まだやる?」
 静寂を打ち破ったのは、したたかで冷たい、高い声。
「も、もちろん……です……」
 と、その問いかけに答える、あまりにもか細い、低い声。
 人工光はその二人の実体をも、容赦なく照らしていた。
 そこに映し出されているのは、対峙するにはあまりにも不釣合いな両者の姿だった。
 一人は女性。
 小首を傾げながら、冷然とした視線を相手へと向けている。その表情は涼しげで、余裕そのものといった風だ。息切れひとつすることなく、わずかに微笑んですらいる。
 もう一人は男。
 痛ましい傷や痣が、顔から足の先までを、くまなく彩っていた。肩を大きく上下させ、膝が微震を続けている。立っているのもやっと、といった状態なのだろう。喉から漏れる擦れた声と荒い呼吸音が、継続的に鳴り響いていた。

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