[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 男の絶叫が地下室いっぱいに響き渡っていた。
 既に左腕を庇う動作は見られない。痛みが消え、縦横無尽にのびのびと床の上を跳ね回っているようにすら見える。しかし当然、そうではない。床を転がり、のた打ち回り、身体を丸めては仰け反らせる。その奇怪な動きは、他の痛みを超える更なる痛みが、女性から男に齎されたことを意味するものに他ならなかった。
 男は右掌で自分の右目を覆っていた。指の間からは血液が溢れており、男の右手は赤黒く染まっている。それでも尚、出血が治まる気配はない。身体を不規則に跳ね回らせながら、男は枯れた喉から声を絞り出し続けた。
 白一色で囲まれていた地下室は、今やその大部分が赤黒く塗り潰されていた。
 女性は立ち上がり、着色されていくこの部屋と男の奇妙な動きを、ただ無表情のまま見つめていた。
 

 ――絶好のチャンス。
 先ほどの瞬間を男がそう見たのは当然だった。
 女性と自分との顔の距離は限りなくゼロに近い。女性の瞳には優しい光が灯り、その身体は自分を包み込むように密着している。唯一使える右手は女性の死角にあり、女性の着けているイヤリングの位置は左側だ。――今しかない、と。
 それを好機と見た男に対して「間違っていた」とは、誰にも言えないだろう。
 女性が再びその顔を男に近づける。男が、女性のイヤリングと自分の右手の位置を確認するように、それぞれに目を遣る。女性の顔がさらに男に近付く。接吻の時を待たず、男が右手に力を込める。
 そのわずかな瞳の揺らめきを、女性は見逃さなかった。
 男の視線がイヤリングへと移行すると同時に、男の右手がそこへ伸びていく。その時男は、自分の視界の端に確かに映っていたはずの、女性の吊り上がる瞳に気付かなかった。いや、正確には、気付いた時にはもう遅く、次の瞬間には見ることができなくなった、と言った方が適切かもしれない。
 女性が突き出した左手の人差し指は、男の右目の中に吸い込まれるように深く入っていった。
 しなやかな指は凶器へと姿を変え、男の右目の角膜を破り、眼球の中身を破壊した。水晶体にまで到達した指は眼房を突き破っており、そこから眼房水が勢いよく噴き出した。それはやがて大量にほとばしる血液によって覆われていった。
 男の右目から光が失われた瞬間だった。絶叫し、身体を大きく跳ね上がらせる。しかし女性はその手を引かない。男の眼球内を堪能するかのように指先を動かし、しばらくその内部を抉り続けた。男は痛みと恐怖が混濁したような声色で叫び、女性は無感情に指を動かす。
 女性の指がようやく男の右目から引き抜かれた時、男は床の上を狂ったようにのた打ち回った。
 イヤリングは、男の血液を浴びてもなお、煌びやかな輝きをもって女性の左耳を飾っていた。


 つかつかとピンヒールがリズムを刻む。その音を妨げるように、男の絶叫が響く。
 女性は男の前でその足を止めると、右足で男の髪を踏み付けてその動きを封じた。怯えを隠さない男を見下ろしながら、左足をゆっくりと持ち上げる。そのヒールの先は、男の左目を捉えていた。
 女性が微笑を湛える。次の瞬間、再び男の断末魔の声が、地下室を覆い尽くした。

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