[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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「あなたは弱いの」
 痛烈な言葉が美里から放たれる。
「ただ力で痛めつけて相手を倒す。……それでいいの?」
 美里の言葉は耳に痛かった。でも今は不思議と、その言葉の先をもっと聞きたいと思えた。
 彼女は続ける。
「本当の強さって、そういうことじゃないと思う」
 オレは無言のまま聞き続ける。
「あなたのは、闘いのための闘い……。単なる暴力」
「暴力……」
「お兄ちゃんはね、あなたよりずっと強いよ」
 照れくさそうにそっぽを向く先生を横目に、オレは無意識に美里に詰め寄っていた。
「美里から見た、先生の強さって何なんだ?」
「あ、初めて名前で呼んでくれたね」
 そう言って朗らかな笑みを浮かべる美里の顔は可愛らしく、オレは胸が高揚する。つい視線を泳がせてしまう。
 美里は、照れるオレの瞳をじっと見つめ、「うまく言えないけど」と前置きしてから口を開いた。
「まず、あなたを守ろうとした強さかな。あんな目に遭わせた相手なのに」
 先ほどまでの光景がまざまざと脳裏に蘇る。その言葉はとても重い。
「あと、最後まで自分を守ろうとしなかった強さ」
 美里はそこまで話して、一呼吸置く。
「最後は、約束を守った強さだよ」
「約束?」
 違和感を覚え、思わず疑問を投げかける。
 と突然、先生が「み、美里! それ以上は――」と過敏に反応する。その声に驚き、オレは無意識に視線を先生へと向けた。その時、先生の横で悪戯っぽい笑みを口元に湛える紗希の姿が、同時に目に入った。そして次の瞬間には、紗希の肘が先生の鳩尾に綺麗に刺さっていた。
「ふぐっ……」
 と呻き声を上げた先生が、腹を抱えてベッドに凭れかかる。
 紗希は人差し指を口元に当て、先生に静かにと合図をする。そして穏やかな表情で、美里を手で促す。美里は大きく息を吸い込むと、吐き出すように言葉を紡いだ。
「最後まで、教育実習生として頑張りなさいって!」
 大声で言葉を出しきった美里は、にっこりと微笑んでいた。紗希は苦悶する先生を見ながら、ニヤニヤと小突くような視線を当てている。ベッドに凭れたまま、先生は頬を真っ赤に染めていた。
 ――辻先生がその約束を交わした相手は……
 察するにはあまりある三人の様子に、オレは苦笑を漏らした。もしかしたらそれは、あまりに子どもじみていた自分に対する軽蔑の笑いだったのかもしれない。
 この時オレは、はっきりと負けを自覚した。
 脱力し、肩を落とす。美里はそんなオレの頭にそっと触れ、優しく撫でた。
「唯人くんも、きっと強くなれるよ」
 美里の指が、オレの髪を梳いている。まるで遠き日の母のようだ。
 くすぐったくて、温かくて、オレは俯いた。
 頬が熱かった。



END

【 piece : 美里と紗希 】

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コメント
この記事へのコメント

おおっ!
爽やかな結末ですね(^O^)/
青春って感じでした!

すっきりした終わりかたで、気持ち良かったです☆
また、楽しみにしています(^O^)
2008/09/23(火) 00:45 | URL | あゆみ #-[ 編集]
お世話になっています。
あゆみさん、こんばんは。リアルタイムでのコメント、本当にありがとうございます。
温かいご感想に、またまた元気を頂きました。気持ちよく読んでいただけて幸いです。
時期的なものもあるのでしょうか。最近はちょっと温か志向のryonazなのです。
青春っていいですよね。もしタイムスリップ体験ができるなら、私は間違いなく学生時代を選びます。
ちなみに、明日はおまけのこぼれ話を掲載いたします。よろしければ、そちらも併せてご覧ください。
2008/09/23(火) 02:26 | URL | ryonaz #mLlZp4Zg[ 編集]
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