[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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 この異様な僕の姿を、どれだけの人が正確に認識しているかはわからない。もしかしたら、誰一人としてそんなこと気にも留めていないのかもしれない。しかしながら、今の自分の醜態や、それを人目に晒しているのだという僕の中の羞恥心や罪悪感といった意識は、決して僕を解放してはくれない。ましてや僕は、こんな状況下で下品な輩を反り返らせている生粋の変態なのだ。
「あ、あの……」
 消え入るような声でそう呟き、女王様の横顔を覗き見る。そこにある美貌からは、既にわずかな笑みすらも消えていた。無表情のままごく普通に、再び運転に専念している。
 僕にとって女王様は、常にこんな風に背中を追い続ける対象なのだ。女王様の表情、仕草、言葉、行為。そういったものに一喜一憂しながら、僕という存在が成り立っている。別の言い方をすれば、女王様だけが僕の生きる意味なのだ。
 わかってもらえ、しっかりと受け止めてもらえたかと思えば、刹那、くるりと後ろを向いてしまう。心が結びついたと感じられた瞬間、その雰囲気を一気に吹き飛ばしてしまうような冷徹なひと言をさらりと僕にぶつけたりする。
 ――女王様は今、どんな気持ちでいらっしゃるのだろう。
 きっと僕は、それだけを考えながら生きているのだと思う。今だって、女王様の本当の気持ちが知りたくて心配を重ねている。
 ――楽しんでくださっているのだろうか。興味をもってくださっているのだろうか。
 女王様の表情の変化ひとつで、僕の不安は雪だるまのようにどんどん膨れ上がってしまう。何より女王様に見捨てられることが怖かった。
「あの……」
 僕は再度、言葉を重ねる。女王様はハンドルを握ったまま「何?」とそっけなく応える。しかし、僕はその言葉の続きを声に出すことができなかった。「つまらない」という言葉が出てくるかもしれない。それが恐ろしくて、僕の口は次の音を発することができなかった。
 女王様は僕のはっきりしない態度に業を煮やしたのか、再び僕の太腿に力いっぱい鞭を振り下ろした。何度も打たれてきた傷痕がとうとう破れ、そこから血が滲む。
 僕の絶叫は壮大な自然に木霊した。


 女王様がブレーキを踏んだ場所は、山頂近くにある木陰だった。既に人通りは全くない。海と大きな太陽が視界いっぱいに広がる神々しい景色の見える場所だった。沈みかけた太陽は海面に一筋の光の帯を描き出し、下界の全てを朱色に染め上げていた。
 エンジンを切って車を降りる女王様を追うように、僕は車から滑り出す。自分たち以外に人がいないとわかってはいても、いざ車から出るとあまりの心許なさに身体を縮こめてしまう。女王様はそんな僕の様子をいつも敏感に捉える。口の端を持ち上げて僕の方へと足を進め、首輪についたリードをぐいと引っ張る。僕はその力に身を預け、四つん這いの姿勢で女王様と歩みをともにする。
「すごく綺麗だね」
 感動を口にする女王様の横顔もまた夕日に照らされ、その妖艶な魅力を存分にその身に湛えていた。
「はい」
 と口にしながらも、僕の視線は女王様の肢体に釘付けになっていた。

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