[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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「気持ちよくなるにも足りないよ」
 美里が小さな声でそう漏らす。
「……ど、どういう意味だよ?」
「わかんなくていいの。お子様には」
 美里のその言葉が引き金となり、オレの動揺が怒りへと変わる。
「てめえ!」
 と怒号し、オレは美里へと跳びかかった。幾度かの攻撃が、彼女の肢体を捉える。
 彼女は無防備だった。いや、正確には、無防備に見えただけなのかもしれない。殴る。蹴る。引っ叩く。攻勢一方のオレの手足は、確実に彼女にヒットしていった。しかし、どうしても致命打が当たらない。振り抜く拳や足に沿って、彼女はしなやかに、するすると身体の向きを変えているのだ。
 その身のこなしは鮮やかで軽かった。言うなれば、空中に浮かべた羽のように。
 手応えが全く感じられぬまま、オレの攻撃は確実に、自身の体力だけを削ぎ落としていった。
 先に息を切らしたのは、他ならぬオレの方だった。荒い息遣いの中、手足が止まる。
「終わり?」
 美里は既にその構えを解いていた。
 ――こ、こいつは、一体……?
 彼女の身体の諸所にはオレの攻撃の痕跡が確かに残っていた。しかし美里の表情は全く崩れず、倒れるどころか、微動だにひとつしない。棒立ちのまま、目線すらオレから外している。オレは何か異様なモノと闘っているのではないだろうか。そんな違和感にすら囚われてしまう。
「ここで私が倒れたら、あなたの『勝ち』になるんだね。倒れてほしい?」
 柔らかい口調だが嫌味をたっぷりと含んだ美里の言葉に、オレの怒りはますます高騰する。見下されていることに、腹立ちが抑え切れない。だが、既にオレの身体は酷く重くなっていた。
 両手を膝に乗せて身体を支え、目一杯、酸素を吸い込む。美里はそんなオレにゆっくりと近付いてくる。
 慌てて構える。しかし彼女は攻撃を仕掛けず、再び口を開く。
「あなたが勝ったら、その後はどうするの? それだけ教えて?」
 唐突な質問に虚をつかれる。戸惑いながらも、オレは、
「もちろん、渚さんから手を引いてもらう」
 と答える。美里がさらに言葉を続ける。
「手を引かせることが目的?」
「違う。もちろん、その後は……。その後は、オレが渚さんと――」
 そこまで言った時、オレの中に違和感が生じる。美里はその隙を突いて言葉を紡ぐ。
「どうやって?」
「…………」
「オレはあなたの彼氏とその妹に勝ちました。だから付き合ってください。……って渚さんに?」
「…………」
「それほど強いんです。だからオレの女になってください、って?」
 言いながら、美里はくすりと笑う。
「お、オレは……」
 反論する言葉が思いつかない。しかし美里の言葉は止まない。
「闘いの意味を見失った者が、勝負で勝てるわけがない!」
 厳しい口調だった。その表情は険しく、今や、幼く柔らかな顔立ちは姿を消していた。

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