[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 これは現実の出来事なのだろうか。
 彼女のフローリングの部屋は、クリスマスらしく飾り付けてあった。小ぶりのツリーの下に、ミニサンタクロースの置物が置いてある。どこからともなくいい匂いが漂ってくる。アロマとかいうヤツか。
 エアコンのスイッチを入れ、彼女は微笑みながら、部屋に飾ったキャンドルに火を灯した。小さな炎が、クリスマスムードをぐっと盛り上げる。
 彼女は桃香さんというらしい。
 部屋が暖かくなってきた頃、桃香さんはおもむろにコートを脱いだ。僕は思わず目を背ける……べきだったのかもしれないが、実際にはガン見していた。薄手の黒いワンピースが顕わになると同時に、彼女の妖艶な肢体が浮き彫りになる。胸元が大きく開いたデザインが、彼女のバストを強調していた。僕はもちろん凝視状態継続だった。彼女がキッチンへと入り、僕の目から離れた時、再び我に返る。
 ――これ、何てエロゲ?
 勢いに任せてついて来てしまった自分の大胆さが信じられない。恐るべし三次元女。しかし、ちょっと待て。よく考えろ。騙されるな、騙されるな! どう考えてもこれは、魔法使い御用達のご都合主義的展開じゃないか。こんなオイシイ話が、現実にあるわけが――
「おまたせしました」
 ホールケーキを手に、桃香さんが部屋へと戻ってくる。同時に、ふわりと良い香りが鼻腔をくすぐる。それはケーキの香りでもアロマの香りでもなかった。二次元には存在し得ない女の香り。その存在を、僕は初めて意識した。彼女の声は溌剌としていて、張りがあって、でも、やっぱりどこか淋しげで……
「ぼ、僕が持つよ」
 無意識に手を差し伸べていた。
 桃香さんがにっこりと笑う。その時、彼女の表情から陰りが消えたような気がしたのは、僕の思い上がりかもしれない。彼女は僕にケーキを手渡すと、
「フラれた者同士、楽しく祝いましょう」
 と言って、大型テーブル付属の椅子に腰掛けた。向かいに座るよう、僕を促す。
「そうだね」
 ケーキをテーブルの上に丁寧に置き、僕もまた椅子に座った。
 依然、緊張は解けない。何を話せばいいのか。何をすればいいのか。全てがわからなかった。嘘をついていることへの罪悪感もあったし、ボロが出ないか不安でもあった。ただ、今は考えること自体をやめようと思った。今だけは、ただ桃香さんの存在を一心に感じていたかった。
「あの……」
 そう自然に言葉を発した自分に驚きを隠せない。
「……はい」
「あの、その、…………元気、出してね」
 口をついて出た言葉だった。桃香さんは少し頬を染め、コクリと頷いた。
 既に神なんてどうでもよくなっていた。この幸せな時間がいつまでも続いてほしい。僕はそう願った。
「淋しいんです。本当は」
 桃香さんのその言葉が、僕の胸の奥をじわりと突いた。

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