[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 呆れて声も出なかった。俺を見つめる無数の阿呆面に嫌気がさしてくる。
 ――ふん。所詮は馬鹿の群れか……
 普段は散々俺を馬鹿にしていた女たちも、今は無言のままだ。女たちの底の浅さを、あらためて実感する。
 一度、深く息を吸い込んだ後、俺はこの会社で唯一の理解者である相川さんの姿を探した。
 彼女を発見するのにさほど時間はかからなかった。しかし彼女の表情は、俺の期待していたものとは明らかに違っていた。そこに見えたのは、――俺に対する侮蔑と嫌悪……?
 ――何だよ。どういうことだよ? 相川さんまでが、どうして……?
 俄かに混乱の波が押し寄せる。身体が震えてくる。貧血のためか、ふらりとよろめく。同時に聞こえる、女たちの悲鳴。頭を抱える俺から身を守るように、皆が俺から離れる。相川さんの行動も、他の者と同じだった。
 ――相川さん……これは、君のためでもあったんだ。俺は、……この理不尽な社会に……
 その時、つと前に足を踏み出した者がいた。専務だった。顎まで髭を伸ばし、目に痛いほどの豪奢なスーツを着ている。頭は禿げ上がっているが、揉み上げだけは異常に長い。そのくせ、普段は全く存在感のない人間だ。そんな男が、こんな時に限って矢面に立つ。専務は、
「君はもう帰りなさい。しばらくの間、自宅待機するように」
 と、俺に厳しい口調でそう指図した。
 再び、視線を相川さんに向ける。彼女は無言のまま、ただ冷たい視線を俺に投げかけるだけだった。
 俺はすごすごと荷物をまとめ、早々に退勤した。

 どこをどう歩いたのか全くわからない。いつ自宅へ着いたのかも、いつ着替えたのかも、いつベッドに横たわったのかもわからない。そして、自分が果たしてこの部屋で、どれほどの時間、考え込んでいたのかすら……。とにかく、全てがわからなかった。
 気付けば、夜の九時を回っていた。
 今日はあの占い師に告げられた様子見期間の最終日だ。とにかく、あの占い師に会わなければ。
 俺は防寒対策もそこそこに、夜の街へと足を運んだ。
 
 正義を貫いて何が悪い。間違ったことを間違っていると言って何が悪い。俺は、間違ってない。
 犬。犬。犬!
 そうだ。あいつらこそ、社会に飼い慣らされた犬同然なんだ。俺は、ただひたすら尻尾を振り続けるあいつらのような存在にはなりたくない。
 肝っ玉の小さい男。陰で悪口を言うことしかできない女。皆、臆病者の根性なしだ。
 俺は、あいつらとは違う。そんな馬鹿げた現実に立ち向かい、自分の正義を貫いた。それは信念であり、根性であり、勇気であり……。俺は、自分のしたことを誇るべきなんだ。ただ――
 目的の場所に着いた時、俺は全身を絶望感に覆われてしまった。

 ――たった一言でいい。そんな俺を、認めてくれる言葉が欲しかった。

 閉まったサティーンの館のシャッターを前に、俺は涙を流して崩れた。

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