[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 思考が停止していた。
 今、自分の身に何が起こったのかわからない。込み上げてくる咳だけを、何度も喉から吐き出す。
「ごめんね、お兄ちゃん。やっぱり私、こんなの許せない」
 初めて聞く美里の声は、とても遠くに聞こえた。意識が朦朧としている。そんな中、彼女の言葉のひとつに強烈な違和感を抱く。
 ――おにいちゃん。……お兄ちゃ……。……!!……お兄ちゃん!?
 瞬時に意識が覚醒する。もしかしたら、オレは、とんでもない勘違いを――?
 仰向けに倒れ込んだオレの頭上に美里がしゃがみ込む。見たことのない子だった。彼女の幼い外見は、年下のようにすら見える。これでも同い年くらいなのだろうか。よく見ると優しく温かい瞳をもつ美少女だ。目が合う。その可愛らしい瞳には、未だ涙が溢れていた。
「どうして、こんなことするの?」
 彼女の言葉が胸に刺さる。
 次第に思考力が舞い戻ってくる。同時に、オレの中の正義が脆くも崩れ去っていく。
 真実を知った今、美里のその問いかけはあまりにバツが悪かった。まるで大きな権力を剥奪されたような心境だ。言葉が出てこない。さらに、この小さくて華奢な子に、自分が投げ飛ばされたという事実がどうしても受け入れられない。
 美里はさらに言葉を連ねる。
「渚さんを知ってる人? でも、いきなりこんな……」
「うるせぇよ」
 混乱したオレには、そう虚勢を張るのが精一杯だった。
「教えて。何か理由があったはずでしょ?」
「うるせぇって言ってんだろ! 理由なんてねーんだよ!」
「……それは嘘だよ。でも、例えどんな理由があったとしても、突然襲い掛かるのは卑怯」
 美里は潤んだ瞳でオレを見つめ、諭すような言葉を並べる。その表情に胸が痛む。しかし、オレはもう後戻りできなかった。そう。二股は確かにオレの勘違いだった。
 でも……だったらどうだって言うんだ。こんな貧弱な一教師と渚さんじゃ、到底、割に合わない。現にオレは今、こいつをボコボコにした。渚さんに相応しいのは、オレだ。
 キッと美里を睨みつける。感情を抑え込み、
「ふん。まぁ、それは嘘かもな。でも、オレはそいつに勝った。それが現実だ」
 と、静かな声で答える。
「渚さんからは、手を引いてもらう」
 そう付け加えたオレを見て、美里はため息をつく。
「本気で……そう思ってるの? 本気で……お兄ちゃんに勝ったと思ってるの?」
 そう問いかけた美里の瞳には、既に涙はなかった。代わりにそこにあったのは、静かに燃える青い炎のような揺らめきだった。緊張感に襲われ、オレはゴクリと唾を飲み込む。身体の諸所が汗ばんでくるのがわかる。しかし、ここまできたら、今さら引っ込みはつかない。オレの答えは変わらなかった。
「あ、当たり前だ。見りゃわかるだろうが。お、オレの勝ちだ。勝ちなんだよ!」
 無意識に声が上擦る。感情的になり、語尾が強くなる。
「……違うよ。あなたは負けたの」
 美里の声は冷たい響きを帯びていた。
「これから、それを証明してあげるから」
 彼女の瞳の端が、きつく吊り上がった。

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