[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 ペンを持つ手が震えた。
 薄暗い拷問部屋には数々の器具が取り揃えられている。施してきた拷問の歴史を表すように、それらは冷たく、無機質に、その血塗られた姿を晒していた。どれも目を覆いたくなるような品ばかりだ。
 幸い、今日の器具使用は必要最低限のものに留められていた。
 違反者の男の両手足を拘束するための磔台――それ以上のものを使用することはないと、由香利先輩から事前に聞かされていた。実践見学研修の初日では刺激が強すぎるという理由から、先輩がそのように取り計らってくれたのだろう。
 もちろん、いずれそれらを使用しなければならないことも、そのための勉強を欠かせないこともわかっていた。でも、私は少し安心していた。今日だけは、その使用を見なくて済むのだから。
「ご気分はいかがですか?」
 そう問いかける先輩の拳は、男の弛んだ腹に延々と叩き付けられていた。彼の名は神沼誠次。歳は二十九。正当拷問自白法の違反者だ。だぶついた大きな身体だが、身長は低い。呻き声を上げながら、彼は、
「苦し、い……です。お願……す。もう――」
 と、必死で懇願している。私は、彼の様子を事細かに書類に書き綴っていった。

 自白のための拷問を認める法律が正式に制定されたのは、もう何年も前のことだ。そして、その法に違反した者は、拒否罪に問われる。ある者は幾年、ある者は一生、死よりも辛い拷問を受け続けることになる。但し、その刑に服して社会復帰できた者の話は、未だ聞かない。私はその処刑人として、ここに配属された。

 受刑者の顔を見るのがきつい――それが正直な気持ちだった。受刑者の取りがちな行動や、それへの対処法などは、もちろん研修講義の段階で一通り学んでいた。内容が頭に入るまで、マニュアルに何度も目を通した。しかし、実践見学となると話は別だ。私は平静な表情を繕うのがやっとだった。
 手の震えが止まらない。足が竦んでいる。凄惨な場面に、思わず目を逸らしてしまうこともある。
 しかし由香利先輩は、そんな私の行動を敏感に察知する。その時には必ず、
「新村さん」
 と、厳しい声が飛んでくる。叱られるのも当然だ。先輩が実践を見せてくれているのは、他ならぬ私のためなのだから。
 しっかりと見て、学習し、できるだけ多くのことを吸収する。それが、今日の私の義務だ。
 私は「はい!」と返事をして気を引き締め、再び、先輩と受刑者に視線を向ける。
 男は涙を浮かべ、決して叶うことのない願いを叫んでいる。その声は既に掠れていた。目が虚ろだ。時々、激しく咳き込む。喉から荒い息音を発し、口の端から胃液を垂れ流している。
 私はペンを握り直し、書類にその様子を書き留めていった。
「苦しいですか?」
「うぐうっ!……はひぃ……」
「もっと抉りますからね」
「っ……はぐうっ!」
「潰れるまでの我慢ですので」
「っはっ!……ぐふうぉ!」
 先輩は嬉々とした表情を湛え、男の腹を殴り続けた。彼の苦痛を労わる言葉をかけながら、さらなる苦痛を躊躇なく与えている、といった印象だ。
 プロの世界――。私は肌でそう感じていた。

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コメント
この記事へのコメント
お久しぶりです!
コメントはなかなか出来なかったりですが、楽しみに拝見させていただいています★
今回の新作も、とてもワクワクする始まりで、続きが楽しみですp(^^)q
もう少しで本格的な冬になるので、身体にきをつけてくださいねっ(^O^)/
2008/11/05(水) 00:10 | URL | あゆみ #-[ 編集]
こんばんは。
あゆみさん、ご無沙汰しています。いつもコメントをありがとうございます。
ご来訪くださっていたんですね。本作も楽しんでいただければ幸いです。
コメントは頂けるだけで光栄です。本当に、気が向いた時に、気軽にしてくださいね。
それをプレッシャーに感じられては、本末転倒ですので(笑)
健康へのお気遣いまで、ありがとうございます。あゆみさんも、どうぞご自愛ください。
2008/11/05(水) 20:57 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
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