[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 女の瞳が、かすかに輝きを帯びたように見えた。それが自分にとって良いことなのか、悪いことなのか――。そんな思考力は、とうに消えていた。ただ、
「あんただって同じだ。人殺しを特別だと思ってる? 自意識過剰じゃねえの?」
 言わずにはいられなかった。
「あんたがどんな奴だろうと、人であることには違いねえよ」
「…………」
「ただの女。それだけ」
 気付けば、女の降らせた柔らかな雨は、豪雨に変わっていた。何度も嗚咽を漏らし、大量の涙で、その美麗な表情を崩している。
 どれくらいの時間、そうしていたのかわからない。
 やがて、一本、二本、三本と、少しずつ自分の指先に神経が戻ってくるのがわかった。人間の身体は、俺が思っている以上に、治癒力に長けているものらしい。そしてそれは人間の……いや、女だけか?――その心に対しても同じことが言えるようだ。
 彼女は既に、元の表情を取り戻していた。獲物を捕えて放さない、鋭利な光を宿した瞳。
「……ありがとうございます」
 その決意を固めたような語調に、なぜか俺の心は安らいだ。
「お陰で、今ではすごく、心が軽くなっています」
「俺は心が重いけどな」
「お名前、お聞きしてもよろしいですか?」
「京次。……あんたは?」
「水葉です」
「みずは。……明日には、忘れてるかもな」
「……すみません。京次さんに、明日は来ません」
「…………」
「死んでいただきます」
「……嫌だね――っ!」
 その言葉を言い切るより速く、水葉は倒れた俺に向かって鋭い蹴りを放った。それを間一髪のところでかわし、身体を転がして膝立ちの体勢を保つ。が、すぐにガクンと項垂れてしまう。全身が痛い。足が震える。それでも、ぼやけているはずのこの視界は、彼女の動きをはっきりと捉えていた。
 不思議と恐怖心はなかった。
「おおおおっ!」
 頼りない足をバネに、勢いよく水葉に突進する。
 振り抜いた拳は、虚しく空を切った。
 水葉が――、……避けた。今日、初めてのことだった。
 彼女が傷つかなくて済む。そのことに心踊らせている俺は、きっと、お人好しの馬鹿なのだろう……

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