[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 歩を進めるたびに、足元の砂利が音を立てた。
 人影たちの表情はまだ暗くて見えないが、穏やかではない雰囲気は先ほど以上に鮮明に、臨場感をもって感じられる。
 男女の絡み合い、と言ってしまえばその通りだ。ただひとつ違うのは、それが私の胸を高揚させるものだということだった。それは、闘いという名の絡み合い。
「っだ、コラてめオラ!」
 そう嘶いた男は、次の瞬間には腹を抱えて膝をついた。顔を地面に埋め、身体を丸めて痙攣を始める。喉の奥からゴボゴボと濁った音を立て、吐寫する。
「ンメとぅんかおぉ?」
 威勢の良さに反し、男は女の拳をまともに顔面に受ける。鼻から血液が噴き出す。男は痛みと驚きからか、悲鳴を上げながら倒れ込み、地面をのた打ち回る。
 まだ無関係だと割り切っているつもりだった。しかし、私の目線は思った以上に正直だ。目の前の光景をじっと捉え続けている。勝敗の明らかな、一方的な女の暴力を――
 風に運ばれてくる芳しい血の香りが鼻腔をくすぐり、私に安堵を与える。
 気付けば私の足はさらに、前へ前へと進んでいた。彼らとの距離が徐々に縮まっていく。いつしか目も慣れ、今や、闇の中に浮かぶ顔たちは、ぼんやりとその個性を捉えられるほどになっていた。
 ふいに、私の目がそのうちの一人に留まる。女だ。同時に、私の固定観念が吹き飛ばされる。
 ――安藤……さん?
 知った顔だった。身に着けた制服のブレザーもスカートも、私と同じものだ。
 わずかに動揺を覚える。この惨状と彼女のイメージが決して相容れないものだったから。
 特に親しい間柄ではなかったが、彼女の評判は学園中に広まっている。人当たりもよく、明朗活発。先生からも信頼されている人物だったと思う。簡単に言えば、目立つ存在だ。
 才色兼備が服を着て歩いている、とはよく言ったもの。あらためて彼女の姿を見ていると、それがよくわかる。
 容姿端麗で背が高い。風になびくロングヘアの隙間から、色白の顔肌が覗く。自然な紅みを帯びた唇がアクセントとなり、彼女の顔立ちのバランスの良さを際立たせている。その彼女が、今まさに――
「ぎぃああああっ!」
 脚を大きく振り上げ、男の顎を蹴り上げている。悲鳴を上げた男は宙を舞い、ドサリと地面に崩れ落ちる。日本語を話さないのは相変わらずだと皮肉りながら、私は思わず笑みを零す。
 ――わからないものだな……
 次々と男を地に沈めていく目の前の女を見ながら、私は心が安らいでいくのを感じていた。
 胸が高ぶる。彼女のこの「裏の顔」をもっともっと見てみたい。ずっとこの感動を味わっていたい。心からそう思った。しかし、それが叶わないということも、私にはよくわかっていた。
 なぜなら、彼女が正気でないことは、争いが始まった頃から既に予想がついたことだったから。
 もはや戦意を失い、呻き声すらまともに上げられなくなった男たちに向けて、彼女は容赦なく追撃を加える。馬乗りになって顔面を殴りつける。蹲った男の全身を執拗に蹴り続ける。大の字に倒れた男の身体を踏み付ける。睾丸を蹴り上げる。そこに躊躇は微塵も感じられなかった。
 ――義理は無いけど。
 私は一度、深呼吸をした後、制服を血で染め上げた彼女の方へゆっくりと進んでいった。

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