[18禁] 逆リョナ小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
 スチュワーデスの口からは、淀みなく言葉が流れ出た。
「紹介させていただきます。こちらが白峰茜、そしてこちらが朝妻里佳子でございます。」
 二人はそれぞれ俺に一礼をする。
 茜は瞳が大きく、柔和な雰囲気を全身から醸し出していた。簡単に言えば癒し系といったところだろうか。厚めの唇が色気を感じさせる。反対に、里佳子の瞳は切れ長であった。どことなく近寄り難い雰囲気が、彼女の魅力の一つになっているようだった。言うなれば、キャリアウーマンタイプだろう。
「は、はぁ。どうも。」
 気の無い返事をする。とにかくこんなところに連れて来られる覚えなど全く無いということを、さり気なく仕草に表すことが肝心だ。
 女は続ける。
「申し遅れました。私は牧野恵美と申します。どうぞ、お見知りおきを。」
 三人の中でも一際目立つ、美しい女性だった。端正な顔立ち。見る者を虜にするような、妖しい輝きの瞳。全身から妖艶な大人の色香を漂わせている。その振舞いから見ても、彼女がこの中で一番高い地位を得ていることは何となく察しがついた。
「あ、はい。……あの、それで?」
 あくまで惚けて見せる。相手方の出方が分かるまでは、決して怪しい動きを見せてはいけない。俺はどうしていいのか分からないといった素振りで、三人の顔を見回した。
 恵美がにっこりと笑って俺に近付く。
「『それで……?』」
 含みのあるその笑顔に、俺は鼓動が一つ大きく高鳴る。背筋に冷たいものが上ってくるような感じがした。見ると恵美は突き刺すような視線を俺に送っている。慌てて目を逸らす。その先にいた茜と里佳子もまた同じような視線で、俺を見つめているのだった。
 茜が後ろから口を挟む。
「恵美さん。やはり、やむを得ないのではないでしょうか。」
 その声は、どこか楽しそうに聞こえた。
 あらためて三人の顔を見回す。その時、さっきまでうっすらと感じていた違和感の正体が何となく分かった気がした。
 三人とも、口元が大きく弓なりに曲がっていたのだ。
 ――この女たちは、やはり知っていたんだ。
 一筋の冷や汗が、眉間から頬を伝って流れ落ちる。彼女たちの目的がようやく分かった。それに気付いた時には、時は既に遅かった。
 里佳子がふと俺の目の前に来たと思った時には、既に俺の手元から鞄がかすめ取られていた。
 俺は動揺を隠し切れずに叫んだ。
「や、やめてください! それは、何でもないんです。返してください!」
 思わず里佳子に飛びかかろうとする俺を、恵美と茜が両脇から押さえ込む。
 里佳子は俺の言葉をまるで聞く様子もなく、録画された映像を淡々と再生し始めた。
「……立派な証拠ですこと。」
 里佳子が「ふふ」と笑う。
 俺には返す言葉がなかった。ただがっくりと肩を落とし、黙っているしかなかった。
 彼女はおもむろにビデオカメラからテープを抜き取る。そして空になったビデオカメラを勢いよく踏み付けた。彼女がぐりぐりと踏み躙った後に残ったビデオカメラは、見る影もなく破壊されていた。
 俺は彼女の脚力に驚き、腰を抜かしてしまった。あのカメラを、一撃で……
 犯罪がバレてしまったことよりも、今はその恐怖の方が遥かに大きかった。
 三人は俺をまっすぐ見つめ、好奇心を抑えきれない子どものようにくすくすと笑い声を漏らしていた。

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