[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 舞い散る枯葉を、ただ見つめていた。
 張り詰めた空気が、徐々に体温を奪っていく。一切の衣を身に纏わない僕の姿は、晩秋の砌を頭から無視するものだった。
 住宅地から少し離れた場所にある林の中。ここまで入ってくる住人はまずいない。
 手足を木に括り付けられているため、当然、手足の自由などない。悴む両手を後ろで擦り合わせながら、僕はただじっとその場に立ち尽くしていた。
 時折、寒風が身体を貫く。僕はその度に身を捩り、悶える。
 散っていく木の葉の色はくすみ、冬の到来を意識させる。しかし、風を受けて舞う数々の枯葉の音は、僕には聞こえてこない。いや、正確には、僕の脳がそれを受け付けていないのだ。
 女王様の立てる音。
 今の僕は、それだけに耳を傾けていた。期待と同時に、恐れ、慄き、怯えるその対象に――
 出来心だったと言って許されるものではない。眠っている女王様の艶かしい姿に興奮し、その裸体を想像した。脳内で都合よく女王様を動かした。愚息に手を宛がって擦った。下半身から白濁液を勢いよく噴出させた。……敬服すべき存在を、よりにもよって僕は、欲望の捌け口にしてしまったのだ。
 思い出す度、耐え難い羞恥心に苛まれる。自己嫌悪に陥る。何度も失敗を繰り返す自分に対し、ひどく失望感を覚える。
 ――このまま僕は捨てられてしまうのだろうか。
 自業自得。そう言ってしまえばそれまでなのだ。考えてみれば、これまで数々の非礼を行ってきた。むしろこの時まで、こんな僕を飼ってくれた女王様に感謝すべきなのかもしれない。しかし、そう割り切ることは、僕には到底できそうになかった。
 女王様の姿を思い浮かべる度に、涙が溢れてくる。このまま捨てられてしまうのかと思うと、発狂しそうになる。失う怖さに身体が震える。罵倒され、嘲笑され、痛めつけられ……。精神的にも肉体的にも苦痛を与えられることは、僕にとっての悦びだった。
 何よりも怖いのは、捨てられてしまうこと。山間に吹く風を受けながら、女王様とともに夕日を浴びたあの日――
 僕はそれを実感したはずだった。それなのに……
 一体、僕は何を学んだと言えるのだろう。何が変わったと言えるのだろう。

 どれほどの時間が経ったのか見当もつかない。
 最初は幻聴ではないかと疑った。しかしその音は、確かに僕の耳へと届いてきていた。

 目の前にポルシェが停まる。その重厚なエンジン音が切られた時、僕は安堵の息を漏らしてしまう。思わず瞳が潤む。
 待ち焦がれた女王様が、今ここに存在する。その悦びは、僕を幸福の渦へと誘い込んだ。ベージュのトレンチコートに身を包み、ダークレッドのヒールを履いている。すらりと伸びた脚は薄いストッキングで覆われていた。魅惑的な立ち姿に、つい見惚れてしまう。しかし、今の僕には当然、それを悦ぶ資格はない。そんな身分や立場にもない。敬愛の念を忘れさせるほどの罪悪感と羞恥心、恐怖心が僕に襲い掛かる。
 女王様は車を降りると、一歩、また一歩と僕に迫ってきた。射抜くような鋭い瞳が、僕に容赦なく突き刺さる。落ち葉にメロディを奏でさせる女王様のヒールが、何故か残酷な凶器に見えた。
 僕は萎縮し、俯く。女王様は僕の目の前に立ち、黙ったまま僕を見据えていた。

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