{
2009/09/15(火) }
男は患部を押さえ、床の上をのた打ち回った。
「おはよう」
夏美の声色は淡白なものだった。脚をしならせ、男の身体を二、三度蹴る。
「ひぎいぃっ!……ああぐ……、ん、がああっ!」
悲痛の声が鳴り響き、男の身体がバタバタと音を立てる。
血液、汗、唾、涎、吐瀉物、涙――それらが混じり合って、床に乱雑な絵を描く。
ただじっと……食い入るように……、夏美はしばし、黙ってその絵を見つめていた。
やがて、男の声は擦り切れるような呼吸音と化し、滑稽な舞いも静かに終幕へと向かっていった。床に腰を落とし、壁を背にしてぐったりと首を垂れる。一目見ただけでは、意識があるのかどうかすらわからない。
それでも男の口からは、しわがれた声が懸命に絞り出された。
「や、やめ……、やめて、くだ……さい」
咽が潰れたような声だ。夏美は静かに男の前へと歩を進め、
「何を?」
と、嘲笑するように問いかけた。
「お願いします……」
「だから、何を?」
「た、助けてえぇ……!」
そう振り絞った男の声が、
「っがああああっ!」
さらに大きな絶叫に変わる。
顔面目掛けて振り抜かれた夏美の白い脚に、赤い血が付着する。
男はその細い身体を、ずるりと横に倒した。全身に力が入っていない。
「答えになってないよ」
言いながら夏美は、
「ほら……」
男の股間をじわりと踏みつけた。夏美のミュールもまた、彼の血液に彩られる。
「いぎぃ……! ひぃ……っが!……ひっ、ひ……」
痛みと怯えの混在したその声を楽しむように、夏美はケタケタと笑った。
ミュールが陰茎を擦る。時に優しく、時に激しく――、包むように、なぞるように、蹂躙するように、甚振るように、夏美は足先を器用に動かした。
男の喉は、依然として苦痛を訴えていた。しかしその声に逆らうように、彼の陰茎はムクムクと自己主張を強めていく。その時、夏美の動きがピタリと止まった。
「こんなものがあるから、私は……」
冷たい瞳で股間を見下ろす。男はビクッと身体を反応させ、身を捩ろうとするが――
「ぐう!……っあ、ああああっ!!」
夏美が振り下ろす足の方が速かった。
男の身体が、腰を支点に大きく跳ねる。枯れた絶叫の渦が、部屋を取り巻く。
「もう片方も、……潰しておこっか」
夏美の言葉に、男は必死でかぶりを振った。頭から流れる赤が顔を染める。黒い瞳が目の中を彷徨う。
男は床に横たわったまま、全身をピクピクと痙攣させ始めた。
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「おはよう」
夏美の声色は淡白なものだった。脚をしならせ、男の身体を二、三度蹴る。
「ひぎいぃっ!……ああぐ……、ん、がああっ!」
悲痛の声が鳴り響き、男の身体がバタバタと音を立てる。
血液、汗、唾、涎、吐瀉物、涙――それらが混じり合って、床に乱雑な絵を描く。
ただじっと……食い入るように……、夏美はしばし、黙ってその絵を見つめていた。
やがて、男の声は擦り切れるような呼吸音と化し、滑稽な舞いも静かに終幕へと向かっていった。床に腰を落とし、壁を背にしてぐったりと首を垂れる。一目見ただけでは、意識があるのかどうかすらわからない。
それでも男の口からは、しわがれた声が懸命に絞り出された。
「や、やめ……、やめて、くだ……さい」
咽が潰れたような声だ。夏美は静かに男の前へと歩を進め、
「何を?」
と、嘲笑するように問いかけた。
「お願いします……」
「だから、何を?」
「た、助けてえぇ……!」
そう振り絞った男の声が、
「っがああああっ!」
さらに大きな絶叫に変わる。
顔面目掛けて振り抜かれた夏美の白い脚に、赤い血が付着する。
男はその細い身体を、ずるりと横に倒した。全身に力が入っていない。
「答えになってないよ」
言いながら夏美は、
「ほら……」
男の股間をじわりと踏みつけた。夏美のミュールもまた、彼の血液に彩られる。
「いぎぃ……! ひぃ……っが!……ひっ、ひ……」
痛みと怯えの混在したその声を楽しむように、夏美はケタケタと笑った。
ミュールが陰茎を擦る。時に優しく、時に激しく――、包むように、なぞるように、蹂躙するように、甚振るように、夏美は足先を器用に動かした。
男の喉は、依然として苦痛を訴えていた。しかしその声に逆らうように、彼の陰茎はムクムクと自己主張を強めていく。その時、夏美の動きがピタリと止まった。
「こんなものがあるから、私は……」
冷たい瞳で股間を見下ろす。男はビクッと身体を反応させ、身を捩ろうとするが――
「ぐう!……っあ、ああああっ!!」
夏美が振り下ろす足の方が速かった。
男の身体が、腰を支点に大きく跳ねる。枯れた絶叫の渦が、部屋を取り巻く。
「もう片方も、……潰しておこっか」
夏美の言葉に、男は必死でかぶりを振った。頭から流れる赤が顔を染める。黒い瞳が目の中を彷徨う。
男は床に横たわったまま、全身をピクピクと痙攣させ始めた。
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