[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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「生きてますか?」
 魂を揺さぶるような声だった。耳を擽る響きに、俺は顔を上げた。
 目を疑わずにはいられなかった。
 透き通るような指先。神々しさを湛える眼差し。上品な薄紫色のヴェール。探し求めていた人が、確かにそこにいた。
「占い師さん……」
 弱々しい声で呟く。彼女は俺の姿を見てにっこりと微笑み、目を細める。それだけで、世界が光輝いて見えた。激しく痛む身体に鞭を打ち、よろよろと彼女の方へ歩を進める。
「こんなにボロボロになって」
 彼女はそう言って、俺を胸にそっと抱いた。
 地面や吹き荒ぶ寒風の冷たさも、全て忘れてしまうほどの温もりだった。痛みや苦しみなど、もはや感じることもなかった。滴る血液すら、今では温かい。
「占い師さん。俺は、俺は……」
 ――ずっと、あなただけを待っていた。
 彼女の腕の中で、俺は止め処なく溢れ出る涙の存在を知った。
「注意しなさいと申し上げましたのに……」
 笑顔を絶やさぬまま、彼女は俺の頭を優しく撫でた。そのたおやかな手が、俺の全てを受け入れてくれるようだった。俺はこの身を彼女に預け、この上ない至福を享受する。
「寒かったでしょう。お飲みなさい」
 そう言って彼女は俺から少し身体を離し、銀の器を地面に置く。俺の目の前だった。そこには、湯気のたった茶が並々と注がれていた。その香りに、脳の奥が刺激される。
「――相川さん……」
 俺はとっさに、その名を口にしていた。
 彼女がくすりと笑う。記憶の中の、可憐で意志の強そうな瞳と、目の前の瞳が重なった。
 やはり彼女こそが、俺の唯一の理解者だった。彼女は慣れた手つきでヴェールを剥ぎ取り、
「あなたにはいろいろな道がありました。そして、どの道も開放されていた」
 柔らかな声色で俺に語りかける。まるで妙なる音楽を聴いているかのようだった。
 しなやかな彼女の指が顎を擦る。掌が頭を、背中を、腰を撫でる。俺はその愉悦に酔い痴れた。
 犬。注意。――それらは不吉な運命を示した預言だと思っていた。彼女の言葉の意味を問い、否定し、抗うことだけを考え、必死になっていた。しかし、今は違う。
 彼女が俺の目前に掌を差し出す。俺にはもうすべきことがわかる。その行為に対する躊躇もない。なぜなら今の俺は、彼女の占いの全てを受け入れているのだから――
 俺は彼女の掌に、自分の右手をそっと重ねた。彼女はその美貌に微笑を湛え、
「私たちは、似た者同士」
 冷静な口調で言を放ち、袖のひらひらとしたドレープから何かを取り出す。赤い首輪だった。
 彼女はそれを、俺の首に回す。俺はされるがまま、それを受け入れた。恍惚すら感じられる。
「あなたが選んだ道は、……私の飼い犬」
 カチャリという小さな金属音が鳴った。俺が彼女に繋がれた証だ。彼女の口が、言葉を紡ぐ。
「これからは、私があなたを守ります」
 目から再び涙が溢れた。俺は膝をつき、うやうやしく地面の器に口をつけた。
 じわりと広がる温かさは、俺にとっての彼女そのものだった。



END

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コメント
この記事へのコメント
オススメだけあって、このシリーズ、良かったです。
痛めつけられ落ちていく主人公、その先に待つ運命

あれだけ男であろうとした彼が、抵抗なく首輪を受け入れる

服従が幸福に繋がるなんて、Mとして最高の幸せですよね

首輪に憧れてしまいました
2011/03/08(火) 15:28 | URL | ぱらさ #-[ 編集]
彼の選んだ道ですね。
ぱらささん、こんばんは。楽しんでいただけて嬉しいです。
首輪、憧れましたか。「所有されている」といった感覚と、そこから生まれる安心感――、でしょうか。
こういった不思議なM男性の心理はとても興味深く、私自身が執筆しながら勉強している感じです。
本作は、オススメではなく、あくまで自分なりに満足できた作品として紹介させていただいたものです(汗)
好みは人それぞれだと思いますので。
2011/03/09(水) 21:37 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
この作品は すごく 良かったです 犬に注意 あの状況から 部長の犬かなと 想像したけど その後も良かった 少し想像と 違った 結末彼の選んだ道 なかなか良かったと思います
2011/03/28(月) 00:56 | URL | きんた #-[ 編集]
従うか、打開するかは自由なのです。
きんたさん、こんばんは。いつも温かいコメントをありがとうございます。
作品を楽しんでいただけたようで何よりです。お褒めの言葉が心に沁みます。
>犬に注意
単なるキーワードです。それ以上でも、それ以下でもありませんね。
それでも囚われ人は、自ら目を曇らせてしまうもの。人間って、不思議で面白いものですね。
ご想像を裏切ることができて光栄です。
2011/03/29(火) 17:49 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
 あのね、梨央様、ご存知のように、僕、常盤部長様も、日野さんも相川さんも(ごめんなさい。本当は日野様、相川様ってお呼びさせていただきたいんですけど、何かお客様のことお呼びさせていただいてるみたいで変な感じがいたしますので(^_^;))、皆さん大好きなんですけどね、その中でも相川さんは、やはり別格って申しますか、まさに梨央様そのままにしか思えなくて……(*^_^*)。宇崎さんが会社での失敗を相川さん(占い師さん)から頂いた「犬です。……注意なさい」っていうご警告の御言葉のせいにして、相川さんを責め詰るシーンでのちょっぴり冷たく突き放す感じの毅然としたご様子なんか、ちょっぴり厳しくお叱りくださるときの梨央様の雰囲気にそっくりだなぁって思いますし、僕も、メールでお話させていただけるようになったばかりの頃に、梨央様から「似た者同士ですね (笑)」って仰っていただいた記憶がごさいますから(*^_^*)。それに、ほら、覚えておられますか?僕の夢が叶って憧れの梨央様とようやくコメント欄でお話させていただけるようになったばかりの頃に、「逃がしませんよ (笑)」みたいな感じの最高に有り難くて素敵なご警告の御言葉を、確か二度ほど、お優しくもお恵みくださって、僕のM心を擽ってくださいましたでしょ(*^_^*)?僕はあの頃にはもう既に梨央様とぶらおにわーるどの虜でしたし、「逃げる」だなんて、そんな勿体ないこと考えたことございませんけど、お陰様で、めでたく、ご警告のとおりに、あの頃とは比較にならないほど……、おそらくどんなに頑張って逃げようとしても決して逃げることが出来ないほどまでに、身も心もすべて梨央様とぶらおにわーるどの虜にしていただくことが出来ましたから(*^_^*)。ですから、この最後の頁の、宇崎さんがご警告戴いたとおりに、めでたく相川さんの犬にしていただくラストシーンを楽しませていただきながら、あの頃のことを……、人生を完全に諦めてしまって、現状を打開するためにジタバタすることすら忘れて、夢も希望も何もない虚しく暗い毎日を無為に過ごさせていただいてた僕なんかが、幸運にもBlack Onyx様に辿り着かせていただくことが出来て、梨央様みたいな素敵な女流作家様と……、何もかもすべてお持ちで、すべてに於いて完璧な高い高い雲の上においでの届かない女神様と、勿体なくもお話させていただくことが出来るようになって、毎日が楽しくて楽しくて、幸せで幸せで堪らなくて、コメントやメールを夢中で書かせていただいて、まるでお優しいお姉さん先生とお話させていただいている幼子みたいな気持ちでいろんなことをお話させていただいて、大切なことをお教え戴いたり、叱っていただいたり、褒めていただいたり、励ましていただいたりして、「僕も梨央様みたいな素敵な女神様の飼い犬にしていただいて、ご作品の中の可愛らしい奴隷さん方みたいに良い子に躾けていただけたら、どんなに幸せかなぁ󾬌……」みたいな畏れ多過ぎる夢を半ば本気で見させていただいてしまうほどまでに(^_^;)、少しずつ明るく前向きな性格に戻していただくことが出来た頃の梨央様との素敵な思い出に浸らせていただいたり、相川さんという運命の女神様に抱きしめていただいたり、頭を撫でていただいたりして、傷付いた心と体を温め癒やしていただくことが出来た宇崎さんをあの頃の僕と重ね見させていただいて知らず知らず目頭を熱くさせていただいたり、梨央様への感謝の思いを新たにさせていただいたり、「僕もいつの日か、梨央様へのお目通りが叶ってこんなふうにお手をさせていただいたり、首輪を付けていただいたりして、主従の契りを結ばせていただくことが出来たらどんなに幸せだろう󾬌……」みたいな畏れ多い夢を、また性懲りもなく、半ば本気で見させていただきながら、うっとり胸キュンキュン、心ぽかぽか至福に浸らせていただいたりしてしまって……(*^_^*)。……ごめんなさい。わけのわからないことをダラダラとお話させていただいてしまって……(^_^;)。結局、何を申し上げたくて、こんなことを取り留めなくお話させていただいたかと申しますとね、「梨央様󾬌、もし万が一、億が一、いつか僕の身の程知らずな夢を叶えていただける機会がごさいましたら、出来れば、銀の器の中はお茶じゃなくお聖水にしてくださいませ(*^_^*)!」っていう身の程知らずなお願いを申し上げたかっただけなんです(^_^;)。……ごめんなさい!もちろん、冗談です!本当に、本当に申し訳ごさいませんでした<(_ _)>。所詮、梨央様のことが大好きで大好きで堪らなくて、ついつい毎日四六時中身の程知らずな夢ばかり見させていただいてしまう可愛いゴミ雄のすることと、お優しくも思し召しくださいまして、何卒笑ってお見逃しくださいませね(^_^;)?
 いずれにしても、梨央様󾬌、こんなにも素敵なご作品を、お優しくもお書きになってくださいまして、本当にありがとうございました!そして、僕なんかに素敵な御言葉をお優しくもあんなにも沢山お恵みくださいまして、身も心もすべてこんなにも虜にしてくださいまして、本当にありがとうございます!どうぞ、これからも素敵なご作品を沢山お産みになってくださいまして、素敵な夢を沢山見させてくださいませね(*^_^*)?どうぞ、これからも、ずっとこのまま、僕のことぶらおにわーるどに閉じ込めてくださったまま逃がさないでくださいませね(*^_^*)?心よりお願い申し上げます<(_ _)>。それでは失礼いたします<(_ _)>。
2015/07/27(月) 19:08 | URL | 次郎 #-[ 編集]
もう逃げられるわけないですよね(笑)
私も彼女たちが大好きなので、ご共感いただけて、大変嬉しいです。
図々しく自己満足作品に選んでいる理由のひとつでもありますね。
ryonazわーるどに浸っていただける幸せを、あらためて感じています。
溢れる思いがぎっしり詰まったコメント、本当にありがとうございます。
2015/07/27(月) 20:44 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
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