{
2008/02/22(金) }
彼は今日もそこにいた。
仕事から帰ってきた彼女を目の前にしても、彼は黙ったまま。彼女に声一つかけることはない。
薄暗い部屋が彼女の指先一つで明るくなる。彼のいる六畳の部屋には強すぎるほどの光だ。点灯した電球は、天井を見つめている彼にとっては少し眩しすぎた。
彼は顔を少し横に向ける。そして、ただ静かに、着替える彼女を見つめていた。
身に着けた衣類の一枚一枚が、彼女の身体から剥がれていく。その度に、彼女の魅惑的な身体のラインが露わになる。やがて下着だけになった彼女の妖艶な肢体が彼の瞳に映し出された。
彼のモノは最大限に勃起していた。彼女の魅力は、彼の視線を釘付けにしていた。
やがて彼女は、クローゼットから薄紫色のネグリジェを取り出し、身に纏う。
薄いネグリジェから覗く下着と瑞々しい肌が、彼のエクスタシーをさらに高めていく。
しかし彼は、ただそこにいることしかできなかった。
彼女もまた、彼に声をかけることはない。それどころか、彼の方を見ようともしない。まるでその存在にすら気付いていないかのように。
彼女はそれから浴槽に湯を張り、温かいコーヒーを入れる。テレビをつけ、キッチンに立った彼女の手には包丁が握られた。やがて、トントンとリズムのよい音が響いてくる。
彼女のそんな姿を、彼は何を思って見つめているのだろう。
湯が浴槽を満たした時、彼女は湯を止める。そしてコーヒーとサラダを手に、彼のいるフローリングの部屋へと戻って来る。
彼の分はなかった。
彼女の瞳に映っているのは、先ほどから独り言をしゃべり続けているテレビ。彼女はブラウン管から目を離すことなく、持ってきたコーヒーやサラダをテーブルの上に並べていく。やがて彼女は、テーブルの前に腰を下ろした。
その時彼は、彼女の柔らかいお尻の下にいた。
彼はそこにいて、彼女から与えられる圧迫感を全身で感じる。それでも彼は何も話そうとはしない。これが毎日の、彼女と触れ合うことができる限られた時間だというのに。
彼の上に腰を下ろした彼女は、何事もなく食事を始める。
彼女の柔らかいお尻の感触を、彼はどんな風に感じているのだろう。
しかしそれでも、彼が言葉を発することはない。じっと、ただその重みに耐えるだけ。
それは、彼女の意識が一瞬でも自分に向くことはないということを、彼自身が知っているからかもしれない。彼女のお尻に敷かれることだけが自分の存在意義だということを、彼自身が悟っているからかもしれない。
いつものように、彼は黙って彼女に踏まれる。身動き一つすることなく。
もしかしたらそれは、彼自身が望んでいることなのかもしれない。
彼がそこに幸せを感じているのであれば、きっとそれでいいのだろう。
彼の目から一滴の涙が零れ落ちた。
喜びの全てを解放するように、彼は心の中で何度も叫んだ。
手足を切断され、喉を潰されている彼にとっては、それだけが唯一の生き甲斐なのだから。
END
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仕事から帰ってきた彼女を目の前にしても、彼は黙ったまま。彼女に声一つかけることはない。
薄暗い部屋が彼女の指先一つで明るくなる。彼のいる六畳の部屋には強すぎるほどの光だ。点灯した電球は、天井を見つめている彼にとっては少し眩しすぎた。
彼は顔を少し横に向ける。そして、ただ静かに、着替える彼女を見つめていた。
身に着けた衣類の一枚一枚が、彼女の身体から剥がれていく。その度に、彼女の魅惑的な身体のラインが露わになる。やがて下着だけになった彼女の妖艶な肢体が彼の瞳に映し出された。
彼のモノは最大限に勃起していた。彼女の魅力は、彼の視線を釘付けにしていた。
やがて彼女は、クローゼットから薄紫色のネグリジェを取り出し、身に纏う。
薄いネグリジェから覗く下着と瑞々しい肌が、彼のエクスタシーをさらに高めていく。
しかし彼は、ただそこにいることしかできなかった。
彼女もまた、彼に声をかけることはない。それどころか、彼の方を見ようともしない。まるでその存在にすら気付いていないかのように。
彼女はそれから浴槽に湯を張り、温かいコーヒーを入れる。テレビをつけ、キッチンに立った彼女の手には包丁が握られた。やがて、トントンとリズムのよい音が響いてくる。
彼女のそんな姿を、彼は何を思って見つめているのだろう。
湯が浴槽を満たした時、彼女は湯を止める。そしてコーヒーとサラダを手に、彼のいるフローリングの部屋へと戻って来る。
彼の分はなかった。
彼女の瞳に映っているのは、先ほどから独り言をしゃべり続けているテレビ。彼女はブラウン管から目を離すことなく、持ってきたコーヒーやサラダをテーブルの上に並べていく。やがて彼女は、テーブルの前に腰を下ろした。
その時彼は、彼女の柔らかいお尻の下にいた。
彼はそこにいて、彼女から与えられる圧迫感を全身で感じる。それでも彼は何も話そうとはしない。これが毎日の、彼女と触れ合うことができる限られた時間だというのに。
彼の上に腰を下ろした彼女は、何事もなく食事を始める。
彼女の柔らかいお尻の感触を、彼はどんな風に感じているのだろう。
しかしそれでも、彼が言葉を発することはない。じっと、ただその重みに耐えるだけ。
それは、彼女の意識が一瞬でも自分に向くことはないということを、彼自身が知っているからかもしれない。彼女のお尻に敷かれることだけが自分の存在意義だということを、彼自身が悟っているからかもしれない。
いつものように、彼は黙って彼女に踏まれる。身動き一つすることなく。
もしかしたらそれは、彼自身が望んでいることなのかもしれない。
彼がそこに幸せを感じているのであれば、きっとそれでいいのだろう。
彼の目から一滴の涙が零れ落ちた。
喜びの全てを解放するように、彼は心の中で何度も叫んだ。
手足を切断され、喉を潰されている彼にとっては、それだけが唯一の生き甲斐なのだから。
END
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