[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 納得がいかない。気味の悪さともどかしさが、同時に芽を出す。
 いそいそと商売道具を片付け始めた占い師を見ながら、
「おい。どういう意味だよ。犬って……噛まれたりするのか?」
 と、訊ねた。しかし彼女は素知らぬふりで片付けを続ける。まるで関わりたくないといった風だ。俺はいよいよ不安が大きくなり、
「ちゃんと説明してくれよ!」
 大声を出してしまう。いつの間にか俺は占い師の腕を掴んでいた。
 細くて柔らかかった。ついと上げた彼女の顔を見た時、俺の胸が大きく高鳴る。ヴェールの上から覗く瞳が、想像以上に美しかったからだ。
「放してください」
 弱々しい声でそう訴えられ、俺は我に返る。思わず手を放す。しかし、当然、不安は払拭されない。俺は深呼吸をし、なるべく冷静な声で言った。
「すみません。でも、これはあんまりじゃないですか?」
「…………」
「あなたは私を呼び止めましたよね?」
「はい」
「それで私を占った。……勝手に」
「はい」
「それなら、さっきの言葉の意味を、しっかりと説明してくれるのが筋じゃないですか?」
「…………」
「驚きませんから、ちゃんと教えてください」
 占い師はしばらく黙ったままだった。しかし俺としても、ここで引き下がるわけにはいかない。変に気になって仕事が手につかなくなることだって考えられる。妙な不安を抱えて生活したくもない。
 しかし占い師は、最後まで答えらしきものを口にしなかった。この場ではとても言えないからと言い、代わりに名刺をよこした。そこには大きく「サティーン」と書かれていた。当然、本名ではないだろう。脇には店の名前と所在地、電話番号が記されていた。彼女が落ち着いた声でゆっくりと話す。
「ここ数日で突然何かが変化する、というわけではありません。その点はご安心ください」
「いや、でも……」
「今日の分のお代は結構です。どうぞ三日間、様子を見てください。その間に何か異変があるようでしたらこちらへ」
 そう言って占い師は、名刺の所在地を指差す。腑に落ちない点は多々あったが、彼女が片付けを終えてその場を去るまで、俺は口を開くことができなかった。

 次の日は会社の仕事が全く手につかなかった。心のどこかで昨日の出来事が気になっていたのだ。
 商談は自分の失敗で決裂。電話の応対もうまくいかない。パソコンでの入力作業にもやたらと時間がかかる。単なるコピーすら部数を間違える。そんな具合だ。
 一日が終わる。
 次々と退勤していく同僚たちを横目に、俺は今日も残業を余儀なくされた。

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