[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 動けなかった。
 言葉が見つからなかった。
 涙すら出なかった。
 ただ、女王様の慈悲だけを求め、縋りたい一心で顔を上げた。
 女王様は、淡々とグラスに飲み物を注いでいた。その様子はまるで、僕の存在自体を忘れてしまっているかのようだった。その時になって初めて、僕は、自分の犯した過ちの大きさを実感してきていた。
 僕の存在は、女王様に肯定されることでしか成り立ち得ないというのに……
 全身が震える。後悔の念がじわじわとこみ上げてくる。
 それでも僕にできたのは……、平伏し、また頭を床に擦りつけることくらいだった。
 耳を通じて、女王様の手が止まるのがわかった。
 ――僕を……見てくださっているのだろうか。
 にわかに期待が膨らむ。と――、その時、ぐいと手の甲を踏まれ、僕は安堵の息を吐いた。僕を包んでいた闇に、希望という名の光が差したような気がした。
「女王様……」
 唯一、それだけを口にして顔を上げた時、女王様は既に、フローリングの部屋へと移動していた。さっきと同じようにソファーに寝転び、グラスを片手に別の雑誌を読んでいる。
 単に、僕を踏み越えていっただけだった。
 そう――。僕は……、邪魔だっただけ。だから踏まれた。責めなんかじゃない。
 女王様の声が、頭の中で木霊する。帰っていいよ……。帰っていいよ……
 あまりに残酷なその言葉を、受け止めることができない。言葉の意味を理解することすら、心が拒んでしまっていた。
 胸が痛い。
 悲しい? 淋しい? 心細い? 虚しい? 切ない?
 きっと、どう問われても、僕の中に答えなどない。仮に、これが正解だと指し示されれば、おそらくその通りだと言うだろう。全てが正解なのだと言われても、反対に、全てが不正解なのだと言われても、その通りだと答えるだろう。
 心の中にポッカリと穴が開いて……とは、よく表現したものだが、それなら僕の場合は、心が無くなって……とでも言えばいいのだろうか。
 何も感じない。感じられない。
 くつろぐ女王様の姿を見ながら、僕はただ、静かにキッチンに座っていた。
 ――どうするべき?
 答えなど出ない。
 感じることすらできないクズに、どうして考えるなどという難しいことができようか。
 女王様の言葉だけが、頭を巡り続けている。
 帰っていいよ。帰っていいよ。帰っていいよ。帰っていいよ。帰っていいよ。

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コメント
この記事へのコメント
嬉しいです。
この先の展開がとても楽しみです。この後、許していただけるのか、このながれのまま捨てられてしまうのか、とても気になります。このような面白い作品を読ませてくださり、ありがとうございます。とても嬉しいです。
2009/12/18(金) 11:45 | URL | ひらき #-[ 編集]
私も嬉しいです(笑)
いつも温かいご感想、ありがとうございます。
そんな風に喜んでいただけると、私も本望です。
本編は、残り一話で完結となります。
ぜひ最後まで、二人を見守ってやってください。
2009/12/19(土) 17:12 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
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