[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 私は立ち上がり、物乞いの帰りを促すように玄関へと手を伸ばす。すると物乞いは慌てた素振りで、浅く腰掛けていたソファから下りた。そして突然、その場にしゃがみ込むと、床に頭を擦りつけ、土下座を始めた。
 ちょうど、私の足下に跪くような形になる。物乞いは縋りつくように震えた声を発する。
「どうぞお願いいたします。ご入会いただければ、特典も付けさせていただきます」
「へぇ。どんな?」
 私は無感情に言葉を返す。
「それは、その……。毎月分の映画チケットとか、それから……ビール無料券とか――」
 安っぽい特典に呆れ返る。しかし同時に、私は必死になっているそいつを前に、わずかな優越感をも抱いてきていた。大のオトナがこうして足下に跪く姿を見るのも、なかなかオツなものかもしれない。
「えっと……それから――」
「嬉しいわ。いろいろなサービスがあるのね」
「は、はい! それはもういくらでも!」
「じゃあ、どうぞ他所でお願いね」
 私は微笑を浮かべてそう答えた。物乞いの呆けた汚い顔が、ますます滑稽で可笑しく見えた。

 それは突然の変化だった。
「ぶへっ……だは……なっはっは……」
 薄気味悪い声の主は物乞いのものだった。
 気が触れたように笑っている。精神的に追い詰め過ぎたのかもしれない。
 とは言え、私には何の非もない。ただ招かざる客人の勧誘を断っただけなのだ。罪悪感を抱く必要などない。ましてこいつには、もはや人間としての尊厳など微塵も感じない。
 彼は惨めな物乞いに過ぎないのだから。
「気持ち悪い。さっさと帰ってよ」
 と、冷たくあしらう。しかしそいつはそれでも笑い続けていた。怒りが込み上げてくる。
「帰れって言ってんでしょ! マジでウザイんだけど!」
 ……下品な言葉が自然に口をついて出たことに驚く。
 別にお嬢様育ちなどではない。しかし、人間に対してこんな風に罵声を浴びせかけたのは、きっと生まれて初めてのことだったと思う。そして、何より信じられなかったのは、そいつを罵倒した時に快感のようなものが身体中を巡ったことに対してだった。
 物乞いはその言葉を期に笑いを止めた。正座の姿勢で両拳を太腿の上に乗せ、身体全体をブルブルと震わせていた。俯いたそいつの顔の辺りから、ポタポタと滴がいくつも垂れていく。おそらくまた泣き始めたのだろう。
 本当に鬱陶しい。しかし、なぜかそんな惨めな物乞いの姿を見ていると、不思議と心が安らいでいった。おかしな話だが、それは性的な興奮にも似ている気がした。
 と、突然、物乞いは勢いよく立ち上がると、私に身体ごとぶつかってきた。
 二人でソファに凭れかかる形になる。左手で胸座を掴まれる。物乞いが顔を近付けてくる。
 そいつの反対側の手には、鋭利なナイフが握られていた。

Back | Novel index | Next
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。