[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 金髪女性の吐息は鼻腔をくすぐり、その芳香がオトコの欲望をかき立てる。
 重なり合った頬は、俺から彼女へ、彼女から俺へ、それぞれのぬくもりを伝える。
 柔らかな唇は俺の官能を刺激する。さらなる愉悦を求め、俺は彼女の唇を覆い尽くす。
 口内にねじ込まれた彼女の舌は、ぬるりと俺の舌に絡みつく。
 俺の舌もまた、彼女自身をそこに見出そうとするかのように、口内を弄る。
 互いの唾液が混じり合う。溶け出した熱情が、吐息とともに肌をくすぐる。
 
 ……全てが妄想でしかなかった。触覚も、嗅覚も、味覚も、今の俺には存在しない。
 ただ、目前の金髪女性の淫靡な行為を、視覚を通してのみ捉える。
 ただ、栗毛の女性の、羞恥心を招く嘲笑にも似た小さな声を、聴覚を通してのみ捉える。
 五感の不足。それがこんなにも酷なものだなんて、考えたこともなかった。

 鬼が出るか仏が出るか……
 答えは仏だ。目の前に美女が二人もいる。ましてや金髪女性の方は、思いも寄らない素晴らしいサービスを提供してくれている。それだけで十分だ。
 囚われていた数々の疑問など、本当はどうでもいいことなのかもしれない。記憶を取り戻す必要などないのかもしれない。現に、今の自分は幸福を感じている。過去の出来事を思い出したところで、自分がこれ以上、幸福な人生を歩んできたとは限らない。
 例えば、俺は何かの事件に巻き込まれ、一時的に記憶喪失になっている。治療のため、全身に麻酔をかけられている。頸椎損傷があり、首の保護のため、この首枷のようなものを付けている。そして、目の前の彼女たちは、俺の看護師か、カウンセラーか、いろいろな意味での世話係か、あるいは、その全ての担当者か。でもそれなら、彼女たちの言葉すら理解できないのは…………
 俺の脳に何らかの機能障害がある? あるいは、日本にこういった人材がいない?
 正直、考えることに疲れてきていた。わからないものはわからない。それよりは、今起こっている事実だけを見ていた方が、遥かに楽だと思えた。
 ひとつだけ気がかりだったのは、記憶が戻った後のことだった。この二人はやはり、去ってしまうのだろうか。それが何より恐ろしかった。こんな美人を、手放したくない。

 ――五感が回復するまでの辛抱だ。
 俺はそうして、自分を納得させた。治っても、都合次第で申告しなければいいのだ。
 ただ、感覚が戻るという保証がどこにもないのが、唯一不安なことだった。

 ふいに、栗毛の女性がその足をつと前に踏み出すのが見えた。一歩、また一歩と、俺に近づいてくる。俺は再びその姿に見惚れた。間近で見る彼女は、神々しくさえ見えた。
 美貌の中で輝く綺麗な碧い眼。視線が合ったら、心そのものを奪われてしまうのかもしれない。それもいい。だが、彼女は一向に目を合わせてはくれない。
 俺たちの情事を見つめながら、彼女は感情の見えない微笑を浮かべるだけだった。

Back | Novel index | Next
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。