[18禁] 逆リョナ小説サイト  ~美しき女性たちの狂気~
 その声が聞こえてきたのは、空港に到着してすぐのことだった。
「お客様。申し訳ありませんが、少々お時間を頂けますでしょうか。」
 耳に心地よい上品な声だった。
「……はぁ。」
 振り返るとそこには先ほど機内にいたスチュワーデスが立っていた。嫌な予感が俺の頭を掠める。春海は不安げな面持ちで、俺のジャケットの裾を少しだけ引っ張った。
 スチュワーデスが言葉を続ける。
「どうぞ、ご一緒にお願いいたします。」
 俺は内心動揺していた。
 スカートの中を何度も盗撮したスチュワーデスであることは間違いなかった。そしてその女が今、理由も告げずに、俺に同行を求めている。
 ――気付かれた? いや、まさか。そんな隙は見せた覚えはない。
 鼓動が高鳴っていくのが分かった。それを察してか、春海はますます不安の表情を強くしていた。ここで下手な素振りを見せたら、却って怪しまれることは間違いない。大丈夫だ。決して見つかってなどいないはずだ。
 俺は自分に言い聞かせた。心を落ち着かせ、ごく自然な表情を繕う。春海の手をぐっと握り締め、その瞳をじっと見つめる。
「何か分からないけど、ちょっと行ってくるよ。」
 平静を装うにはかなりの努力が必要だった。何しろこんな経験は生まれて初めてだ。やましいことがあるだけに、そのプレッシャーは相当なものだった。
 春海は不安の表情を解かなかったが、やがて小さく頷いた。
「うん。ロビーのベンチで待ってるね。」


 通された部屋は空港内の片隅にあった。
 外からでは一見それとは分からないほど奥まった場所に、その部屋は位置していた。中に入る。その部屋が異常であることはすぐに分かった。
 窓一つない密室空間。扉を閉めると、電気を点けなければ何も見えない。その部屋は陰鬱な暗さを称えていた。
 案内してきたスチュワーデスが電灯のスイッチを入れると、そこには案内してきたスチュワーデスの他にもう二人、別のスチュワーデスが待機していた。俺は暗闇から突如現れた二人の存在に驚き、思わず情けない声を上げてしまう。
「突然お呼び出ししてしまいまして、誠に申し訳ありませんでした。」
 俺を案内してきたスチュワーデスが丁重な挨拶をする。残る二人も同時に俺に会釈をする。俺もつられて会釈する。しかし、俺は心の中の警戒心だけは常に保っていた。少なくとも、このスチュワーデスたちの目的が何なのかはっきりするまでは油断できない。
 そう心に誓い、俺は顔から動揺の色を消した。

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