[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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「明けましておめでとうございます!」
 母親と女の子たちの声が、会場を埋め尽くした。重なるように聞こえてくる、いくつもの箸の音。
 私はあらためて、自分の皿をじっと見つめた。
 湯気立つ赤い塊。
 やはり、私にはどうしても美味しそうには見えない。でも、今年は何かが違っていた。
 毎年、ただ耐えるだけの時間だったはずなのに、今年は、何となく素直な気持ちになれている気がする。きっかけはわからないが、心持ちそのものが違うのだろう。それが喜ばしくもあり、不思議でもあった。
「ねえ……」
 隣にいる娘に声をかける。見れば、彼女は満面の笑みを浮かべ、頬を膨らませていた。箸を止め、
「ん?」
 と、その大きな瞳を私に向ける。正座をしたまま、パタパタと足を動かす。
 娘が喜んでいれば、それで十分なはずだった。だが――
 私は堪えきれず、己の欲望を口にした。
「……ごめんね」
「ん?」
「今年は――」
「うん」
「あの……、ママもね……」
「うん」
「……紅餅……食べてみようと思うんだけど」
 少し口篭ってしまう。
 娘はがっかりするだろうか。あげると約束したのに――、嘘つきだと怒ってしまうだろうか。
 そんな私の心配とは裏腹に、
「やったあ! ママも、一緒に食べてくれるの?」
 娘は笑顔を崩すことなく、私の顔をじっと覗き込んだ。その表情が、心からの喜びを私に伝えていた。
 迷いが消えた。
「…………」
 言葉が出ない。一口、二口――
 ドロドロとした食感、鼻をつく臭い、酸っぱい味。全てが想像通りだった。まずい。まずい。本当に……、まずい。気持ち悪い。こんなものの……、こんなもののどこが――
 私は、あっという間にそれを平らげた。
「ねえ……」
 と、呟いた私を、娘が見つめる。嬉しそうな顔だ。
 きっと、私も同じ表情をしているに違いない。
 娘は立ち上がり、おかわりを取りに行った。私の皿も持って。



END

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コメント
この記事へのコメント
明けましておめでとうございます。
ゆきな梨央様、明けましておめでとうございます。この作品も面白かったです。でも、本当にこの場面を想像すると恐ろしいです。今年も宜しくお願いします。
2010/01/04(月) 11:08 | URL | ひらき #-[ 編集]
ありがとうございます。
ひらきさん、明けましておめでとうございます。ご感想、ありがとうございます。
昨年は、たくさんのコメントを頂き、とても嬉しかったです。
恐ろしかったですか? それは何よりです(笑) 何かを感じていただけたら幸せなので。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
2010/01/05(火) 21:04 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
あけおめです
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします~。

一見すると、平和な日常の風景。
そこに混じる違和感。非日常。そして狂気。
いいですね~i-237。こういったギャップに自分はとても惹かれてしまいます。i-239
2010/01/05(火) 22:37 | URL | ネムレス #-[ 編集]
明けましておめでとうございます。
旧年中は、当サイトに並々ならぬお力添えを頂き、本当にありがとうございました。
さすがネムレスさんですね。頂いたコメントが、本作の全てを語ってくださっています。
意図するところを深く読んでくださっていることを、とても光栄に思います。
今回に限らず、共感的、かつ、心に温かいご感想には、いつも励まされています。
本年も、何卒ご贔屓に。
2010/01/06(水) 18:44 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
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