[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 眩しい。
 光に顔を照らされ、俺は開きかけた目を細めた。
 太陽だ。温かくて、心地良い。その輝きには、優しい包容力があった。俺の瞬きから意識の回復を察知したかのように、目覚めた俺を気遣うように、太陽に薄い雲がかかる。それに伴い、俺の目もまた徐々に慣れていく。
 それにしてもひどい頭痛だ。少しでも気を抜いたら、また眠りに落ちてしまうだろう。眩暈がする。視界がぼやける。それでも俺には、このままの状態でいるわけにはいかない事情があった。
 太陽が雲に覆われる。それを機に、俺は目を開け、周りに視線を走らせた。
 洋風の広い室内だった。
 開放感のある大きなふたつの窓が、真っ先に目に飛び込んできた。その向こうにはテラスが設置されているらしく、広大な青空が見える。真っ白な壁、豪奢なシャンデリア、洒落たインテリアの数々――
 豪邸か、別荘か。どちらにせよ、金の無い者の持ち物ではないだろう。
 どこから聞こえてくるのか、波だけが、静かに泣いていた。
 家の中から物音はしない。住人がいる気配もない。その辺の棚の引き出しでも開ければ、金目のものが転がっているに違いない。
 しかし、そんなことはどうでもいいことだった。いや、正確には、どうしようもないことだった、と言うべきだろうか。このままの状態でいるわけにはいかない事情……
 今の俺にとっては、
 どうしてここにいるのか。どうして意識を失くしていたのか。どうして全身が麻痺しているのか。どうして机ほども大きな首枷を付けられているのか。どうして記憶が全くないのか。自分は一体、何者なのか……
 全てがわからない。
 そのことの方が、はるかに深刻で、重要な問題だったからだ。
 日本人である。それ以上のことが、どうしても思い出せなかった。
 己の記憶に手が届かない。そのもどかしさから、俺は窓の外を睨みつけた。この苛立ちを、どこかにぶつけたかった。
 再び顔を見せた太陽に、ここぞとばかりに目を遣る。が、それは既に赤い夕日に変わり、もう俺を刺激することはなかった。まるで、喧嘩腰になっている俺を宥めるように……、慈しみ、憐れむように……、柔らかい光を放つだけだった。
 不思議と不安はなかった。遠方から近づいてきた車の音に耳を欹て、
 ――さて……。鬼が出るか仏が出るか……
 そんなことを考えていた楽観的な自分を、今さらながら哀れに思う。
 入室してきたこの二人の女は、既にこの時点で俺の運命を知り、決定していたのだから。
 確かに、俺にできることは何もなかった。嘆いても仕方がない。悔やんでも意味がない。
 ただ、自分の心持ちの甘さだけが憎かった。
 この段階で俺の考えるべくは、きっと、万事休す……だけだったのだろうから。

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