[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 一本の桜の木が立っていた。
 狭い公園のベンチでひとり、美里は舞い散る花弁をぼんやりと眺めていた。
 少し前までは、あの花弁を見るだけで幸せな気分になれた。しかし今は、それらが美里の心に何かを訴えかけてくることはない。春風も、太陽も、温かさも、今の美里には何の感動ももたらさなかった。昨日の、あの清々しい気持ちが嘘であったかのように、美里は暗鬱な気持ちに囚われ続けていた。
 ――花音さん、きっとまだつらいんだろうな……
 考える度、胸が痛んだ。傷ついた彼女の心情に思いを馳せるほど、自分の力のなさを痛感する。
 携帯電話を取り出す。無意識のうちに、美里は兄――廉太郎の番号を開いていた。しかし、通話口から聞こえてくるのは、コール音という名の空しい独り言だけだった。考えてみれば当然だった。彼はまだ勤務中なのだから。
 電話を切った後、美里は自分に尋ねた。なぜ兄に電話したのだろう。兄に何を話したかったのだろう。
 答えは、出なかった。今の自分の気持ちすら言葉にできないのに、一体、何を相談できるというのか。
 カラスの鳴き声で、美里は顔を上げる。空は、既に橙色に彩られていた。
「はぁ……」
 ひとつため息を零し、美里は立ち上がった。
 カラスの淋しげな鳴き声が、今の自分の心境を物語っている。そんな風に、美里には思えた。


 煌々と輝く月が、闇に顔を浮かべていた。
「おかえり」
 玄関を開けた美里を、廉太郎の声が出迎える。
「……ん、ただいま」
 玄関口に顔を出す彼と目を合わせないまま、美里は小さく応えた。おもむろにローファーを脱ぎ始めた美里に対して、廉太郎は言葉を続けた。
「美里、大丈夫か?」
「え、何が?」
「いや、……帰りが、遅かったからさ」
「心配しなくて大丈夫だよ。一応、もう高校生なんだよ」
 会話の間、美里は一度も顔を上げなかった。声色こそ明るいものの、その言葉の端々は、どこか不安めいた響きを帯びている。廉太郎は、そんな美里の様子を探るような目で窺っていた。
 いつものように靴を揃え、美里が家の中に足を踏み入れる。
「今日は疲れたから、もう部屋に行くね」
「…………」
「おやすみなさい」
 そう言って廉太郎の脇を通り抜けた美里の背後から、
「待ちなさい。……話がある」
 彼の声が飛ぶ。それはいつになく厳しい口調だった。

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コメント
この記事へのコメント
http://explorer.crav-ing.com/
マゾシチュまでの伏線ですか?
昔は起承転結とかルールが小説ありましたけど
ひぐらし(竜騎士07)みたく
読者置いてけぼりで後で話が繋がるって
手法がメジャーになってきましたね
それまで流れを記憶してなきゃならないんで
興味があるやつなら、よりはまるし
あんましそそらない人間には忘れられるみたいなw

上のリンクはブラウザです
動画の取得が簡単ですよ^^
腹責めだと「stomach」(腹)[trample](踏みつけ)かな
英語知ってるとネットはお宝ザックザクw
2009/04/15(水) 02:55 | URL | 名無し #-[ 編集]
ご来訪、ありがとうございます。
こんばんは。"Craving Explorer"のご紹介、ありがとうございます。便利ですよね。私もお世話になっています。
マゾシチュのためというよりは、彼女たちの人間関係を描くための伏線ですね。
女子高生はシリーズものなので、今までにも伏線はちりばめていますし、本作も然りです。
起承転結――基本ですね。私の小説は、それに則ったものもあれば、そうでないものもあります。
ひぐらしの構成は個人的に好きですが、本作で特に意識したつもりはありません。
基本的に感じるまま、好きなように書いていますので。受け取り方は、読者様にお任せしています。
書き込み、ありがとうございました。楽しんでいただけたら幸いです。
2009/04/16(木) 00:20 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
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