[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 水飛沫が上がった。
 長い黒髪をふり乱し、彼女は濡れた透明の肌をじっと眺めていた。滴る赤い雫が、彼女の躰を滑るように、宙へと舞っていく。その耽美な姿が、道行く雄たちの視線を釘付けにする。
 ――綺麗な肢体だ。
 そんな言葉を含んだ表情が、そこかしこに溢れている。
 さっきまで、焼けた地面をしげしげと眺めているだけだった老人も、今では噴水から耳を放そうとしない。尤も、彼の腕のひとつは既に腐ってしまっていて、その場を動くことすらできないのだけれど。
 彼女の身がふわりと浮き上がった時、雄たちの両耳から涙が滴った。
 ある者は膝を掻き毟り、少ない髪を全て落としてしまった。ある者は、指で目を突いて声帯を潰してしまった。当然、彼女の光がもっと弱かったなら、彼らだって、そんな醜態を晒すこともなかったのだろう。かく言う、僕自身も。
 彼女はそのしなやかな手で胸をなぞり、やがて高く、高くその指を地に掲げた。
 ――何て冷血な女だ。
 そんな言葉を発するほど、彼らも愚かではなかった。できたのは、ただ静かに時の流れに感謝し、地を仰ぎ、爪で喉を切って応えることだけだ。いつかこうなることは、誰にだってわかっていたことなのだから。
 空間から音が消えた。
 彼女が天に降りていく様を見られたことは、彼らにとってこの上ない喜びだった。焼け爛れた肌、青く濁った血、黒く流れる汗。それが何よりの証拠だ。僕だって例外じゃない。こうして頭を掲げて、そこから伸びる愚息を漲らせているのだから。
 しぼんでいた太陽は、どんどん勢いを強めていった。だからこそ、彼らは見えないものを必死で見ようとしている。身体を砂や鉄で埋めたいと願っている。
 叶わぬ夢で終わればよかったのだ。でも、彼女は現れてしまった。
 腕のない雄には、歩く希望を。耳の汚れた雄には、見ることへの欲を。足の弱い雄には、知恵を求める精神を。その全てが、未来のここに集っている。
 もしかしたら、これが彼女の望んだ結末だったのかもしれない。
 僕ももう疲れきって、これ以上考えることはできそうにない。腹のほうに振り返ってみる。思った通り。僕の足ももう、半分腐りかけている。耳だって同じだ。もう、彼女の容姿を捉えることすらままならない。
 もちろん、でたらめな数字の羅列だと解釈した。
 それは僕が、今この瞬間の僕だったから。でも、誰も今この瞬間の僕を責められはしない。僕以外には、誰も。
20110311144618
「……そうだったのか」
20380119031407
 気付くのが遅すぎた。己の察しの悪さを呪ってみても、もう……
 ――言うだけ無駄なのだ。
 そう。すべては事が起こってからが始まり。
 彼女が消えていく。ゆっくり、ゆっくり消えていく。
 天に降りてきた薄い彼女が僕の前に立ったのは、今でも偶然だと思ってる。
 けれど――
 あなたの瞳は、僕を生かした。
 だから、僕は未来でも、こうして殺されたままでいるのだろう。



END

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コメント
この記事へのコメント
「……そうだったのか」

どうだったのか、私の頭では分かりませんでした……
が、神々しいまでの美しさと残酷さが伝わってきます。
話がどうこうではなく、その場の臨場感で魅せる。
そういう作品なのかなと思いました。
2010/08/10(火) 18:37 | URL | SR #bMUbTW1E[ 編集]
ありがとうございます。
「……そうだった」のです。これでSRさんも、無事(?)彼らの仲間入りですね。
解釈は基本的に読者様にお任せしていますので、物語を感じていただけただけで本望です。
彼は「気付くのが遅すぎた」と言ってはいますが、正直、私から見ればそれも必然です。
たとえ叶わぬ夢で終わったとしても、この結末までが変わったとは到底思えませんので(笑)
このカテゴリーの作品は、正直、素の自分を曝け出しているようで……
裸で人前に出たら、こういう感覚になるのでしょうか。とんだ露出狂ですね(苦笑)
2010/08/11(水) 16:19 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
うーーーん!

うーーーん!

うーーーん!

ただただ唸るだけ。

ただただ感じるだけ。
2011/10/24(月) 18:47 | URL | 昼の梟 #LkZag.iM[ 編集]
(笑)
正直なご感想が、なんだか素敵です。
>ただただ唸るだけ
>ただただ感じるだけ
十分です。伝わることが全てではありませんから。
それでもご覧いただけたことに、感謝しています。
解釈はいつでも読者様の感性にお任せの私です。
2011/10/25(火) 00:07 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
ちんぷんかんぷんでも構いません。
ご覧いただけたこと、考えていただけたこと。それ自体が、とても嬉しいです。
ご感想まで下さり、ありがとうございます。
サイトにおいて、私は小説を書いています。時々、小説の体をなさないものも書きます。
本作は、後者です。心で歌い、叫び、泣き、怒り、悲しみ、笑った。ただ、それだけであれば、私も楽でしたけれど。
諦めず、理解に努めてくださっていることに、感謝申し上げます。
気付いたとき、次郎さんがご覧になる風景が美しくありますように。心より、そう祈っております。
2011/10/31(月) 23:11 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
あの女性様を、いえ女神様を、なぜかゆきな梨央様に重ねて読んでしまいました…。美しい存在の前では、醜いものは枯れていくという景色が素敵に思えました。

これは心で感じる文章な気が致します。彼女に救われたい。彼女に触れたい。彼女に支配されたい。そんな欲望がふつふつと湧いてきました。

僕の中で大切な作品です。
2012/01/29(日) 13:59 | URL | MA #-[ 編集]
嬉しいです。
いつも温かいご感想をありがとうございます。
美と醜――それらが織り成す光景を、物語から見出してくださった、ということでしょうか。
本作においては、「何か」を感じていただければ幸い、と思っています。
ですが、MAさんの場合は、より具体的な映像として捉えてくださっているように感じました。
本作がMAさんにとっての大切な作品となったことを、大変光栄に思います。
>心で感じる文章
美しい響きですね。MAさんのその感性の表現が素敵です。
2012/02/02(木) 19:23 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
>腕のない雄には、歩く希望を。耳の汚れた雄には、見ることへの欲を。足の弱い雄には、知恵を求める精神を。

 なんとなく宗教的な匂いのする文章ですね。ryonaz教ですか?
 はじめてこの作品に出逢って以来、何度か拝読していますが、頭の弱い雄には何が何やらちんぷんかんぷんです(笑)
 僕は、どんな作品でも繰り返し何度も読めば、作者が何を感じているのか、何を伝えたいのかを必ず理解できると信じています。だから絶対に諦めません。いつか「……そうだったのか」と気づけたらいいな……
2012/02/14(火) 22:19 | URL | 次郎 #sWkHkw7g[ 編集]
(※返信は上記…2011/10/31(月) 23:11)
2012/02/18(土) 19:31 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
私の生来の理屈っぽさと映像化欲求のせいで
ryonaz様の表現力と感性は、たとえその意味を十分に解釈できなくとも、感覚に訴えてくる力が有るように感じます。

何となく感覚的に美しさを感じる作品ですが、その美しさを私の頭に映像化して捉えようとする努力と、生来の理屈っぽさのせいで、ryonaz様の文章そのままではなく、変換して読んでしまう自分が居ます。

耳は目、腕は脚、膝は頭、目は喉、地は天、天は地、、、

勿論、別の変換も考えられるでしょうし、その方が正しいのかも知れません。上記の変換の鍵とした別の言葉の方を何か更に別の言葉に変換させるべきなのかも知れませんし。

爪で喉を切って、は、私の頭の中では、変換できず、とりあえず、そのまま、でも、目が喉ではなかったっけ、、、目が耳、声帯が鼓膜でも、まあ、描けます...

頭は、、、そこから伸びる愚息は、、、頭が股間だとしたら、それを掲げる姿勢はどんな格好??? やはり異形の者達だったのでしょうか??? 
頭が手、愚息が指、、、でも愚息は愚息のままが良いような、そこだけは譲れないような、それは私が変態だからというだけでなく、この作品世界において、「彼女」の美しさと愚息の反応は譲れない核の部分の様にも思えますので。 

腕は脚、耳は目、足は頭(脳)、、、
膝も頭で、足も頭であっても良いようにも思ってしまったりして。

腹は背?? どんな風に振り返って、「足は頭(脳)」が半分腐りかけていることを確認したのでしょう... 
あ、むしろ、「腹のほうに振り返ってみる」は文字通り内観のこと???

耳は目、美しく冷酷な救世主である「彼女」の容姿を、もう、捉えることすらままならない...

数字の羅列、プログラム、データ、、、

論理や物の名前は組み変わってしまい、しかも、あちこち腐ってしまっている世界、、、バグ? ウィルス? ワーム? 
滅び行く世界、再生させるための、唯一の美しい救世主、、、待望していた美しい救世主、、、この世界のリセット、、、「……そうだったのか」、、、全ての徹底的な滅び、、、

色気が無くなってしまったかも知れない解釈で恐縮ですが、そんなサイバー空間の物語の様に思えてしまいました。

でも、仮に、そんな世界をこんなに美しく描かれたのだと致しましたら、その場合にも、やはりryonaz様は天才だと思います。 
2012/09/20(木) 22:04 | URL | 女神崇拝者 #ZeOLQIbM[ 編集]
恐縮です。
身に余る賛辞を頂き、ありがとうございます。
理論は理論。事象は事象。感覚は感覚。解釈は解釈。
理論から事象が成り立っているのではありません。
同時に、感覚も解釈も、主観の域を出ません。
理論と事象の関係性の正誤のみに囚われたり、感覚や解釈にこだわり過ぎたりすると、本質を見失うことがあります。
ご注意いただければ幸いです。
ただひとつ確かなのは、私は美しいものが大好きである、ということでしょうか(笑)
2012/09/30(日) 15:54 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
再考
ryonaz様、いつも素敵な御作品を読ませて頂きまして有難う御座います。

作者様のryonaz様ご直々に、ご忠告頂いておりました点につきまして、少しずつ漠然とではありましたが、考え続けておりました。

> 理論と事象の関係性の正誤のみに囚われたり、感覚や解釈にこだわり過ぎたりすると、
> 本質を見失うことがあります。
> ご注意いただければ幸いです。

私自身の「変換」を用いた解釈と、コンピュータ内のサイバー空間の物語と言う解釈との組合せには、ご指摘頂きました囚われ過ぎこだわり過ぎの弊害と言いますか、多少大袈裟な言い方になるかも知れませんが自己矛盾的な所が有ります事に今更ながら気が付きました。

私が申し上げました様に、「耳は目、腕は脚」などと物の名前や言葉の論理を変換してしまい、我々に想像し易い映像が描けるのであれば、それは言葉や論理が乱れた世界と言う解釈をしてしまう事になり、それに対応する事象の乱れは必らずしもそこまで必要では無い解釈となり(女神様のご降臨と滅びと言う最大の事象は有りますが)、何もコンピュータ内のサイバー空間を想定する必要性も無くなってしまいます。
勿論この作品はフィクションであり、現実世界そのものでは無いのだと思いますが、そのモデルとなった世界は、言葉や論理が乱れ誰もが訳の分からない事を言ったり考えたりして、行き詰まってしまった世界、例えば戦争や環境破壊などで滅びようとしているこの地球の様なものとか、まともな論理が通じなくなって倒産への坂を転げ落ちつつある企業との類似性を見出す事も出来るかも知れません。企業の例でしたら、例えば、偉大な女性経営者に買収され、この会社も漸く再生出来るかと思ったら、元から居た雄の社員も役員も全員クビ、と言った状況とのアナロジーなどが考えられるでしようか。
あ、これも少々色気が失せた解釈になってしまいましたか。。。でも残酷な女神様の様な美しき女性経営者を想像すれば。。。拷問によって退職に追い込んで下さるとしたら。。。いや、それではまた、別の物語になってしまいますね。。。申し訳御座いません。

また、この作品は「僕」の一人称で語られていますので、言葉や論理の乱れも「僕」自身の中での乱れ方なのかも知れませんね。「僕」の頭と言うか、足と言うか、それも既に半ば腐ってもしまっているのですから。

一方で、サイバー空間という、「でたらめな数字の羅列だと解釈した。」という言葉にも引っ張られた解釈でもありましたが、そのサイバー空間を想定する必要性がある解釈となりますと、物の名前にせよ論理にせよそれらの乱れが事象化している、と言う世界を想定するために、サイバー空間を想定する必要がある、という考え方になるかと思います。従いまして、「耳は目、腕は脚」と言った変換ではなく、「耳は見るもの、腕は歩くもの」と言う言い方の方がまだ適切だったのだ、とも言えるかも知れません。

いずれに致しましても、下手な考え休むに似たり、やはり、ここは私も、誰よりも無様にジタバタした挙句に、判りません、参りました、ただ、美しいと感じました、と、白旗を掲げ、この作品中の美しい女神様のお裁きを待つしか無いのでしょう。訳の分からない事を言ったり考えたりやったりしている雄として。。。

でも、無様にジタバタしてみて、楽しゅうございました。他の読者の皆様も是非ジタバタしてみてryonaz様の才能と感性と知性と頭脳に弄んで頂いてみられたら如何でしょうか(笑)。
ryonaz様、素晴らしい作品をいつも本当に有難う御座います。
2012/10/10(水) 20:59 | URL | 女神崇拝者 #ZeOLQIbM[ 編集]
再考のお礼。
ありがとうございます。
こんな風にたくさんの解釈を与えてくださることを、大変光栄に思います。
これからもジタバタして、私を嗤わせてくださいね(笑)
2012/10/15(月) 17:32 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
これは宗教ですか?
2012/10/17(水) 15:52 | URL | いっき #NkOZRVVI[ 編集]
They are those who commented only once before.
This is a very interesting work.
Future activity is expected.
If it does what, such a beautiful tale can be produced.
Very wonderful.
ありがとう
2012/10/18(木) 17:16 | URL | May #-[ 編集]
お二人様へ。
>いっきさん
いらっしゃいませ。当サイトへのご来訪、ありがとうございます。
無知ゆえ、何を以て宗教と見做すのかすら理解しておらず申し訳ないのですが、少なくとも、私にその意識はありません。
私の好きなように作品を執筆・公開しているだけの小説サイトです。

>Mayさん
My pleasure.
I'm glad to be praised.
Moreover, I want you to come.

どういたしまして。
お褒めの言葉が嬉しいです。
またぜひ、ご来訪くださいませ。
2012/10/30(火) 17:54 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
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