[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 男はナイフを紗希の目の前に突き出し、
「な、なんのつもりだ、あぁ?」
 と、大声を張り上げた。まるで内心の恐怖を隠すように。
 紗希は彼の瞳をじっと見つめながら、
「それ、しまってくれない?」
 と、乾いた声を発した。男は紗希が下手に出たと感じたのか、
「あぁ? それが人にモノを頼む態度か?」
 語調を強め、さらにナイフを揺らめかせる。
 紗希はため息を漏らし、
「頼みじゃなくて命令だよ。……血を見せたくない奴がいるんだ」
 ちらりと彩香の様子を見る。彩香は再び、強く身体を揺すり始めていた。
「命令だぁ? ふざけんなよ! 土下座だろ、基本!」
 彼の虚勢を無視し、紗希は美里と彩香を見遣っている。

 美里は正面から、彩香を強く抱きしめていた。
 言葉はない。しかし、息を荒げる彩香からは、強烈な殺意がほとばしっているのがわかる。
 美里の肩口が赤く染まっている。傷口が開いたのだろう。それでも美里は、懸命に彩香を抱擁し続けていた。

 紗希はふっと笑みを湛え、安堵の息を吐いた。
「余所見してんじゃねぇぞ、コラ!」
 そう喚く男に視線を戻した紗希は、向けられたナイフの切っ先にさらに頭を近づける。それから、
「で?……どうするの?」
 男の瞳を食い入るように見つめ、静かに問うた。鋭利な眼光だった。男の頬に汗が滲む。
「あ、あぁン? だから、ど、土下座し――」
「そんなつもりは、最初からない」
「っ!……こ、この……」
 男が感情をむき出しにする。震える手でナイフをもう片方の手に持ち替え、威嚇するように手元で振り回す。
 その時、彼を制したのは、別の男だった。
「……やめとけ」
 ナイフを持った男は、驚いた様子だった。
「は、ハァ? な、なに言っちゃってんの?」
「やめとけ!」
 さらに凄まれ、男はナイフを地面に叩きつける。
 紗希はその瞬間を見逃さず、落ちたナイフを蹴り飛ばす。それはカラカラと音を立てて転がり、海底へと姿を消した。
「はぁ……、マジ萎えた。やってらんねぇ」
 そう言った男の声は上擦っていた。ふうっと吐いた彼の息は、安堵のにおいを漂わせていた。
「気分悪ぃわ。オレ帰る!」
 そう吐き捨て、男は暗闇の中へと消えていった。

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