[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 桜の花弁が、無機質なアスファルトの地面を彩っていた。
 近くに桜の木はない。どこから運ばれてきたのだろう。
 美里は空を見上げた。雲ひとつない青空だった。風に乗ってひらひらと運ばれてくる薄桃の花弁が、美里の視界に入ってくる。春の陽気の中、美里は嬉しくなって、舞い続ける花弁たちを目で追った。それらは風の中を泳ぎながら、やがて硬いアスファルトの上に落ちる。
 その時だった。
 花弁が着地した路地の奥から、美里は微かな声を聞いた。不安を誘う響き。悲鳴のようだ、と美里は思った。
 少し気にかかり、声がした方にそれとなく視線を向けた時、
「……美里?」
 横から声をかけられる。
 気が付くと、彩香が不思議そうな顔で美里を見ていた。その隣には紗希もいた。この二人は、いつも行動を共にしている。最近は美里も合わせて、三人で一緒に学校から帰ることが増えていた。
 彩香も紗希も、相当な美少女だ。彩香は背が高く、いつも元気で明るい。紗希は小柄だが、スタイルの良さでは彩香にもひけを取らない。見るものを魅了するような綺麗で妖しい瞳は、二人に共通していた。
 どちらも光り輝いていて、太陽と月のようだ。大人びていて、とても自分と同じ歳だとは思えない。美里は二人の顔を見比べながら、密かにそんな思いを抱く。
「美里、ちゃんと聞いてる?」
「――えっ、あの……」
 彩香の問いかけに、美里は口篭る。二人をこっそり観察していたとは言い難い。桜に気を取られていたと言うのも、恥ずかしくて気が引ける。美里の心境を察したのか、紗希が二人の会話に横槍を入れた。
「彩香が、例の喫茶に寄って行きたいって」
「えぇっ? 行こうって言い出したの、紗希じゃん!」
 美里は紗希の助け舟に感謝した。同時に、子どものようにムキになる彩香の様子に、自然と口元が綻ぶ。
「……で、美里はどうする?」
 紗希の問いかけに、美里は迷った。早く帰る用事はないし、いつもならすぐに賛同しただろう。しかし、今はすぐに返事ができない。再び、路地裏へと目を向ける。不吉な予感、とでもいうのだろうか。美里は、先ほど聞こえた声のようなものが何なのか、次第に気になってきていた。
「あの、私……」
 美里が言いかけた時だった。紗希が、ポンと美里の肩を叩いた。
 ――え?
 何だろう、今の……
 美里は、自分が抱いた違和感の正体を探ろうとする。それが形を結ぶ前に、その異常はあっさりと姿を消した。
 紗希は微笑んでいる。
 頭を過った「何か」に思いを馳せようにも、消滅してしまったその影を追う手掛かりは既にない。それでも美里は、そのわずかな疑問を、無意識のうちに紗希の瞳に求めてしまう。
 ――気のせいだろうか。
 先ほど一瞬、紗希の瞳が厳しくなった。そんな風に、美里には感じられた。

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