[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 突如、顎に衝撃が走った。
 鈍い音とともに、僕の身体が大きく仰け反る。アッパーカットだ。
 瞼の上で火花が散ったように思えた。目の前の光景が反転し、壁に頭をぶつけてしまう。その反動で、僕は身体を女王様に預ける形となった。
「もう寝るつもり?」
 再度、女王様のパンチが僕の内臓を揺さぶる。
「ふぐううぅっ!」
 同時に僕の頬にグローブが叩きつけられ、顔が横に振られる。間髪入れず、反対の頬にも衝撃が走る。右へ、左へ――。パンチは交互に、連続して僕に襲い掛かった。
 女王様の思うがままに頭を揺さぶられる。脳がぶれるような感覚に陥る。朦朧としてくる。何も考えられない。
 やがて、鼻血が一滴、二滴と、床に零れ落ちていった。
「反撃してきなさいよ」
 女王様は一度手を止め、そう僕に命令した。そして再び、左右から拳の嵐を注ぐ。
 僕は困惑した。女王様に手をあげるなど、考えられないことだ。しかし、これは僕に与えられた命令なのだ。女王様の命令は、絶対だ。
「……はい」
 反射的に出た言葉だった。
 理解力や判断力など、正常な機能を失いかけている僕の脳には、もはや存在しないのだろう。ただ、反撃しなければならない――その意志だけが、僕の意識にしっかりと擦り込まれた。
 精一杯、拳を繰り出す。しかし、それに伴う衝撃は拳ではなく、常に僕の頬や顔面、腹に与えられた。もちろん故意に手加減をしているつもりもなければ、そんな思考も働かなかった。
 女王様には隙がないのだ。
 まるで羽を相手に拳を突き出しているかのように、僕のパンチは悉くかわされていった。反対に、僕の身体は確実に壊されていく。顔が腫れていくのがわかる。胃からせり上がってくるものを感じる。
 一発も当てられないまま、僕はマウスピースを吐き出し、勢いよく嘔吐した。背を折って屈むと、鮮血が目の前の床を赤く染めていく。もうどこから流れた血なのかもわからない。
 呼吸を荒げ、それでも必死で身体を持ち上げた。
 その時だった――
 女王様がため息をつきながら時計を確認している。ファイティングポーズは解かれている。
 ――隙だ。やっと……、やっと見つけた。今なら……
 僕は拳を握った。顔を注視し、狙いを定める。しかし、僕の腕は全く動かない。
 限界には至っていない。もちろん誰かに押さえ付けられているわけでもない。この時、僕の前に立ちはだかっていたのは、……忠誠心という名の壁。
 ――女王様のお言葉は命令だ。命令は絶対だ。そんなことはわかっている。それでも……
 次の瞬間、一際強烈な衝撃が顎に走った。僕の足は床を離れ、やがて身体ごと床に倒れ込んだ。
 
 しばらく気を失っていたらしい。
 頬に柔らかいものが当たっている。それは女王様の白い太腿だった。
 そしてすぐに、ダウンする前のことを思い出した。
 僕は壁を越えられなかった。命令を最優先にすべき奴隷が、何たる無様を晒してしまったんだろう。女王様はきっと怒っているだろう。僕は恐る恐る、傍の人を見上げた。
 目が合う。
 女王様は、僕の顔を見下ろしながら微笑んでいた。いつもの気高く美しい顔が、今は柔らかく、温もりに溢れている。
 この優しい顔に傷をつけなくてよかった。僕はそう思い、痛む唇を緩めて笑った。



END

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コメント
この記事へのコメント
とても面白いです。
ボクシングが強い女王様は、とても格好いいですね。とても面白かったです。ありがとうございます。
2010/01/17(日) 11:37 | URL | ひらき #-[ 編集]
ありがとうございます。
ひらきさん、こんばんは。
いつも温かいコメントを下さり、嬉しく思っています。
ひらきさんは、強くて格好良い女性がお好みなんですね。
例え弱くても、おそらく奴隷には、勝つ権利なんて与えられないでしょうけど(笑)
楽しんでいただけて何よりです。またぜひ、ご来訪ください。
2010/01/18(月) 21:43 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
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