{
2008/07/10(木) }
こんなに時の流れが早いと感じたのは初めてだった。
さっきまで教育実習の初日だと意気込んでいた。するといつの間にか、昼休みの時間になっていた。職員室で昼食をとる。慌しく弁当を頬張る先生方を見て、僕は取り残されたような気分になっていた。
頭の中は真っ白だった。
午前中に自分が何をしたのかすら思い出せない。当然、うまくできていたのかどうかなど全くわからなかった。
しかし、僕は実習生の身だ。一日が終われば、今日の反省や感想を日誌にまとめなければならない。
そう思うと、ぼうっとしているわけにはいかなかった。
僕はこの時間を使って、今日半日のことを少しでも思い出そうと試みた。
朝礼が無事に終わり、ほっとひと息ついた頃には、もう担任の先生は準備を始めていた。
一時間目は英語だった。僕は初日だから、教室の後ろで授業見学をした。
その時に取ったメモが手元にきちんとあることを確認し、僕は一安心する。頭は真っ白だったが、とりあえず内容は書き留めてある。後でこれを、日誌を書くための材料にしようと思った。
二時間目は担任の先生が空き時間だったこともあり、授業の心得のようなものを聞いた。やっぱり頭は働いていなかったが、それでもメモを見るときちんと書き留めてある。僕はここでもほっと胸を撫で下ろした。
そのメモの中で、一際目立つ一文があった。
『生徒に深入りしないこと』
三行目に書かれたその言葉は、一体どういう意味なのだろう。
ただ、それを話してくれた担任の先生の、深刻そうな顔つきが印象に残っていた。
弁当箱を閉じた僕は、無意識に教室へと足を運んでいた。
教室に行けば何かヒントが得られるかもしれない。根拠はない。単純な思いつきからだった。
何気なく教室の前に立ち、扉についた窓越しに中を覗き見る。もちろんここで足を止める気などなかった。すぐに扉を開けるつもりだったのに、なぜか躊躇してしまう。
僕はこの瞬間、何か言いようもない異様な感覚に襲われていた。
じっと中を覗き込む。そしてそれに気付いた時、僕は足が震えて動かなくなった。
男子の姿が見えないのだ。いや、正確には一人だけ見えている。たった一人だけは。彼はどこにいる? そう。女生徒の輪の中。そこで彼は女生徒に……女生徒たちに? 何を?……何を!?
パニックに陥る。未だかつてこんな光景を目にするのは初めてだった。目に飛び込んでくる情報を、脳が処理できていない。何度も目を疑ってみたところで、何も変わりはしない。
僕は完全に足が竦んでしまっていた。
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さっきまで教育実習の初日だと意気込んでいた。するといつの間にか、昼休みの時間になっていた。職員室で昼食をとる。慌しく弁当を頬張る先生方を見て、僕は取り残されたような気分になっていた。
頭の中は真っ白だった。
午前中に自分が何をしたのかすら思い出せない。当然、うまくできていたのかどうかなど全くわからなかった。
しかし、僕は実習生の身だ。一日が終われば、今日の反省や感想を日誌にまとめなければならない。
そう思うと、ぼうっとしているわけにはいかなかった。
僕はこの時間を使って、今日半日のことを少しでも思い出そうと試みた。
朝礼が無事に終わり、ほっとひと息ついた頃には、もう担任の先生は準備を始めていた。
一時間目は英語だった。僕は初日だから、教室の後ろで授業見学をした。
その時に取ったメモが手元にきちんとあることを確認し、僕は一安心する。頭は真っ白だったが、とりあえず内容は書き留めてある。後でこれを、日誌を書くための材料にしようと思った。
二時間目は担任の先生が空き時間だったこともあり、授業の心得のようなものを聞いた。やっぱり頭は働いていなかったが、それでもメモを見るときちんと書き留めてある。僕はここでもほっと胸を撫で下ろした。
そのメモの中で、一際目立つ一文があった。
『生徒に深入りしないこと』
三行目に書かれたその言葉は、一体どういう意味なのだろう。
ただ、それを話してくれた担任の先生の、深刻そうな顔つきが印象に残っていた。
弁当箱を閉じた僕は、無意識に教室へと足を運んでいた。
教室に行けば何かヒントが得られるかもしれない。根拠はない。単純な思いつきからだった。
何気なく教室の前に立ち、扉についた窓越しに中を覗き見る。もちろんここで足を止める気などなかった。すぐに扉を開けるつもりだったのに、なぜか躊躇してしまう。
僕はこの瞬間、何か言いようもない異様な感覚に襲われていた。
じっと中を覗き込む。そしてそれに気付いた時、僕は足が震えて動かなくなった。
男子の姿が見えないのだ。いや、正確には一人だけ見えている。たった一人だけは。彼はどこにいる? そう。女生徒の輪の中。そこで彼は女生徒に……女生徒たちに? 何を?……何を!?
パニックに陥る。未だかつてこんな光景を目にするのは初めてだった。目に飛び込んでくる情報を、脳が処理できていない。何度も目を疑ってみたところで、何も変わりはしない。
僕は完全に足が竦んでしまっていた。
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