[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 勇作が美里を発見するまで、それほど時間はかからなかった。
 ドスンという鈍い音とともに、美里は倒れた。制服の左肩が赤く色付いていく。美里はふり返り、
「……あ、あなたっ」
 驚きの声を上げた。
 勇作の手には、ナイフがしっかりと握られていた。鮮血が滴っている。随分と興奮しているようだった。目は血走り、必死の形相を湛えている。
 美里は肩を押さえながら身構え、彼を睨みつけながら、
「花音さんを……、どこへやったの?」
 力なく、それでも威嚇するように声を張った。しかし言葉の気迫に身体がついていかない。ふらりと足がよろめく。勇作は狂ったように笑いながら、
「連れてってやるよ! 来いよっ!!」
 と、叫ぶ。切迫したような、どこか狂気じみた彼の声に、美里は警戒心を強くする。
「本当ですね? 彼女は無事ですよね?」
「ったく、いちいち煩ぇなぁっ! ごちゃごちゃ言わずに来いよおっ!」
「はい。私、行きますから……。だから……、彼女には手を――」
「っ!?……い、いで、痛でででっ!」
 会話は、勇作の拍子抜けした声によって途切れた。彼は身体を仰け反らせたまま動かない。後ろ髪を、誰かが掴んでいるのだ。美里は戸惑いながらも、じっと彼の後方を見遣った。
「美里。……こいつ、悪いやつ?」
 聞きなれた声に、美里は、
「彩香さん!」
 とっさに名前を呼んだ。
 桃色の花の付いた白ワンピースに黄色いボレロを羽織り、可愛らしいサンダルを履いている。ストレートロングの髪。フレグランスの淡い香り。それは間違いなく彩香の姿だった。
 驚きと安心感が美里を包む。しかしすぐに、彩香たちへの不信感が蘇り、美里は複雑な心境になった。
「ねぇ。こいつ、悪いやつ?」
 彩香が再度、問う。美里は「そうです」と答えた後、
「でも、……これは私の問題です。彩香さんには、関係ありません」
 きっぱりとそう言い放った。
 苦痛に顔を顰めながら、美里は立ち上がる。
 ――これは私の問題。彩香さんには関係ない。助けてほしくない。自分で解決する。
 しかし、彩香はその美貌の中に呆けた表情を作り、
「何で?」
 至極、自然に美里に問うた。叫ぶ勇作には目もくれない。しかしその髪はしっかりと掴んだままだ。ナイフを持った彼の腕を捻り上げ、彩香はさらに言葉を続ける。
「悪いやつなんでしょ? 美里、血ぃ出てるじゃん。この悪いやつに、刺されたんでしょ?」
「それは……、そうです。でも…………っ!!」
 美里は絶句した。寒気がした。目の前にいるのは本当に彩香本人なのか、という疑念すら湧いてくる。
 彩香の目は大きく見開かれており、その瞳は光を全く感じさせない。口元には笑みを浮かべている。それなのに、決して笑ってなどいない。それが、彩香の表情に歪な影を覗かせていた。
「外でもさ。……こういう悪いやつなら、……やっていいんだったよね」
 それは普段の彼女からは想像もつかない、静かで低い声色だった。

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