[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 気づけば、女王様の脚にしがみついていた。
 何が正しくて、何が間違っているのか。そんなことは、もう全くわからなかった。感じられない。考えられない。それでも僕は、そうしたかった。そうせずにはいられなかった。
「――……!」
 女王様の名を呼ぶ。
 主従関係を結んでから一度も口にしていなかった、彼女の本名。
 縋りつき、頬をすり寄せ、爪先にキスをし――
 腹の底から、何度も何度も叫んでいた。立ち上がり、ソファーに寝そべる彼女の胸に顔を埋め、救いを求め続けた。ただただ、彼女自身を求めた。
 失ったかに思えた感情が、堰を切って溢れ出してくる。
 ――愛しい。甘えたい。許してほしい。傍にいたい。認めてほしい。護ってほしい。
 湧き出てくるのは、ほとんど欲望ばかりだった。エゴに満ちた感情の向かう先は、女王様だった。僕の全てが、彼女へと向かっていく。
 うまく言葉が出ない。ただ、彼女の名を呼ぶことで、自分の気持ちをぶつけた。
 女王様は動かず、僕の好きにさせてくれた。僕は、力の限り彼女を抱きしめた。
 きっと、いや……、決して、許される行為ではない。それでも、止められない。
 女王様の手が、僕の頬を撫でる。そして彼女は、
「一番大事なのは、自分なんだね……」
 と、小さく囁いた。その声が、あまりに淋しそうな響きで――
 僕は、はっとして顔を上げた。
 女王様の、儚い微笑み。どこか悲しげな顔が、僕の脳裏に焼きついた。
 それは、ほんのわずかな時間だった。
 女王様は、すぐにその表情を収め、にっこりと笑った。優しい瞳で、
「いいよ。おいで」
 腕を大きく広げた。
 その胸に迎えられ、僕は女王様に身を委ねた。ぎゅっと抱きしめられながら、
「よく頑張ったね」
 耳元で聞こえた、温かい声。
 僕への同情だと、すぐにわかった。
 女王様の胸は、とても温かかった。でも……、だからこそ、僕は悲しくなった。
 己がために、ぬくもりを求めた。それが満たされた今、女王様の器の大きさにますます敬服することになった。自分の至らなさ、情けなさを痛感することになった。
 ――僕は、女王様の期待に応えられなかったのだ。
 目頭がつんと痛む。
 それでも、涙は流せなかった。罪悪感が、僕の涙をせき止めた。



END

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