[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 男は走り続けた。
 完全に息が上がっているのか、男の喉からヒューヒューと音が鳴っている。対する追手の女性は、未だ軽快な足取りで、じわじわと男を追いかけていた。手錠がしきりに鬩ぎ合い、高い金属音を放つ。男の両腕には次第に擦り傷が刻まれ、両腕を徐々に削っていった。女性は口元に笑みを浮かべ、無言のままヒールの音を奏でている。
 男は泥酔したような足取りだった。
 右へ左へと不規則にふらつきながら「はぁ……はぁ……」と擦れるような呼吸音を絞り出している。そして男の足がひたりと動きを止める時、女性の一撃が彼を容赦なく襲う。
「がああああぁっ!」
 背中を蹴り飛ばされ、男は絶叫とともに床に突っ伏す。ピンヒールの先が突き刺さったのか、倒れ込んだ彼の背骨脇の一点から、血液がじわりと顔を覗かせる。
 再び振り下ろされた踵を、彼は寸でのところでかわす。男に休む余裕は与えられないのだ。そして再び鈍足を懸命に駆使する。その繰り返しだった。彼の体力がもはや限界を超えていることは、火を見るより明らかである。それでも女性のヒール音は一定のリズムを奏でながら、確実に男を捉えていく。
 男がよろめき、屈み込む。女性は間髪入れず、男の弛んだ腹に鋭い膝蹴りを叩き込む。
「ぐええぇっ!」
 ふわりと男の足が床を離れる。吐き気を催したのか、男は身体を折り曲げたまま、喉から奇異な音を立てる。小刻みに震えたまま、とうとう男はその足の動きを止めた。女性はその姿を見るなり、男の髪をむんずと掴む。女性の目尻が下がり、口元はゆっくりと弓なりに曲がる。
「……捕まえた」
 言いながら女性は、屈み込んだ男を押さえつける。
「や、やめ――」
 と、男が叫ぶ。それは小さく、酷くしわがれた声だった。しかし女性の表情は変わらなかった。顔中に湛えた朗らかな笑みを絶やすことなく、
「覚悟はいい?」
 と鋭利な口調で言を放ち、男の腹を再び膝で突き上げた。
「ぐふうううぅっ!」
 男の擦れた叫びが地下室を包む。出張った腹に女性の膝が深々と突き刺さる。内臓が下がる体勢であるため、その衝撃は直接、身体の中へと響く。
「っはっ……げえっ!」
 それは内部から遡ってくる悲痛な悶声だった。しかし女性の蹴りは止まらない。
「いい声」
「うぐぅっ!……っかはっ!」
「もっと?」
「……ぐうっ……ごほおあっ!」
 苦渋に満ちた喉声が絶えず地下室を覆った。男の膝には既に力が入っていないのか、掴まれた髪を支点に身体が宙吊りになっていた。
 やがて、男は嘔吐し、白目をむいた。女性はくすりと含み笑いを零すと、彼の髪から手を放す。
 男は意識をもたない人形のように、顔から床にドサリと崩れ落ちた。

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