[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  〜美しき女性たちの狂気〜
 僕に自由はない。それを必要とも思わない。
 首輪で繋がれ、女王様がそのリードを持っているからではない。では、僕自身がそれを望むから?
 再び皮肉めいた笑いが込み上げてくる。
 僕はやはり駄目な道具だ。その証拠に、本がパタンと閉じられる音が聞こえただけで、僕はこんなにも胸を高鳴らせているのだから。意思をもつ道具なんて、道具失格だ。
 雨は雨として役に立つ。僕は僕としても、いや、道具としてすら役に立たない。
 女王様はひとつ大きなため息をついた後、その体勢を変えた。僕とは反対方向に顔を向けて馬乗りになる。その足先で僕のそそり立ったモノを挟み込み、弄び始めた。
 思わず声を漏らす。
 ふと背中の女王様の方へと目を向けるが、その視線は依然として本に注がれているようだった。女王様の足の裏の感触と陰部を擦る運動の心地よさから、力がどんどん抜けていく。
 そして僕は亀頭から薄汚い液体を存分に吐き出した。と同時に、僕は手足の力を急激に失い、ついに崩れ落ちてしまった。
 肩で息をする。思った以上に身体が重い。息を荒げる僕の横に、女王様が立っているのが分かった。静かにじっと、床に這いつくばった僕を見つめている。
 あまりの恥ずかしさから、僕はその瞳を見ることができなかった。長い沈黙に恐怖心が募る。
 本は既に女王様の手を離れていた。それが何を意味するのか、僕にはよく分かっていた。それなのに……。
 腹部を鈍痛が襲い、僕は床に横たわったまま身体を丸めた。女王様は無表情のまま、僕の腹を何度も蹴り続けた。
 必死で許しを乞う。
 椅子としての役割をまっとうできなかった自分が心底嫌になる。女王様に余計な手間をかけてしまった自分に憤りを覚える。自分の情けなさをあらためて痛感し、自己嫌悪に陥る。
 僕は内臓から込み上げてくる嘔吐感を堪えながら、ただひたすら謝罪の言葉を口にした。しかし、お仕置きは終わらない。何度も咳き込み、何度も苦悶の声を上げる。
 執拗に腹だけを責められた僕は、やがて吐瀉物を吐き出した。同時に汗が、涙が、僕の身体からどんどん溢れ出てくる。
 ――あぁ、僕はやっぱり雲と同じなんだ。
 僕は朦朧とする頭で、以前の女王様の言葉を思い出していた。
 女王様のお仕置きの手が止んだ時、僕はぐったりと床に身体を横たえていた。本当に小さな声だったに違いない。しかし僕は、それでも必死で口を動かし続けた。謝罪の言葉を何度も繰り返す。
 容赦なく、リードがぐいと引かれる。
 僕は腹部の痛みに耐えながら、四つん這いのままで女王様の後をついて行った。
 女王様が玄関の扉を開けると、雨のにおいが鼻腔を包み込んだ。女王様はそこでリードを手放し、ひとり雨の中へと歩を進めていった。僕は慌てて、四つん這いのまま後を追う。
 僕が側に着いた時、女王様は遠くの方を指差していた。指の先へと目を遣ると、そこには雨の中、傘も差さずに泥遊びをする五人の子どもたちが見えた。雨に濡れながらはしゃいでいる。
「あの子たちも楽しいのね。」
 そうポツリと漏らす。言いながら女王様は、その身に雨を浴び続けている。その瞳はまるで子どものように活き活きとしていた。
 女王様は僕の目の前にしゃがみ込み、僕の瞳をじっと見つめる。
「雨雲のおかげだね。」
 そう言って女王様は僕の濡れた頭を撫でた。その手はとても温かかった。

 僕の目から、再び涙が零れ落ちた。まるで雨のように。



END

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 額から、じわりと汗が垂れた。
 女王様の踵が、何度も僕の腹を抉る。
 僕は呻き声を上げながら、身体を小刻みに震わせる。
 視線を下へと落とした僕の視界の隅には、すらりと伸びた女王様の脚が映っていた。
 内部から込み上げてくる苦しみが、僕の興奮を煽る。
 背中に感じるお尻の感触と重量感も相俟って、僕の陰部は大きな膨らみを見せていた。
 どのくらいの間こうしているのかなんてもう忘れてしまった。
 床についた膝や肘の感覚はとうに無くなっていた。
 読書に勤しむ女王様は沈黙を保ったまま、時折ページをめくる音を立てる。そして時々僕の腹を蹴り上げる。痛烈な痛みが襲う。吐き気を堪えながら、僕は必死で両手足に力を込める。
 今、女王様の意識の全ては目の前にある本の世界に入っているのだろう。反対に、僕の意識は全て女王様に向けられているのだ。いや、そもそも意識をもつこと自体が罪なことなのかもしれない。
 なぜなら僕は、椅子なのだから。
 それ以上でもそれ以下でもない。もちろん昨日までの僕は椅子ではなかった。しかし今日、僕は椅子になった。それは当然、僕の意思によるものではない。
 女王様がそう望んだから。
 僕にとって、それ以外の理由など必要なかった。
 女王様の手元から伸びたリードは、僕の首輪にしっかりと繋がれている。
 再び腹を蹴り上げられ、僕はたまらず蹲りそうになる。しかし当然、椅子である僕が崩れることは許されない。
 リードがぐいと引かれる。それが僕への合図。僕は同じ姿勢を保たなければならないのだ。
 項垂れていた頭が持ち上げられる。
 窓の向こうで降り続く雨が視界に入った。
 女王様は依然として読書に執心している。その瞳が、その意識が、女王様自身がこちらに向くことばかりを、知らず知らずのうちに考えてしまう。下品な部位を肥大化させながら。僕は自分の欲深さに落胆する。
 僕は女王様によってのみ価値を与えていただける下衆だと言うのに……
 椅子であるという価値が与えられて初めて、僕は僕の存在価値を知ることができると言うのに……
 限りなく募っていく自分のエゴが許せなかった。
 ビクビクと脈打つ汚らしい自身に嫌気が差していた。
 暗雲は陽光を見事に遮っていた。
 以前、女王様に、あなたは雲みたいなものだと言われたことがある。あれはどういう意味だったのだろうか。太陽の輝きを背中で受け止めるあの雨雲。彼は一体、何を思っているのだろう。
 陽光を自分の身ひとつで遮断できることを誇りつつ、恵みの雨を地上へ届けようと自信をもって必死で頑張っているのだろうか。それならあの雨は、雲の流す汗なのかもしれない。
 逆に、生命の源である陽光を地上から断ち切り、人間や動物たちに鬱陶しく思われる雨をその身から流していることを嘆いているのだろうか。それならあの雨は、雲の流す涙なのかもしれない。
 そこまで考えた時、僕は自分の口元が少し皮肉に歪むのが分かった。
 今の僕と、とても似ているような気がしたから。

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明けましておめでとうございます。

一年の計は元旦にあり。
というわけで、今回は女王様と僕の二年参りの様子をご覧いただきました。
揺れ動く「僕」の心情と、女王様の慈悲深い愛情。
そして生まれる、新たなる二人の信頼関係。
新年を迎え、二人は今後どのような道を辿っていくのか。
この二人にとって今年がよい年になるよう、どうぞ応援してくださいね。

皆様におかれましても、今年が実りある一年になりますように。
今年もBlack Onyx [ブラックオニキス]をどうぞよろしくお願いいたします。

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 僕は女王様に続き、慌てて参拝をする。僕の祈ることは全て、女王様に関することばかりだった。
 ――どうぞ今年も、女王様と一緒にいられますように。女王様と、出来るだけ長い時間を過ごすことができますように。どうぞ、その手にしたリードを、女王様が手放しませんように……
 再びリードを引かれる感触があり、僕たちは今来た道を逆に進んでいった。
「何をお願いしたの?」
 唐突な質問に、僕は口ごもる。
 ――僕の願いはただ一つ。あなたと一緒にいたい。出来る限り……出来る限り長い時間……
 それは声にはならなかった。
 声に出してしまったら、それが叶わないような気がしたから。女王様と僕をつなぐ糸が、切れてしまうような気がしたから。不安な気持ちが、もっともっと大きくなってしまうような気がしたから。
 女王様はそんな僕の姿を見て「ふふ」と笑った。呆れられてしまったのだろうか?
 ――女王様。あなたにこの僕の気持ちが分かりますか? 女王様……。
 そんなことを考えていた矢先、女王様がふいにその足をピタリと止めた。
「……出していいわよ。」
 女王様が僕のコートの中に手を入れる。指先で僕の最大限に膨れ上がったものを指で弾く。
「あ……ああっ、はううっ……」
 欲望の溜まっていた僕は、女王様の指先一つで、下半身から煩悩を一気に爆発させた。
「今年も、いい年でありますように、でしょ? 普通は。」
 しばし放心状態で立ち尽くす。地面には白い液体が滴り落ちていった。
 液体とともに僕の煩悩の全てが身体から抜けていく。そんな錯覚に陥っていた。
「本当に馬鹿な子。そんなことだろうと思ってたわ。」
 そう言うと、女王様は僕の首輪をパッと手放した。そして僕の前に背中を向けてすっと立つ。
「私はあなたの飼い主だから……。こんなものなくても、ちゃんとペットはついてくるものよ。」
 その言葉で、僕の瞳には涙が一気に溢れた。
 ――女王様……女王様……。これからも、こんな僕を飼ってくださるんですか?
 忘れもしない秋の日。一人で歩かされることに恐怖を覚えた。女王様の真意を微塵も感じ取れず、僕は孤独感でいっぱいになっていた。女王様には分かっていたのだ。卑屈に曲がった僕の心が。
 ――そんな僕を、あなたは許してくださるとおっしゃるんですか?
 涙は止められそうになかった。ただ女王様に対する敬意だけが、僕の中で大きく膨れ上がっていった。

「……ありがとうございます。」

 ゆっくりと進んでいく女王様の背中を見ながら、僕は深々と頭を下げた。

 ――今年も、いい年でありますように……



END

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 雪はしんしんと降り続いていた。
 絶えず途切れない人の声の中、除夜の鐘が厳かに鳴り響く。
 僕は女王様の後ろに貼り付くように、人混みを歩いている。

 出したい……。

 除夜の鐘が百八回撞かれるのは、人間にその数だけの煩悩があるからだという話をどこかで聞いた。
 今の僕はと言えば……まさに煩悩の塊だろう。
 僕は女王様に射精管理をされている。最後に射精したのは、もう一ヶ月も前になるだろうか。
 羽織ったコートの下は全裸。首には首輪が付けられ、女王様はそこについたリードを持っている。お尻の穴にはリモコンバイブが挿入されており、さっきからずっと微振動を続けている。そのリモコンはもちろん女王様の手の中だ。
「人がたくさんね。」
 女王様は僕の方を振り返ることなく、僕に語りかける。
 コートからストッキング、ピンヒールに至るまで全て黒で彩られた女王様の姿はとても美しく、僕はその姿を見るだけでもどかしさを抑えきれない。
「ほら。ちゃんと歩きなさい。」
 歩きながら女王様は、後ろにいる僕の鳩尾を肘で突いたり、ピンヒールの先で足を踏みつけたりする。僕はその度に、与えられた苦痛によって過敏に下半身を反応させてしまう。
「女王様。僕……」
 腰の辺りが熱い。僕の興奮は既に限界を迎えていた。自分の欲求を抑え込めない。
「何?」
 冷静な瞳に見据えられ、僕はそこで言葉を続けられなくなる。
「はうっ……」
 挿入されたバイブが振動を強くする。射抜くような瞳はそのままに、女王様は口元を弓なりに曲げた。女王様にとって、僕が欲求を口に出すことを抑制するのは赤子の手を捻るが如きことなのだ。あらためてそれを自覚させられる。僕は俯き、黙って女王様の後ろを再び歩き続ける。
「どうしたの?」
 黙り込んだ僕を見て女王様が声をかける。僕はその問いに、すぐには応えることができなかった。
「我慢、我慢。いい子ね。」
 茶化すように女王様は再び僕に声をかける。しかし僕はまだ口を開くことができなかった。
 ――女王様。僕は苦しいです。出したい……。こんな僕の気持ちにも気付いてもらえないんでしょうか? そう思うことも罪ですか? 女王様……。僕は、だんだんとあなたが分からなくなっています……
 自分の中で不安が募っていくのが分かり、自己嫌悪に陥る。きっと僕はこのまま……女王様の玩具にされながら……。それで飽きたら、きっと……
 いつの間にか、目の前には大きな境内が見えていた。
 それに気付いた時、僕の首輪がぐいと強く引かれる感触があった。拝殿を前に女王様は、既に参拝を始めていたのだ。リードを手にしたままで。

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SとMを繋ぐ信頼関係。主であることと従であることのお互いの同意。
相手への思いがあればこそ成立する、歪んだ愛情の形。
そんな中、少しの不安から揺れ動いていくM男の心。
二人の関係は、今後どういった展開を迎えるのか。

話は変わりますが、先日ネットサーフィン中に偶然「M的願望症候群」というサイトを発見しました。
以前に私が執筆した『M的妄想症候群』と名前がそっくり! しかも同じM男もので、驚きました。
Black Onyx [ブラックオニキス]の読者の方の中にも、ご存知の方はいらっしゃったかもしれませんね。
私は恥ずかしながらそのサイトを知らなかったもので、偶然タイトルが被ってしまったようです。
もちろん内容は全く関係のないものです。
あちら様にもご迷惑はおかけしたくありませんので、お間違いのないようお願いいたします。

お陰様で、FC2ブログランキングの方、順位が上昇してまいりました。
ご協力いただいている方々、本当にありがとうございます。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

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11日にメールを下さった方へ。

返信メールアドレスが記載されておりませんでしたので、ここでご返答いたします。
『夜霧』へのご感想、ありがとうございました。
楽しんでいただけたようで、大変嬉しいです。
18禁要素が薄かったということでしたが、私はくノ一の殺戮自体がエロだと感じていますので(笑)
まぁ、そんなコンセプトのサイトだと思ってください。
サイトの構成が分かりにくいとの質問があったので、システムの説明をいたします。

<当サイトの見方について>
当サイトはブログの形式を使っております。基本的には、一般的なブログと同じ構成になっております。
一番上のサイトタイトルをクリックすると、トップページが表示されます。トップには最新の小説を置いています。
(※トップページとして、別ページは設けておりません)
サイトについて◆ : 注意書きです。初めての方はご覧ください。
小説目次◆ : 小説一覧はこちらからどうぞ。
上記の二つは、右サイドバー上部からリンクしています。
 窓の外は秋の夕日に彩られ、全ての自然が赤々と燃え滾っていた。
 女王様が、外へと続く扉を開けた。一気に大気が部屋に流れ込む。
 普段は意識していない、さまざまな感覚が鋭敏になる。空気は大分肌寒くなってきており、冬の到来を予感させる。
 心許無い、ということをこんなにも直接的に感じるとは……
 人里離れた山小屋の外には高い木々が生い茂り、風に乗って落ち葉が舞っていた。
 言いようもない不安が心を埋め尽くす。
 ふと横を見ると、女王様はこちらを見つめ、静かな笑みを零していた。
 ……独りになるのが怖い……
 こんなに不安な気持ちになったことはなかった。
 僕は女王様の奴隷として一生を生きていくと心に誓った。どれだけ虐げられても、どれだけ罵倒されても、どれだけ苦痛を与えられても……
 ――それは、僕自身が心から望んでいるもの――
 そう。いつだって、あの方は僕の横にいてくれた。それなら、今のこの『解放』は?
 これがお仕置きなのだろうか。僕は放置されてしまうのだろうか。ひょっとしたらこのまま見捨てられてしまうのだろうか……
 考えるほど、僕の不安はどんどんと膨らんでいく。身体を小さく縮こめてしまう。孤独という名の恐怖と羞恥心が同時に僕を襲い、眩暈で倒れてしまいそうになる。
 立ち尽くしたまま動けないでいる僕の後ろから声が飛んできた。
「行きなさい。」
 僕に下された、女王様からの残酷な命令。

 ――僕……一人で?

 僕はこれから、一人だけで歩む日が来るのだろうか?
 一度芽生えた不安は、少しずつその大きさを増していく。
 女王様は、綺麗な笑顔を僕に向けている。夕日の赤が、その美しい顔に映えた。
「ほら、行きなさい。」
 再び命令が下される。
 僕は全裸のまま、コテージから一歩を踏み出した。

 心に喰い込んだ、小さな棘を抱えたままで……



END

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 僕は女王様にされるがままに、その身を委ねた。自分の放つ恍惚の表情が手に取るように分かる。
 女王様はいくつもの針を僕の身体中に突き刺していく。腕、脇腹、腰、そして乳首。身体中が注射針によって彩られていった。
 皮膚が破られる痛みと恐怖に僕は声を出すことすらできない。それを見た彼女はまた嬉しそうに僕の身体中を舐めるように見回すのだった。
 女王様の指先が全身を撫でるたび、僕は大きく反応する。
 肌に触れるか触れないかの境目で、僕の身体中を細い指先が滑っていく。
 僕はもう、女王様なしでは生きていけない身体になってしまっているのだ。あらためてそれを自覚する。
 苦痛と快楽が交錯する中、僕は女王様から目を離すことができなくなっていた。小刻みに震えながら、ただ彼女の次の言葉を待つのみなのだ。
「まだまだ刺せる場所はたくさんあるね。」
 鼻で笑いながら言った女王様のその言葉に、僕は目の前が真っ暗になった。まだこの恐怖が続くのかと思うと、膝がガクガクと震えた。僕は怯え、女王様を見上げる。
「痛いの?……怖いの?……それなら抜いてあげようかな。」
 思いがけない温情の言葉に、僕はみっともないほど慌てて何度も頷いた。
「そう。じゃあ……覚悟はいいね。」
 女王様はくすくすと笑い、手を伸ばした。それを目にした僕は、驚愕のあまりさらに大きく震えた。その手に握られていたのは、鞭であった。
 女王様は躊躇なく、僕の身体に何度も鞭を振るった。その鞭は、時に肌を打ち、時に針を打った。鞭に払われた針が、足元へと散乱していく。打たれる痛みよりも、針が折れてしまうのではないかという恐怖の方が大きかった。
 血が滲んでくる。所々に痣ができていく。僕は恐怖し、彼女は笑う。ただ、僕の下半身はその間も、漲ったままだった。


 やがて僕を繋いでいた手枷と足枷が外された。もちろんそれは、僕の解放を意味するものではない。新たな命令への移行なのだ。
 ――本当に?
 少し心に引っかかるものを感じる。これがもし解放を意味するものであったなら……それは僕にとっての自由?……それとも……恐怖?
 僕は脳裏を過ったわずかな引っかかりをふり払うように、頭を乱暴に横に振った。
 女王様は、鞭で払いきれなかった残りの針を抜いてくれている。
 女王様の指示に従うこと。女王様の意向に沿うこと。女王様の側で生きること。僕の生きる意味は、もう既に決まっているのだ。

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「ぐ……あああぁ……ああぁ……」
 黒いピンヒールの先が、僕の足の甲を突き刺す。じわじわと、幾箇所にわたって女王様のヒールの先は僕の足を痛めつけた。
「いい声ね。もっともっと……聞かせて……。その苦しみの声を……」
 女王様が踏みつける度に僕の絶叫がコテージ内を覆い尽くす。彼女はそうしてしばらく僕を弄んだ後、さらに拳で僕の腹を殴った。一発……二発……三発……
「ぐうおえっ……。ごうっ……。がはあっ……うぶぅ……。」
 女王様の拳は深く僕の腹にめり込む。内臓を圧迫される感覚。僕は嘔吐し、地獄に蠢く亡者のような呻き声を上げる。
 瞳はじっと僕を見つめたまま、僕の肩に手を乗せる。さらに女王様は、膝を大きく後ろに引いた。
「ぐはああっ!……おえっ……。ごほっ……」
 彼女の膝が僕の内臓を抉る。それは僕にとって、苦痛でもあり、快楽でもある。
 苦しい……。身体はこんなにも悲鳴を上げているのに、僕そのものがそれを貪欲に求めている。
 ――もっと……もっと……もっと……
 僕はとうとう胃の内容物を床にぶちまけた。女王様は汚物が床に広がるのを見ながら微笑を浮かべていた。
「汚い子だね。こんなに汚しちゃって……お仕置きだよ……」

 ――!!――

 お仕置きという言葉に僕は大きく反応する。
 ぐったりと身体を前のめりにしたまま、僕は小刻みに震える身体を抑えることができなかった。
「ご……ごめんなさい……僕……」
 女王様は僕に付けた首輪のリードを片手でぐいと引き寄せる。反対の手に握られていたのは、一本の注射針だった。
 背筋が凍りつく感覚を覚える。女王様がゆっくりと僕の太腿に針の先を近づける。今まさに皮膚を突き破られる、その恐怖が僕を縛り付け、身体が硬直する。
「ぐ……うぅ……」
 恐怖と痛みを堪える。そんな僕を見ながら女王様はくすくすと笑い、その針の先端部を指先で弄ぶ。
「震えてるね。怖いの? もっともっとあげるわね。」
 悪戯っぽく僕に声をかける。当然僕には抵抗したり逆らったりする権利は与えられていない。
 必死で恐怖に耐える。しかし反面、僕のモノはやはり大きく膨れ上がっていた。それこそが、女王様に与えられる苦痛と恐怖が僕にとって最高の快楽であることの証だった。

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 空気を切り裂くような音が、コテージ全体に響き渡る。
 全裸の身体に赤い亀裂が入り、僕は悶絶する。それは僕にとってこの上ない快感だ。
 女王様は優しく、そして厳しく僕の身体を何度も鞭で打ち据えた。
 ボンテージと黒の網タイツ。黒手袋にピンヒールを身に纏った女王様はとてもセクシーで煌びやかだ。
 紅いラインの引かれた唇の艶かしさが、僕の心をしっかりと釘付けにする。
 僕はその姿に見惚れながら、全身を揺さぶるほどの衝撃に耐え続けていた。
 手枷と足枷が肌に喰い込む。磔台に固定された僕は身動き一つとることができない。
 一発、また一発と打たれる度に僕は苦痛に耐え、同時に快楽をも得る。そして、また次の一発を乞うように待つ。
「この雄豚が。これが気持ちいいんだろ、ほら。」
 僕は「はい」とだけ答え、なおも与えられる鞭をこの身で受ける。肌は徐々に裂け、そこから血が滲んでくる。それを見て彼女は感嘆の声を漏らす。
 僕は愉悦に浸る。全身からはどんどんと力が抜けていく。
 女王様の鞭の嵐は止むことなく僕に襲いかかるのだ。
 ぐったりと身体を前のめりにした僕の側に彼女が来る。僕の顔を嬉しそうに覗き込む。
 下目遣いに僕を見下ろす女王様に圧倒され、僕は思わず俯く。しかしすぐに指先で顎を持ち上げられ、再びじっと瞳を覗き込まれる。
 女王様の美しい瞳を目の前にし、僕はうつろな視線を弱々しく返す他はなかった。
 ぼんやりとかすむ目で見上げた女王様の口元には、妖艶な笑みが零れていた。

 ――これは肉体と魂の一致なのか、それとも乖離なのか……

 僕はもう自分が何なのか分からなくなってきていた。彼女の瞳は、僕から思考力も判断力も、理性すらも失わせてしまっているのだ。
 女王様はそんな僕の心の中まで見透かすかのように、瞳の奥を静かに見つめ続けていた。僕はもはや、その強くて優しい瞳の虜になってしまっていた。
 全てを女王様の意志に委ねる。
 完全に彼女に骨抜きにされた僕の精神や肉体は、僕にありのままの姿を曝け出させていた。

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