[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 絶叫が止んだ。
 片田舎にあるアスファルトの道は、広大な田圃に囲まれていた。
 寒風が唸る。木々が狂ったように踊る。硬い霰が地面を叩く。このような日に、好んで外出する者などいない。だからこそ、その出会いは奇跡的とも言えた。
 ほのかな光を放つ外灯だけが、二人を照らしていた。
 ショートヘアの彼は、茶色を基調としたダウンコートを纏い、少し汚れたジーンズを穿いていた。紺のスニーカーが、地を染める雪の白に映える。
 彼の目線の先にいる彼女は、フードの付いた白いコートに身を包んでいた。端正な顔立ちだ。薄いアイラインの引かれた目の中で、大きな瞳が輝いている。鼻筋も美しく、桃色の口紅が、小さな口をより可愛らしく見せていた。時折、風に靡くロングヘアーが、その顔を隠す。黒い網目のストッキングで包まれた脚は、膝丈のブラウンブーツに覆われていた。高いヒールの分だけ、彼より背が高い。
 男と女。
 二つの影が重なり合ったのは、ちょうど外灯の下だった。
 彼女が払うように手を振り上げた時、彼の首元から赤い液体が勢いよく噴出した。同時に発せられた彼の奇声は、風の唸り声に混じっていく。
 みるみるうちに、彼女の全身は赤く染まっていった。
 血液の滴るバタフライナイフを手に、彼女は口元を歪める。
 脇腹、背中、腰、太股――
 彼女の振るう武器は、崩れゆく彼の各所に淡々と穴を開けていく。彼はそれに応えるように、その穴から赤い水を放出した。彼が地面に伏してもなお、彼女の手は止まらない。
 わずかに雪が積もり始めたアスファルトの上。
 彼の身体は、外灯の下で跳ね回った。その動きも次第に弱まり、ピクピクと痙攣を始める。彼が肉塊へと変わる頃、外灯の下の雪もまた、赤く、その色を変えていた。
 無言のまま、無表情のまま――、彼女はゆっくりと、彼の首にナイフを当てた。丁寧に、手際よく、黙々となぞっていく。彼女が線を引く度に、彼は首から音を立て、血飛沫を上げた。まるで、彼女に応えるように。
 一時間ほど、そうしていただろうか。
 やがて、彼の頭部が綺麗に切断された。ソレには既に、表情と呼べるようなものはない。
 彼女は彼の髪を掴み、その顔を覗き込む。彼女から感情らしきものが見えたのは、その時だった。嬉々とした表情を浮かべ、愛でるように、手にしたモノに頬を寄せる。

 私は、その全てを見ていた。――彼女の後ろで。

 彼女は、手にしたものを、そっと私へと差し出した。
 かの聖者の上着のように、彼女のコートは赤く染まっている。
 クリスマスプレゼントだと、すぐにわかった。彼女らしい贈り物だ。私はそれを、喜んで受け取った。
 プレゼントの濁った瞳は、虚空を見つめている。
 冷たい雪風が、夜空に響き渡った。まるで讃美歌のように。



END

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コメント
この記事へのコメント
素晴らしいプレゼントを戴いたようです・・・素敵な作品、ありがとうございます。メリークリスマス!
2009/12/25(金) 11:36 | URL | kazowk #-[ 編集]
メリークリスマス!
kazowkさん、こんばんは。
頂いたお言葉を、そっくりそのままお返ししたい気持ちです。
こちらこそ、素敵なコメント、そして素敵なイラスト、本当にありがとうございます。
私の作品を、プレゼントだと受け取っていただけたのなら何よりです。大変光栄です。
これからも、当サイトを、どうぞよろしくお願いいたします。
2009/12/25(金) 22:53 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
素敵な聖夜を堪能させていただきました。
狂気だけど、すごく綺麗なイメージです。
ryonazさんの文章は、映像として浮かんできますね。
ありえない世界なのに、なぜかリアリティを持っているんです。
偉そうな言い方に聞こえたらすみません(汗)
2010/02/13(土) 08:43 | URL | SR #bMUbTW1E[ 編集]
光栄です。
偉そうだなんてとんでもない。この温かい文章から、そう感じるほうが難しいです(笑)
身に余るお褒めの言葉を頂き、恐縮しております。とても大きな励みになりました。
作品を映像として観ていただけるなんて、本当に幸せなことです。ありがとうございます。
最初からイメージがはっきりしているもの。漠とした「何か」をそのまま吐き出したようなもの。
私自身の執筆姿勢には定型が無いのですが、本作の位置づけは確かに前者だったかと。
この聖夜の世界――。堪能していただけたのなら、幸いです。
2010/02/14(日) 00:12 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
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