[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 玄関先での談笑が続く中、悠馬は隠れたままで様子を見ていた。
 依然、祖父と女性との会話が続いている。祖父は恐縮している風だった。

「ありがとうございました。それで、お貸しいただいた不足分の金額の方は?」
「いえ。そんなの要りません」
「いやいや、そういうわけには。親御さんにもご迷惑がかかりますし」
「わたしがバイトで貯めたお金ですので。本当に、お気になさらないでください」
「お言葉は有難いですが。……それでしたら、せめてお茶でも飲んで行ってくださいませんか?」
「……じゃあ、せっかくですので。ありがとうございます。お言葉に甘えて」
「そりゃよかった。汚い家ですがね。どうぞお上がりください」

 一通り会話が終わった後、三人が居間の方へ向かって歩いてきた。悠馬はそれを見て驚く。慌てて、居間の押入れに身を隠すと、ふすまを静かに閉めた。
 悠馬には、三人が低いテーブルを囲んで座っていることは、見なくてもわかった。相変わらず、会話に花を咲かせている。そのうち、言葉に混じって、お茶を啜る音やお菓子を嗜む音が、彼の耳に届いてきた。僕も一緒に――と何度も思った。しかし内気な彼には、やはりそこから出て行く勇気がない。
 悠馬は押入れのふすまを少しだけ開けた。すると、祖父が辺りをキョロキョロと見回しているのが目に入った。彼は動揺した。自分を探している。そう直感したからだった。
 ――やめて、おじいちゃん。探さないで!
 しかしその思いも空しく、祖父の口が開く。
「ところで――」
 そう口にした祖父の言葉に割り込み、怜治が、
「ねぇねぇ、お姉ちゃん! お名前、何て言うの?」
 と、勢いよく声を発する。悠馬は内心ホッとしていた。女性はにっこりと微笑み、
「花音だよ」
 と、怜治の質問に答えた。
「カノンさん、か。ねぇ、これからはカノンお姉ちゃんって呼んでいい?」
 そう元気よく懐く怜治の言葉に、花音は「もちろん」と、笑顔で頷いた。
 悠馬はひとり暗闇の中、必死で胸の高鳴りを抑えようとしていた。

 談笑が続く中、悠馬は次第に心細さを感じてきていた。親しそうに話し合う三人の姿を、ただぼうっと見ている。
 怜治は既に花音に好意を寄せているのか、普段よりも甘えた口調になっていた。クラスで流行っている遊びや趣味、仲の良い友達など、怜治の話す内容はほとんど自分のことばかりだ。それでも花音は嫌な顔ひとつしない。柔らかい微笑みを浮かべ、頷いたり、驚いたりしながら、興味深げに怜治の話を聞いている。
 悠馬はその様子を、ただ羨ましそうに眺めていた。

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