[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 星井麻耶は悪戯っぽい笑みを零した。
 修造は相手に心臓の音が聞こえてしまいはしないかと内心震えていた。掌の上で踊らされているような感覚が身を襲う。動揺を隠せず、修造は空調の整えられた喫茶店で全身から汗を噴出させていた。そんな彼の瞳を覗き込むように小首を傾げた麻耶は、再びくすりとその顔に笑みを零した。
 一通り契約が済み、麻耶は喫茶店を後にした。
 修造はまだ狐につままれたような気分から解放されていなかった。
 ――解せない話だ。
 気付けば彼は再び、目の前の灰皿を溢れさせていた。

 振込みは後日、無事確認が取れた。
 修造はあらためて仕事の段取りを構想する。
 正直なところ、これまでは半信半疑だった。奇異な依頼内容から考えても、そう簡単に信じられるようなことではなかったからだ。しかし振り込まれた多額の金が、依頼が冗談である可能性を否定してしまった。
 ――あの女は本気で、自分自身を殺すつもりだ。
 そう考えると、あらためて彼女の目的が気になってくる。これまでの仕事は少なからず、殺害される人間は望まない死を迎えた。被害者本人にとってはさぞ無念なことだろう。だからこそ、せめて殺す際にはなるべく苦しまないようにと、彼はそっと殺してきたのだ。
 ある人は眠ったまま目が覚めなかった。ある人は驚く間もなく葬った。ある人は一瞬で肉塊となった。ある人は――
 しかし、今回の場合は明らかに事情が違うのだ。対象人物は自分が殺されることを知っている。そして、なるべく苦しむように殺害しなければならない。
 ――何が目的なのだろう。あの女性は、何を考えているのだろう。
 考えても無駄だということは、修造自身がよくわかっていた。だが一度考え始めると、なかなかそこから抜け出せなくなる。彼は自分のそういった癖を鬱陶しく思っていた。
 ――仕事の成功だけを考えよう。
 彼はそう自分を納得させた。考えてみれば、今回の対象者は自分が死ぬことを知っているわけだから、抵抗による失敗はまず無いのだ。それだけでも、仕事の遂行は実に楽なものだ。今考えるべきことは、いかにして彼女を獄死させるか。それだけなのだ。と、そこまで考えたところで、やはり自分を誤魔化すことはできないのだと察する。
 無理もない。何しろ修造は、これまでスマートなコロシをモットーにしてきた。彼の仕事はまさに「消す」ことだった。痕跡を残さず、被害者は苦しまず。だが今回は……
 修造はまた頭を抱えた。

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