[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 あらためて男の前に立ち、非礼を詫びる。同時に、横目でちらりと由香利先輩の顔を睨みつける。
 ――やってやる。……見てなさいよ。
 私は再度、視線を目の前の男に向けた。
 男の様子に目立った変化はない。相変わらず、時に怒号を上げ、時に弱々しい目を向ける。私は同情心を振りきり、再びその指に手を伸ばした。
「ひ、ひぃ! ひいぃ!……助け……おね、お願いします……」
 男のその言葉に、私はつい手をピクリと反応させてしまう。彼は咳き込み、目を真っ赤に腫らし、後から後から涙を零し続けていた。嗚咽を漏らし、存分に顔を崩した彼の姿は、とても哀れに思えた。
 手が動かない。
 男は私の触れている指を懸命に動かし、抵抗の意思を表す。あまりにも非力だ。人間は、手首を拘束されているだけで、こんなにも力を無くしてしまうものなのか。例え、それが大の男であっても。
 私は男の手をしっかりと捕らえ、小指を掴む。それは容易いことだった。しかし――
「や、……やめ……。ゆる、やべでぇええ!」
 ……彼の悲鳴が、私にとっての歯止めとなってしまう。
 無駄な抵抗。それは自明なことだった。私にとっても、もちろん、この制度を知っているであろう彼にとっても。ここで公務をきちんと執行することが、今の私に課せられた義務なのだということも、十分承知していた。それなのに……
 自分の額に汗が滲んでくるのがわかった。男の手を辛うじて掴んだまま、私は困惑する。理性と感情が鬩ぎ合い、葛藤を起こす。無意識に先輩に視線を送ってしまう。
「ゆ、由香利先輩……あの……」
 喉から出たのは、紛れもない怯声だった。私は救いを待った。しかし、先輩は毅然とした態度を崩さない。その瞳は凛とした光を湛え、ただ男と私をじっと見つめていた。そして、
「甘えないで」
 と、毅然とした表情のままで言い放つだけだった。その態度に、私は再び感情を逆撫でされる。
 ――別に、甘えてなんかない! 言われなくたって……
 意を決し、私は男の小指の関節に親指を宛がう。手を添え、ぐいと力を込める。
「ひっ……、いや……嫌だあっ!」
 彼の懇願の声が痛々しい。それを振り払うように目を瞑り、さらに力を加える。しかし、想像していた以上に関節の骨は硬かった。じわじわと力を強めていくにつれて、彼の叫びも大きくなる。
「やめえええぇ!……ぎぃ、があっ! いいいいっ!……ああああっ!!」
 ――黙って! お願い。もう少し……
 その時、ボキッという鈍い音が鳴った。ようやく男の小指の骨が折れたのだ。しかしそれは、私の本意ではなかった。当然だ。それは私の手による骨折ではなかったのだから。
 男の絶叫が鳴り響く中、私は目を開いた。先輩の瞳が、私を貫いていた。
「酷い! 私、頑張ってたのに……最後までやらせてくれないなんて!」
 私は無意識に、感情を先輩にぶつけてしまう。しかし先輩は、無言のままだった。すぐに私から目を逸らし、男に視線を戻す。そして、
「本当に、ごめんなさい」
 と、彼に頭を下げた。先輩の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた。

Back | Novel index | Next
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。