[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  〜美しき女性たちの狂気〜
 物事がはっきり見えるようになった。それは良い事なのか、悪い事なのか。
 気分がいいと感じた。パッと目の前が明るくなった気がした。夫が側にいることに気付けた。季節による自然の移り変わりがわかった。感情を動かすことの悦びを実感できた。
 周りはそれを「心の健康」と呼んだ。
 でも、時が経ち、それすらも偶像だとわかった。
 空はもはや真っ黒だ。緑なんてどこにもない。季節なんてない。感動は心を乱されるのと同じことだ。家事は私を追い詰めるもの。何より、そのきっかけとなった夫の存在が嫌で嫌で仕方がない。
 残ったのは、何? 今の私には、ただ煩わしい、嫌な現実しか見えない。

 世界は決して変わったわけではないのだろう。
 私の精神や心持ちは変わったと思う。悪い方へ、悪い方へ……
 でも、それ自体、何の意味ももたないのだ。
 そこに気付くのが遅すぎた。

 全てはどうでもいいこと。
 私が何を考えようと、何をしようと、何も変わることはない。
 もちろん、私が生きていようが死んでいようが、世の中には何の支障もない。
 私の夫もまた然り。
 彼が生きていようが死んでいようが、世の中には何の支障もない。
 そう。もちろんあそこにいる子どもも、その親も、若者も、老人も……そしてあなたもね。
 あなたが生きていようが死んでいようが、世の中には何の支障もない。
 例え今ここで、目の前にいるこの醜悪な物体に、私がナイフを突きつけようとも……

 それはどうでもいいこと。
 全てはどうでもいいこと。
 試しに、いつの間にか手にしていたこの光るモノを、振り下ろしてみることにする。
 ……何かが私に降り注いでる。何かはわからないし、別にそれに興味もない。
 見ているけど、見えない。感じているけど、感じていない。
 所詮はそんなもの。そんなもの。


 きっと わらわれるとおもいます
 でも それが わたしのりかいしていることのすべてです
 わたしが そのとき なにをもち なにをかんがえて だれを どうした
 そんなむずかしいことはわかりません まったくわかりません
 ただわかるのは なにごとも ただすぎていくということだけです



END

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