[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  〜美しき女性たちの狂気〜
 男は部屋に入り、今や肉の塊と化した老人をただじっと見つめていた。
 私はその男の背後から反応を窺う。この男が何の目的でここに来たかはわからない。この地獄絵図を見て何を感じているのかなど知りたくもない。その気持ちは諦めにも似ていた。
 自分の犯した罪に耐え切れなかった。きっと、ただそれだけのことだったのだと思う。
 心が痛い。男が何かを話し出そうとする前に、私は口を開いた。
「……こんなこと……するつもりはなかったんです」
 男は答えない。私は再度、言葉を重ねる。
「私がやりました。私が――」
「承知しています。ご安心ください。私は警察関係の類の者ではありませんので。死体の処理は当方で行います」
 私の言葉を遮り、男は明るく対応した。男の予想外の笑顔に拍子抜けする。何となく違和感を感じる。言っている言葉の意味も、いまいちよくわからない。疑問が口をついて出る。
「あの……あなたは一体?」
「あ、申し遅れました。私、グッドライフの勧誘員です。早い話が、この男と同じ会社に所属する人間ということです」
「え……あ、はい。それで……?」
「すぐに応援を呼びます。少々煩くなるかもしれませんが、決して悪いようにはいたしませんので」
 男は晴々とした表情のままだった。

 これを狐につままれたような気分というのだろうか。
 何が何やらわからないまま、私は携帯電話に向かって話しているその男をソファへと案内した。テーブルを挟み、私は向かいのソファに座る。死骸と空間を共有したまま、赤の他人同士がこうやって向かい合っている絵面は、とても不思議なものだと思った。
 やがて男は電話を切り、私に向かって口を開いた。
「突然押しかけて申し訳ありませんでした」
「あ、いえ」
「それにしても驚きました。あぁ、それは奥さんの台詞ですかね」
「え……と。正直、混乱してて……今も何が何やら」
 私がそう言うと、男は声を出して笑った。その屈託のない笑顔を見ていると、何となく救われるような気持ちになる。男は一度、老人の死体にちらりと目を向け、さらに言葉を続ける。
「あの男はうちでも優秀な社員でしてね。やはり彼の、人を見る目は正しかった」
「……すみません。やっぱり、よくわからなくて」
「無理もありません。では、ちょっと失礼を――」
 そう言いながら男は立ち上がり、老人の死体の方へと向かう。男がそこで何かを拾い上げる姿が見えた。彼は再びソファへと戻り、血塗れのそれを私の目の前に差し出した。
 それは、先ほど老人が持ってきた黒いパンフレットだった。

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