[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 埠頭に吹く風は、徐々に勢いを弱めていった。
 波のせせらぎが、却ってその場の静寂を物語っている。
 ほのかな灯りの下で、花音は携帯電話のボタンを忙しく叩いていた。
 目線を携帯電話から逸らさぬまま、花音は咥えていた煙草を片方の手でつまむ。既にフィルター近くまで火が達し、短くなっていた。ふうっと紫煙を吐き出し、椅子代わりにしている晋介の手の甲で煙草を揉み消す。彼はビクッと大きく身体を反応させ、再び動かなくなった。その時――
「いい加減にしな」
 短く鋭い女の声が飛び、花音は携帯電話を地面に落とす。そして、
「だ、誰?」
 弱々しい声を発する。それと同時に、さりげなく立ち上がり、晋介から離れた。
 花音は、素早く携帯電話を拾い上げ、そのまま送信ボタンを押す。
 声の主は黙ったまま花音に近づいていった。花音は瞳を潤ませ、
「怖かった……」
 震える声でそう言った。それでも声の主は言葉を発しない。
「ねぇ、助けて……。この男が、突然――」
「……空寒い演技はいいから」
 ばっさりと花音の言葉を断つ。その時、花音の動きがピタリと止まった。
 女は花音のすぐ側にまで近づいていた。艶やかなボブカットがさらりと流れる。女はその視線を倒れた男に向け、
「派手にやったもんだね」
 落ち着いた口調で、そう言葉を重ねた。それを聞いた花音は、怯えたような声で捲し立てる。
「あなた、何なんですか? わたしは被害者なんですよ? それに、初対面でそんな言い方……」
「ん? デジャヴかな? つい先日も、同じような光景を見たんだ」
「…………」
「それにしてもよく似てる。あの時も血塗れだったかな」
「…………」
 ボブカットの女――紗希は、花音の瞳をじっと見つめた。
 花音は、大きなため息を吐いた後、
「ふーん。バレてんだ」
 口元にうっすらと笑みを零した。その目は据わり、口調は一変して落ち着いていた。
「で? あんたは誰なの?」
「誰でもいいでしょ?」
 紗希は、花音の問いかけをさらっとかわす。しかし、花音も臆する様子は全く見せない。
「じゃあ、何しにこんなトコまで来たわけ? まさか、警察とかバカなこと言わないよね?」
「言わないよ」
「それじゃ、何? 関係ないでしょ? マジウザいんだけど」
「うちの美里が、ここにお邪魔してないかと思ってね」
 紗希の声色は変わらない。しかしその瞳は、切り裂くような鋭さを湛えていた。

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