[18禁] 逆リョナ小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
 降り続く雨。
 世界が少しだけ姿を変えるこんな日は、きっと人の心すらも変えずにはいられないんだろうね。
 人影はない。あるのは静寂。雨の音がその静寂をさらに強調する。

 お嬢ちゃん? いつからそこに立っていたの?
 暗雲は少女を覆う。彼女を包んだ喪失感は、一つの恋歌となって宙に舞う。
 うん、聞こえるよ。聞こえる。だから、心配ない。
 それはどこから持ってきたの? いいんだよ。それはきっと、君の愛の印だから。

 雨の勢いは次第に強くなってくる。
 傘もささず、ただ立ち尽くしてる。君の思いが、自由の存在を掲げてる。
 もうじき、雨が全てを流してくれる。だから、安心していいよ。
 ここにあるのは混沌と、狂気と……。……あとは、忘れた。

 一つ一つの出来事は、欠片になって流れていく。
 君も、姉妹も、友達も、隣人も、他人も、あの子も、あの子も、あの子も……
 全てが悲劇の役者。全てが喜劇の役者。

 どうして何も言えないの――、なんてさ、聞くだけ無駄だってわかってるよ。
 でも、ほんの少しの間だけ、ここに居させてもらうね。

 遠い遠い昔のお話。遠い遠い未来のお話。そして、ある少女のお話。
 そこにあるのはいつも、断片的な人々の記憶だけ。
 他にはなにもない。きっと、何も……
 いつの間にか辺りは、真っ暗な闇に包まれていた。

 ほら、あの子。自分の投げた小さな枯木が見当たらなくて、ずっと探してたんだ。
 探し続けて、探し続けて……、やがて石になってしまった。
 だったらいっそのこと、丸裸になって溶けてしまった方が楽だったろうにね。

 君が持っているそれだって、偶然そこにあるわけじゃない。
 強い心と、純粋な憧れ。それは捻じ曲がった感情。それは歪んだ愛情。
 だけど、それは決していけないことじゃない。ごく普通のこと。普通のことだよ。
 ただ、意識はしないようにしてね。そうでないと、君自身が壊れちゃう。

 あの子はもういないよ。
 もちろん、君は気付いてないだろうけど。



END

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