[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 夏美は形振り構わず、警官――佐久間の胸に跳びついた。
「あっ!」
 という佐久間の声とともに、自転車が倒れる。夏美と佐久間もまた、お互いを抱えるようにして路面に転がった。夏美は佐久間に跨るような体勢のまま、彼の胸に顔を埋め、
「助けてください! あの男が!」
 と、来た道を指差す。しかし、彼女の指の先には、ただ暗闇が広がっているだけだった。
「もう大丈夫です」
 包み込むような声だった。佐久間は夏美の頭を優しく撫で、
「襲われたりしませんでしたか? お怪我は?」
 と、問う。夏美は泣きじゃくりながら、首を横に振った。
「よかった」
 安堵の息とともに、佐久間は上半身を起こした。それでもなお、夏美は彼の身体に両腕を回したまま、放そうとしない。小刻みに震える彼女の肩をゆっくりと擦りながら、佐久間は、
「送っていきますよ」
 と、囁いた。穏やかな口調だった。
 夏美の乱れた呼吸が、徐々に落ち着いてくる。彼女は佐久間に身を預けたまま、
「……はい」
 と呟き、立ち上がった。佐久間は、自宅まで夏美に付き添うことにした。

 別れ際、佐久間は、何か犯人の手がかりになるような――、と、出しかけた言葉を噤んだ。家の前に立った夏美から、覇気が全く感じられなかったからだ。呆然と宙を見上げている。そんな夏美に対して彼が口にできたのは、彼女の傷心を癒す精一杯の言葉だけだった。
「いつでも見守っています。警官は、市民の味方ですから」
「…………信じてます」
「はい。信じてください!」
 その言葉を最後に、夏美は深く頭を下げ、彼に背を向ける。
 玄関のドアが閉まるまで、佐久間は、彼女の力ない後ろ姿を見守っていた。


『見かけた・・また・・・・・』
『一体、何が目的?・・このままじゃホントに・・』
 虚ろな瞳――、精気の抜けた表情――。指だけが、文字をミクシィに連ねていく。
『明日は休日だし、時間もあるし』
『近所の護身術教室にでも行ってみようかな・・・・』
 そこでパソコンの電源は切られ、部屋の電気も消えた。


 佐久間は、夏美と別れた後も、しばらく彼女の部屋の前に立っていた。
 部屋の電気が消えたのを確認すると、再び自転車のある場所へと戻る。
 ――彼女に何かあってからでは遅い。できる限りのサポートを……
 決意を新たにし、佐久間は勢いよく自転車に乗り込んだ。

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