[18禁] 逆リョナ系SM小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
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「――美里?」

 彩香が呟く。紗希は無言のままでコクリと頷いた。
 美里と呼ばれた女子生徒は二人のクラスメートだ。彩香とも紗希とも特に親しい間柄というわけではなかったが、顔を合わせれば挨拶を交わすし、休み時間になれば話をする。自分から責めに加わることは一度もなかったが、瀕死遊びにも毎回見学者として参加していた。
 近からず、遠からず。彼女たちとはそれくらいの関係であった。
 背は小さい。小柄な紗希とほぼ同じくらいの身長だ。スタイル抜群の彩香とは対照的に、彼女は典型的な幼児体型であった。胸やヒップの膨らみもそれほど目立たない。漆黒の艶やかな髪ではあるが、その髪型は流行を意識している風ではない。目鼻立ちは整っているが、どちらかと言えば美人というより可愛らしい雰囲気をもつ女子生徒であった。
 彩香と紗希の目の先にはその美里と、彼女を取り囲むように徒党を組んだ男子数人が映っていた。その数は六人。宮田、黒木、高岡、篠崎、末松、都村。無論、彼らもまた二人のクラスメートであった。
 彼らの目はあからさまに威嚇の色を湛え、一人一人の口からは数々の暴言が吐き出されていた。
「死ねよ、てめえ!」
「うぜーんだよ! 何とか言えよ、ボケが!」
「犯すぞオラ! それとも今すぐ死ぬか? あぁ?」
 飛び交う男子の罵声に早くも我慢の限界を迎えたのか、彩香の拳がぐっと固く握られる。それに気付いた紗希は彼女に視線を向けることなく、手だけで制す。身体を震わせる彩香に気を配る様子を見せつつも、紗希は美里と取り巻きの男子たちを冷静に見つめ続けているようだった。
 にじり寄る男子たち。ある者は憎しみの眼光を向け、ある者はその口元に薄ら笑いを浮かべている。美里はじわじわと校舎の方へと追いやられ、やがて壁を背にして足を止めた。
 彼らの中のリーダー格である宮田が彼女を脅すように腕を勢いよく振り上げ、彼女の耳の横を掠めて壁にその拳を叩きつける。美里の表情は青ざめ、肩は小刻みに震えていた。その様子を見ながら彼は美里にずいと顔を近付けると、
「何で呼び出されたか分かってんだろ? あ?」
 と、ドスの効いた声で静かに口を開く。
 美里はその声に一層身体を大きく震わせながら、上擦った声で「いえ……」とだけ答える。それは今にも消え入りそうな声だった。しかしその反応が、却って彼らの怒りという名の油に火を注ぐ。先ほどより一段と大きな罵声が辺りを包み込んだ。
 そんな中、逆上しきった表情の黒木が横から近付き、彼女の顎をぐいと持ち上げる。
「ダブルSのクソどもだよ! 知らねえなんて言わせねえ!」
 

 陰から覗いていた彩香がその言葉にピクリと反応する。
 紗希は唇を噛み締めた彩香にちらりと目を遣り、首を少し横に振った。「まだその時ではない」という合図のつもりだったのだろう。
 今にも飛び出していきそうな勢いを見せていた彩香は、さらに強く拳を握り締める。
 紗希の表情は変わらなかった。ただじっと、瞬き一つせずに彼らを見つめていた。

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