[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 深夜の静寂を破ったのは、呼び鈴の高い音だった。
 ひと気のないアパートに鳴り響く、無機質な音――
 二回、三回、四回……
 チャイムの音は、空しく闇へと消えていく。
 部屋の中から物音はしなかった。それでも、音が止むことはない。
 十回、二十回……
 繰り返される単調な音に、部屋の住人は身を凍らせた。
 時計は、午前二時を告げている。
 こんな時間にやってくる同僚や友人は、まずいない。急用であれば、せめて一報くらい入れてくるのが普通だ。第一、急用であれば、名乗ったり、激しくドアを叩いたりしてもおかしくはない。そう考えるほど、あまりにも単調なリズムを奏でるこの呼び鈴が不自然で仕方がない。
 部屋の中で息を殺し、身体を小さく丸め、ただこの緊張の時間に耐えた。灯りを消していたことが、せめてもの救いだった。それでも――
 四十回、五十回……
 決して止まない恐怖。過ぎない時間。
 いずれこういう日が来ることは想像していたはずだった。心当たりもあった。いや、それはもはや確信とも言えた。それでも、いざこの瞬間になると、身体が思うように動かない。
 トン、トン――
 ……やがて聞こえてくる、静かなノックの音。そして――、再び鳴る、呼び鈴。
 それらは徐々に、徐々に、テンポを速めていった。
 暗い部屋の中で頭を抱え、無言のまま蹲る。蹲ったまま、ただ拳を強く強く握る。
 全身に汗が滲む。身体が震えてくる。しかし同時に、この緊張や恐怖が、次第に己の中で怒りへと変化していく。
 ――絶対、屈してはいけない。
 慎重に足を忍ばせ、台所へと向かう。そっと戸棚を開き、包丁を一挺取り出して隠し持つ。
 なおも部屋を包む、呼び鈴とノックの音。しかしそれが、わずかな物音を消す役割をも果たしていた。
 覗き穴から外の様子を探る。
 想像通りの顔が、そこにあった。あらためて息を呑み、悲鳴を上げそうになるのを必死で堪えながら、
「ど、どなたですか?」
 静かに問う。しかし、声の震えは隠すことができない。
「あの……、こんな時間に、何のご用でしょうか?」
 さらに質問を重ねるが、返事はない。それが、ひとつの決心へと繋がった。
 一度、大きく息を吸い込み、玄関の灯りをつける。ロックに手をかける。カタリと錠が外れる音が鳴ると同時に、ドアを開く。だが――
「あっ」
 ……それ以上の声を出す暇はなかった。
 部屋から覗いた頭を目掛け、スパナが勢いよく振り下ろされた。

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