[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 ただ、普通でいたかった。
 会話をする時は、相手に同調する。複数で話し合う時は、隣に倣って発言する。誰かが笑えば一緒に笑うし、誰かが怒れば雰囲気を読んで静かに俯く。人混みに紛れたら、黙って周りに歩調を合わせる。
 人間の営みがわからない。
 太宰治……だったか。小説の中で、確かそんなことを言っていたっけ。恥の多い生涯? そんなの、僕だって同じだ。きっと僕も、死に際にはそう思うんだろう。ただ、人の間を生きていく方法が違っているだけで。
 彼は道化を演じて、進んで出る杭になった。僕は逆だ。
 出ない杭になる。
 ――それが、僕の信じた処世術だった。そのためには、何より普通であることが肝心だと思っていた。
 でもそれなら――、今のこの僕は、一体どうすれば人間でいることができるのか……

 ひと気の少ない路地だった。
 建物に挟まれた、百メートルほどの狭い一本道。学校の帰り道だから、普段は気に留めることもなかったような場所だ。せいぜい、今日みたいな夕暮れ時にはカラスが鳴いていたような気がする――その程度の印象があるくらいだろうか。
 意識してみれば、確かに今日も、カラスの声が聞こえる。それなのに、今の僕には、ここが初めて通りかかった道のように思える。
 ――僕はただ、普通でいたいだけ。それだけなのに……
 いつものように、人がいる。そう、人がいる。だけど、そこにいる数人は、明らかに普通じゃない。ある者は膝をついて腹を抱え、ある者は大の字になり、ある者は痙攣し……
 いずれも、コンクリートの地面に倒れ込んでいた。
 そして、またひとり――
「っ……かはっ!」
 ドサッという音とともに、地面に頽れる。
 ガタイのいいサラリーマン風の男だった。倒れゆく彼が、まるでスローモーションの映像でも見ているかのように、ゆっくりと見えた。もしかしたら、彼の脇からひょっこりと現れた、その姿を見るのが恐ろしかったからかもしれない。
 女だった。
 通りの中央付近。目を凝らしてみても、輪郭を捉えるのが精一杯だった。ツインテールの黒髪が風に靡いている。華奢な印象だ。スカートから覗く脚は、色白で細い。
 ぼんやりと見える彼女の表情は、とても可愛らしかった。だからこそ、僕は否定したかったのかもしれない。そのしなやかな腕の先で、確かに握られた拳を。
 僕はとっさに、視線を彼女の周囲に向けていた。

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コメント
この記事へのコメント
ありがとうございます。
新作ありがとうございます。続きがとても楽しみです。
2009/11/07(土) 15:29 | URL | ひらき #-[ 編集]
嬉しいです。
ひらきさん、こんばんは。
楽しみにしていただけて、とても嬉しいです。ありがとうございます。
どうぞ、最後までお付き合いください。
2009/11/08(日) 20:05 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
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