[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 女王様の瞳の色が変わる。
 開け。――指先が、そう語っていた。
 女王様の顔から、すっと表情が消える。おもむろに、拳を握り締める。
 たったそれだけの動作なのに、僕を恐怖に陥れるには十分過ぎる態度だった。
 さっきの痛みが鮮明に蘇る。女王様の命令は絶対――そんなことはわかってる。でも、身体が言うことを聞かない。
 ――拳なんかで殴られたら……
 恐怖心だけが、みるみるうちに増幅していく。
 女王様の口元がにわかに歪む。一見すると、先ほどの微笑と同じようにも見える。だが、それが僕の絶望的な願い――幻想に過ぎないことも、僕にはよくわかっていた。
 命令の絶対。絶対の不実行。不実行は拒否。拒否の罪。罪への罰……罰、罰、罰!
「うあああっ!」
 気づくと叫んでいた。正常な思考など、とっくに麻痺している。その時の僕にできたのは、ただ頑なに股を閉じ、両掌で睾丸を包み込むことだけだった。
 と――、ふと、女王様の視線が、僕から外れた。そして――
「はぁ……」
 今度は、はっきりと聞こえた。紛れもない、うんざりした溜息だった。
 女王様は無言で立ち上がり、ソファーに横たわった。片肘をつき、おもむろに雑誌を開く。その表情からは、いかなる感情をも窺い知ることはできなかった。強いて言うならば、無関心……だろうか。
 どう声をかけたものかもわからず、僕はうろたえた。
 虚無感。喪失感。絶望感。戸惑い。焦り。困惑。様々な感情が入り乱れ、僕は行き場を失った迷い子のように、ただただ四つん這いのまま間誤付く。
 汚棒をそそり立てたまま、さり気なく女王様に近づいたその時、
「もう、帰っていいよ」
 雑誌から目を離すことなく、女王様はさらりと言った。
 耳を疑った。
 と同時に、突き刺すような痛みと苦しみが、胸をギリギリと絞めつける。
 女王様の言葉の意味するところがわからなかった。いや、受け止めきれなかったと言った方が、より正確だろうか。
 無表情のままキッチンへと向かう女王様を、四本足で追う。再び正座し、額を床に押しつける。今の僕にできる精一杯の意思表示のつもりだった。
「同じ事、二回言わせるの?」
 それが――、その時、僕の頭上へと注がれた言葉だった。

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