[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「助けてくれ!」
 部屋に入るなり、男はひきつれた叫びを上げた。
「ど、どうしたの?」
 招き入れた女が狼狽する。男の表情からは、完全に血の気が失せていた。
 旧知の仲とはいえ、こんな夜更けに異性の家を訪ねてくるなど、彼女の常識では考えられないことだった。だが――、だからこそ、女はドアを開けた。切迫した状況は、彼の声を聞けば誰にだってわかる。
 女はネグリジェを羽織っていた。白く薄い生地から、下着が透けている。女はわずかな恥じらいを覚えている様子だった。だが、男のほうは、それどころではない。汗ばみ、呼吸を乱し、ただ身を縮めるばかりだ。
「頼む! かくまって!」
 男は震えていた。青ざめ、その瞳は視点を定めようとしない。何でも、ひょんなことから同棲中の彼女と口論になり、次第に激化し、やがて彼女のほうが刃物を持ち出してきたのだという。このままでは殺される――と思い、共通の友人である目の前の女の元まで必死で逃げてきたというわけだった。
「そんなに怯えなくても……」
 柔らかな口調で呼びかける女の言葉も、男にとっては逆効果のようだ。血走った目で、
「お、お前はあいつの顔を見てないからそんなことが言えるんだ!」
 感情を剥き出しにして声を響かせる。
「殺してやる、殺してやる、って!」
「そんなの、感情的になったらつい言っちゃうよ。私だって――」
「違う! あの顔は本気だった! 実際に包丁を出してきたんだぞ!」
「うん、うん。わかった。わかったから、とりあえず、ね。落ち着いて」
 言いながら女は、そのしなやかな腕で、優しく男の身体を包み込んだ。ぬくもりに安心したのか、男は息を荒げながらも、
「でも……」
 若干落ち着いた声色を取り戻した。
「私が、これから彼女に電話してあげるから」
「や、やめてくれ。そんなことしたら、ますます……」
「大丈夫。あの娘のことなら、私に任せて」
「だけど……」
「信じて」
「あぁ……う」
 曖昧な言葉を零す男を余所に、女は既に携帯電話のコールボタンを押していた。男は先ほどの体験がよほど恐ろしかったのか、両手で強く自分の耳を塞ぐ。女が携帯電話を耳元から離すまで、彼はそのまま腕を下ろさなかった。おそるおそる、
「……どうだった?」
 小さな声で問う。
「……うん、あなたの言ってた通りだった」
「やっ、やっぱり、こ、殺すって――?」
「あ……うん。言いにくいけど、本気っぽかったね。あの様子だと……」
「ひ、ひぃっ……」
「もぉ、怯えないの。ちゃんと窘めておいたから」
「……どんな、感じ? 今」
「落ち着いてる。むしろ反省してるくらいだったよ」
「じゃ、じゃあ……」
「うん。もう大丈夫。今日からは、私を『様』付けで呼んでもらおうか」
 おどけた調子で、女は男の頭を撫でた。涙ぐむ男に笑顔を向け、
「もう、あなたを殺そうとなんてしないよ」
「……本当に?」
「本当に」
「でも……」
「保証する。あなたは絶対、殺されたりしない」


「私以外にはね――」



END

Back | Novel index | Next
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。