[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 電話が鳴った。
 反射的に手を伸ばし、取った受話器を首に挟んでメモの用意をする。
「はい。臨地産業株式会社です」
 明るい声色で応対しながら、ペンを素早く紙上に走らせる。受話器を置くと同時に席を立ち、メモを片手に部長のもとへと向かった。内容の報告を終え、再び仕事机に向き直った時、
「それで、どなたからのお電話?」
 部長の這うような声が、俺の背筋を凍らせる。
「え、と……、その……」
 口ごもる俺を見て、部長は深いため息をついた。
 形の良い眉をしかめて俯き、首を軽く横に振る。ウェーブのかかった髪をかき上げ、
「宇崎さん。あなた、この仕事、何年目?」
 と、冷たい視線を俺に浴びせる。濃い紅色の唇がわずかに歪んでいる。
 年下の上司であるため、俺は日頃からこの女に対する劣等感を抱えていた。頭脳明晰。容姿端麗。いわゆるデキる女の雰囲気を全身から醸し出していることも、癪に障る。そして、この嫌味な物言い。
 そういうわけで、俺に蓄積されたストレスも尋常ではなかった。しかし、
「あ、はい。三年目です」
「そう。それで、ようやく日本語を覚えてきた程度なのかしら?」
「いえ、そんな……。今日のは私のミスです。すみません」
「謝って済む仕事は楽ね。責任を取るのは誰?」
「っ……、はい。部長には、いつもご迷惑ばかりおかけして――」
「それは昨日も聞きました。そろそろ新しい言葉も覚えたらどう?」
「…………」
 俺はどうしても強気な態度に出ることができなかった。
 机上で鳴る電話の受話器を部長が取ったのを確認し、俺は一礼してから仕事机に戻った。

「また?」
「うん。まぁ、しょうがないけどね、宇崎さんの場合」
「毎回、同じようなことで怒られてね。少しは学習すればいいのに」
「何でクビにならないのかな? それが不思議」
「案外、常盤部長のお気に入りだったりして」
「ほら、あんまり言うと聞こえるよ」
 ――もう、とっくに聞こえてるんだよ……
 陰口はせめて本人のいないところで言ってほしいものだ。慣れているつもりだが、やはり良い気分はしない。課の一角に固まっている同僚の女たちをひと睨みすると、何事もなかったかのようにそれぞれの仕事に戻っていく。全く暇なものだ。
 大きく深呼吸をする。
 誰が入れてくれたものかもわからない茶をすすり始めた時、再び机上の電話が鳴った。

Back | Novel index | Next
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。