[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 この鬼ごっこに終わりはなかった。
 逃げ惑う男は生まれたままの姿を晒し、後ろ手に手錠がかけられている。全身から汗と血の雨を降らせ、それが地面をひたひたと湿らせていく。表情はない。ただ静寂を打ち破る荒い息遣いだけが、時を追うごとに大きくなっていった。
 淡い人工光が、ほのかに二人を照らし続けている。
 両者の影は時に接近し、時に離れ、しかしいつまで経っても、二人の距離が一定の範囲を超えることはない。それは、ここが密室であるという事実からすれば、当然の摂理だった。
 出口のない地下室の内部は、冷たくて硬いシェルターの壁で覆われていた。
 もちろん、この部屋からも外を見ることなどできない。当然、自然の光が入ってくることもなく、唯一の光源は弱々しい人工光だけだ。部屋には物品ひとつ置かれておらず、歩みの障害になるものは何もない。ただ、とにかく狭い。仮に部屋の対角線上を一般男性が普通に歩いてみても、かかる時間はせいぜい四、五秒程度といったところだ。
 そんな無機質な豪箱の中、それでも男の足は動き続けていた。
 足取りは重く、時折ふらつく。倒れ込みそうになることもあれば、壁に凭れて亀のように鈍足になることもある。反対に、ふいに勢い付いたかのように速度を上げることもある。
「ほら、また追いついちゃうよ」
 そう呼びかける追手の声は爽然としていた。足取りも軽い。それは、逃げる男のそれとはまるで正反対の様相を呈していた。身に着けた黒いピンヒールブーツが、コツコツと快適なリズムを刻んでいる。
 男はその高い声と足音にビクッと身体を反応させる。追手には背を向け、決して目を合わせない。無言のまま乱れた呼吸音だけを発し、足を速める。
 この密室でいくら足を動かしたところで、当然逃げ場はない。もちろん男の方も、それがわからないほどの馬鹿ではない。
 しかし男は、決してその足を止めようとしない。いや、止めることを恐れている、と言った方が、この場合は適切であろう。男は、嫌でも理解せざるを得ない法則を、既にその身にインプリンティングされているのだから。
 足を止めることが何を意味するのか。どうしてそれが恐ろしいのか。
 今まさに、再びその答えが男に突きつけられようとしている。
 今日何度目のことかはわからない。男の体力がまたも限界を迎えたのか、その足が止まろうとしている。すぐ背後にまで迫った追手の気配を感じたのか、男の顔面はみるみるうちに蒼白になっていった。
 肩を小刻みに震わせながら男がふり返る。しかし時は既に遅く、男の眼前には、血塗れになった追手のブーツの尖った爪先が迫っていた――
「がはあぁぁっ!」
 バキッという快音に混じり、男の獣のような絶叫が地下室内に反響した。
 男の身体が宙に舞い、ドサリと床に落ちる。唇の端が切れ、そこから血液がポタポタと零れていく。それでも次の瞬間には、震える膝を持ち上げて立ち上がり、再び覚束ない足取りで遅走し始める。それが功を奏し、追手が続けて男へと繰り出した蹴りは、間一髪のところで空を切った。
 壁に凭れかかるようにしながら、男はまた走り出した。

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コメント
この記事へのコメント
女性の身分が高く男を遊びで殺してもけっして裁かれないパターンが最高です。なかなかすばらしい話のはじまりですね、この先が楽しみです。挨拶が遅れましたいつもお疲れ様です。ところでまた喫煙フェチの私にとってよい風景を見ました。喫茶店でコーヒーを飲んでいたら30代の女性と中学の制服を着た女の子が入ってきた。女性は、10センチ以上のハイヒール極薄の黒ストりょう風のかんじ娘の前で細くて長い煙草を口に咥え高級ライターで火を点けた。煙は口から一直線凄くかっこよかった。娘も母親の影響で煙草をそのうち吸いだすんだろうなーまさかもう吸っているのかなど想像した。喫茶店でなければ吸殻がほしいところだ。
2008/10/01(水) 20:02 | URL | でぶ #-[ 編集]
こんばんは。
でぶさん。どうもご無沙汰しています。労いのお言葉に励まされます。
高権力や正当性を得た、遊び感覚をもつ女性が男を虐待する。
救いもなく、圧倒的な力に屈するしかない絶望感が、M男性の性的興奮を高揚させるのでしょうか。
個人的にですが、でぶさんの嗜好はとても多岐にわたっているように感じます。
「喫煙女性」もでぶさんの重要な萌え要素なんですね。性癖の多様性には、大変興味があります。
作品へのご期待を頂けて光栄です。今後の展開にも、どうぞよろしくお付き合いくださいませ。
2008/10/02(木) 00:11 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
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